【連載全11話】第5話 フェラーリ275GTS/フィアット124スポルトスパイダー・・・やっぱり似てる? デザイナーが同じクルマ特集

「よく似たヒトは世界に3人いる」などといいますが、クルマにも驚きの“そっくりさん”が存在します。デザイナーが同じと聞けば、それも納得。そんな名車を週替わりで紹介します。

フェラーリ275GTS/フィアット124スポルトスパイダー

1950年代に登場し、ロードカーからコンペティションマシンまでさまざまなモデルがつくられ、フェラーリの名を一躍高めた250シリーズ。その後継となるロードカーとして1964年のパリサロンでデビューしたのが275GTB(ベルリネッタ=クーペ)と275GTS(スパイダー)である。サスペンションは250の後輪リーフリジッドから前後ともダブルウイッシュボーン/コイルの4輪独立懸架になり、変速機も4段MTからトランスアクスル方式の5段MTへと一気に設計の近代化が図られた。

ボディーは伝統にしたがいピニンファリーナのデザインだが、コンペティションマシンの雰囲気を取り入れたGTBに対し、GTSはややおとなしい印象。3.3リッターV12 SOHCエンジンのチューンも、GTBの最高出力280PSに対して260PSに抑えられていた。1966年までにちょうど200台がつくられ、後継モデルの330GTSと交代した。

その275GTSと入れ替わるように1966年に登場したフィアット124スポルトスパイダーは、同じくピニンファリーナによる275GTSをふたまわりほど縮小したようなオープンボディーをまとった、ライトウェイトスポーツである。堅実な設計の実用サルーンだった124のそれを短縮したシャシーに1.4リッター直4 DOHCエンジンと5段MTを搭載、高性能でリーズナブルなスポーツカーとして人気を得た。

1968年には排気量を1.6リッターに拡大、さらに1972年には1.8リッターも追加。これをベースにアバルトが手を加えた競技用ホモロゲーションモデルのアバルト124ラリーもつくられた。1975年に欧州での販売は終了したが、北米輸出専用モデルとして生産は継続され、マイナーチェンジに際してエンジンを2リッターに増強。その後1982年にピニンファリーナ・スパイダー ヨーロッパの名で欧州市場に復帰し、スーパーチャージャー搭載車も限定販売された。誕生から20年近くを経た1985年に生産終了となるが、約20万台といわれる生産台数は、価格と同様、フェラーリ275GTSとはケタ違いだった。

[GAZOO編集部]

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