【連載全13話】第3話 三菱デボネア・・・日本生まれの直6エンジン搭載車


昔に比べて少なくなった6気筒エンジン搭載車。そのなかから“ストレートシックス”と呼ばれる直列6気筒エンジンを積んだモデルを週替わりで紹介します。

三菱デボネア

1964年、すでにトヨタ、プリンス、日産、いすゞがしのぎを削っていた5ナンバーフルサイズ市場に投入された三菱のフラッグシップ。最大の特徴はゼネラルモーターズ(GM)出身というデザイナーのハンス・S・ブレッツナーが手がけたスタイリング。当時のフォードの最高級車であるリンカーン・コンチネンタルにも通じる雰囲気のボディーは、5ナンバー規格におさまっているとは信じがたいほど、大きく立派に見せることに成功していた。

パワーユニットは新開発された2リッター直6 OHVエンジン。OHVながらカムシャフトをシリンダーブロックの上方に置いてプッシュロッドを短くし、バルブの追従性をよくした設計で、10.0という高い圧縮比と2バレルのキャブレターを2基備えて最高出力105PS/5000rpm、最大トルク16.5kgf・m/3400rpm(以下すべてグロス値)を発生。3段+OD(オーバードライブ)の変速機を介しての公称最高速度は155km/h。モノグレードで、125万円という価格は5ナンバー車としては最も高価だった。

1965年にはボルグワーナー製の3段AT仕様、パワーウィンドウやパワーステアリングなどを備えたパワー仕様、LPGエンジン搭載の営業車仕様などを加え、細かな変更を重ねた後、1970年のマイナーチェンジでエンジンを換装してデボネア エグゼクティブに改称。サターン6と呼ばれる新たなユニットはコルト ギャラン用の直4をベースに6気筒化したもので、この時代としては珍しいロングストローク型ながら、チェーン駆動のSOHC、クロスフローのヘミヘッドという高度なスペック。2バレルのシングルキャブで最高出力130PS/6000rpm、最大トルク17.0kgf・m/4000rpmという他社のツインキャブ仕様に匹敵するパワーを発生し、最高速度は170km/hをうたった。

1976年には、サイレントシャフトと称する三菱特許のバランスシャフトを備えた2.6リッター直4 SOHCエンジンに換装して3ナンバー化。名称はデボネア エグゼクティブSEとなった。その後も小変更を加えながら1986年までつくられ、誕生から22年の長寿を保った。

[GAZOO編集部]

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