【連載全9話】第2話 トヨタ・クラウン(アイドリングストップシステム)・・・日本発の技術やアイデアのあるクルマ

工業製品として時代の先端を行く自動車は、さまざまな技術を生かしてつくられています。今回は、なかでも日本発祥のアイデアやテクノロジーが注がれた、注目すべき日本車を週替わりで紹介します。

トヨタ・クラウン(アイドリングストップシステム)

今日では多くの車両に搭載されているアイドリングストップシステム。信号待ちや駐停車の際にエンジンの停止と再始動を自動的に行うことで、燃料を節約し排出ガスを削減する機構である。これが量産車の装備として世に初登場したのは、さかのぼること約半世紀の1974年、搭載車種は4代目トヨタクラウンだった。その個性的な姿から“クジラ”の俗称で呼ばれているモデルである。

とはいえ、新機軸として大々的に導入されたわけではない。モデル末期だった4代目クラウンの直列6気筒(2リッター/2.6リッター)エンジン搭載のMT車に「EASS(Engine Automatic Stop and Start System)」と称する機構が、多分に実験的な意味合いでオプション設定されたのである。概要はシステムをオンにしておくと、停車してギアがニュートラルにあり、エンジンを止めても安全とコンピューターが判断した場合に停止し、クラッチペダルを踏むと再始動するというものだった。

当時、自動車専門誌に掲載されたリポートによれば、停車から約1.5秒で停止し、再始動も瞬時に行われたという。ただし再始動によるバッテリーの消耗を防ぐため、ヘッドライト点灯時は作動しない(つまり夜間は使えない)など、いくつかの作動条件があった。EASSは次世代のクラウンをはじめとする他車には設定されず、これっきりで終わったが、8年後の1981年により進化した機構が「エコランシステム」の名で2代目スターレットに用意された。ただしこれも下位グレードの5段MT車のみという限定的な設定であり、一般化するのはそれから20年以上を待たねばならなかった。

[GAZOO編集部]

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