【連載全10話】第1話 ホンダZ・・・軽規格のスペシャルティーカー特集

小さいからと侮るなかれ。日本独自の軽乗用車の規格からは、個性豊かなスペシャルティーカーが多数生まれました。そのなかから特に注目したい10車種をピックアップし、週替わりで紹介します。

ホンダZ

1967年に「速い、広い、安い」と三拍子そろった自身初の軽乗用車であるN360を送り出し、最後発ながら瞬く間に軽市場におけるリーディングブランドとなったホンダ。トレンドセッターとして高性能モデルや高級モデルをはやらせた後、次に仕掛けたのが軽初となるスペシャルティーカー。1970年にリリースされたホンダZである。

ベースとなったのはN360のマイナーチェンジ版であるNIII360で、そのシャシーに独特な形状から“水中メガネ”と俗称されたテールゲートを持つクーペボディーを架装。ホンダのモーターサイクル譲りの空冷4ストローク2気筒SOHC 354ccエンジンは、シングルキャブ仕様で最高出力31PS、ツインキャブ仕様で同36PSを発生、4段MTを介して前輪を駆動する。トップグレードのGSは、ツインキャブユニットに、いずれも軽初となる5段MT、前輪ディスクブレーキ、ラジアルタイヤを標準装備していた。

翌1971年に、水冷2気筒エンジンを搭載した新世代の軽乗用車であるライフが登場すると、Zもベースをライフに変更。単にエンジンを水冷化(出力は空冷時代と同じ)したのではなく、NIIIよりホイールベースが80mm長いライフのシャシーに合わせてボディーも改変された。さらに1972年にはセンターピラー(Bピラー)を取り去りハードトップとなり、エンジンは最高出力36PSのツインキャブ仕様に絞られた。1974年にホンダがトラックのTNシリーズを残して軽市場から一時撤退するにあたり、ライフなどとともに生産終了した。

[ガズー編集部]

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