トヨタ・ヴェロッサ (2001年~) 名車?迷車?特集 -ちょっと懐かしい迷車たち10話

生産:2001 ~2004年

第10話 トヨタ・ヴェロッサ (2001年~)

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トヨタのように膨大なラインナップを抱える大メーカーともなれば、なかには軽いノリで企画されたクルマがあるのではないかと思ってしまう。真偽は不明だが、2001年に登場したヴェロッサは、そんな印象を受ける1台である。成り立ちとしてはマークⅡの兄弟車であり、販売系列からいけばクレスタの後継モデルとなる。しかし、かつての“マークⅡ3兄弟”のなかでもっとも保守的だったクレスタに対して、イタリア語の「Vero(真実)」と「Rosso(赤)」からの造語を車名に冠したヴェロッサは、キャラクターをガラッと転換していた。

プレスリリースによれば、ヴェロッサは「魅惑的で情感のある外形、室内デザインとし、心高ぶる走りとともに、クルマにこだわりを持つ人の感性を満たす新しい高級セダン」。「エモーショナル」をキーワードに、「シャドーストリームライン」と称するキャラクターラインを特徴とするボディーは、低く構えた「クラウチングフォルム」をアピールしていた。

しかし、どこかランチアを思わせるエクステリアといい、アルファ・ロメオ風のインテリアといい、イタリア車のカリカチュア(戯画)のようでもあった。はっきり言ってしまえば、あまり出来のよろしくない「なんちゃってイタリアン」で、ホンモノのイタリア車を愛好する層にアピールするとは思えず、かといって一般受けするとも思えず、ターゲットがよくわからなかったが、案の定デビューから3年弱でフェードアウト。ただし当時から「これは将来、絶対にレア車になる」と思っていたが、その読みはズバリ当たった。