日産・NXクーペ (1990年~) 名車?迷車?特集 -ちょっと懐かしい迷車たち8話

生産:1990 ~1994年

第8話 日産・NXクーペ (1990年~)

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「タイムマシンかもしれない」というキャッチコピーと、コンピューター・グラフィックスによって軟体動物のように車体が曲がりくねる姿が、往年のTVアニメ「スーパー・ジェッター」の流星号を連想させるテレビCMが印象的だった日産NXクーペ。1990年にベースとする7代目サニーと同時にデビューした。

70年代から90年代にかけて日産は、ミニ・セドリック的なスタンザ、ミニ・スカイラインをうたったラングレー、そしてズバリ車名を借りたローレル・スピリットなど、上級車種の縮小版ともいうべきモデルをラインナップしていた。カリフォルニアにある日産デザインインターナショナル(NDI)でデザインされたNXクーペもその流れにあり、同じくNDIが手掛けた4代目フェアレディZ(Z32)のモチーフが随所に見られる。

となれば、Zの威光にあやかって、と思うが、日本での人気はサッパリだった。その理由を考えるに、このクラスのクーペは北米市場におけるセクレタリーカー、つまり若い女性向けのパーソナルカーとしての需要が大きかったため、NDIがそれを主たるターゲットとしてデザインしたからではないだろうか。よってZのモチーフを引用しているとはいえ、NXクーペにはどことなく女性的で柔らかな雰囲気が漂っていた。ミニZはミニZでも、チョロQ的なファンシーさが感じられる部分が、高性能クーペを求める男性主体の日本市場では敬遠されたのではないか、と思えるのである。