【連載全11話】第8話 フィアット130クーペ/ロールス・ロイス・カマルグ・・・やっぱり似てる? デザイナーが同じクルマ特集

「よく似たヒトは世界に3人いる」などといいますが、クルマにも驚きの“そっくりさん”が存在します。デザイナーが同じと聞けば、それも納得。そんな名車を週替わりで紹介します。

フィアット130クーペ/ロールス・ロイス・カマルグ

1969年に2300の後継として登場した130は、フィアットとしてはおよそ30年ぶり、戦後初にして結果的には最後となった3リッター級のベルリーナ(セダン)だった。主力車種である124/125を拡大したような平凡なスタイリングに似合わず、シャシーは4輪独立懸架に4輪ベンチレーテッドディスクブレーキという、当時としてはぜいたくなスペックだった。そのシャシーにピニンファリーナによるエレガントな2ドアクーペボディーを載せた高級パーソナルカーが、1971年に追加された130クーペである。

V型6気筒SOHCエンジンは、ベルリーナの2.9リッターから3.2リッターに拡大されて最高出力165PSを発生。変速機は3段ATが標準で、オプションでZF製5段MTが用意された。インテリアもベルリーナとは異なる専用デザインで、ウッドをあしらったインパネやドア、レザーまたはモケット張りのシートなどフィアットとは思えない高級な仕立てだった。だが小型車が主力のフィアットブランドで高級車を売ることは難しく、約4300台をつくったところで1977年に生産終了。市場はランチア・ガンマ クーペに受け継がれた。

そのフィアット130クーペをひとまわり拡大し、パンテオングリルを付けたようなボディーを持つモデルが1975年に登場したロールス・ロイス・カマルグ。当時の主力車種だったシルバーシャドウをベースとするシャシーに、やはりピニンファリーナがデザインした2ドアクーペボディーを、ロールス・ロイス傘下のコーチビルダーだったマリナー・パークウォードで架装。当時ロールス・ロイスにはシルバーシャドウの2ドアクーペ/コンバーチブル版であるコーニッシュが存在していたが、カマルグはそれより上位の最高級パーソナルカーと位置づけられており、クーペのみでオープン仕様は用意されなかった。

6.75リッターV8 OHVエンジンをはじめとするメカニズムは基本的にシルバーシャドウ/コーニッシュと共通だが、かつては非公表だった出力は少々向上しているといわれた。最新のエアコンシステムや8ウェイのパワーシートをはじめ考えうる限りのアクセサリーを標準で備えており、注文生産のリムジンであるロールス・ロイス・ファントムIVを除けば、当時世界で最も高価な市販乗用車だった。生産台数は1986年までに525台といわれる。

[GAZOO編集部]

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