【連載全13話】第7話 日産スカイライン2000GT-R・・・日本生まれの直6エンジン搭載車

昔に比べて少なくなった6気筒エンジン搭載車。そのなかから“ストレートシックス”と呼ばれる直列6気筒エンジンを積んだモデルを週替わりで紹介します。

日産スカイライン2000GT-R

通称“ハコスカ”こと3代目スカイラインの基本モデルである1500をベースに、1968年10月に登場した2000GT(GC10)。先代と同様、全長の長い直6エンジンをおさめるべく延ばされたノーズに、この連載の第5話で紹介した2代目セドリック用と基本的に同じ、シングルキャブ仕様の2リッター直6 SOHCのL20型エンジンを搭載していた。同月開催の東京モーターショーに“2000GT R380エンジン搭載車”として参考出品され、翌1969年2月に発売されたのが、ツーリングカーレースでの勝利を目的として生まれた2000GT-R(PGC10)である。

その最大の特徴が、旧プリンスの技術陣が開発したミドシップのレーシングプロトタイプであるR380用のGR8型エンジンをベースにしたとうたわれた、2リッター直6 DOHCのS20型エンジン。量産化にあたってカムシャフト駆動がギアトレインからチェーンとなり、オイル潤滑はドライサンプからウエットサンプに変更されるなど、ほとんどの部分が再設計されていた。今日では軽自動車用エンジンでも常識化しているが、当時は量産車では気筒数を問わず世界的にも皆無だった“1気筒あたり4バルブ”を採用していたのだった。

その性能は、圧縮比9.5:1、Φ40のミクニ製ソレックス ツインチョークキャブレターを3基備えて最高出力160PS/7000rpm、最大トルク18.0kgf・m/5600rpm。いずれもグロス値だからネットでは140PS弱といったところで、現代のエンジンとは比較にならないが、当時の国産2リッター級ではもちろん最強。最初に登場した4ドアセダンボディーのPGC10の価格は150万円だったが、ベースとなったL20型搭載のGC10(86万円)との差額が、そのままエンジンの差額といわれた。

1970年10月に2000GT-Rは2ドアハードトップボディー(KPGC10)に切り替わるが、当初のもくろみどおりレースでは通算50勝以上を挙げ、2代目の時代に生まれた“スカイライン伝説”をより強固にした。またS20型エンジンは初代フェアレディZのZ432(PS30)や“ケンメリ”こと4代目スカイラインのハードトップ2000GT-R(KPGC110)にも積まれた。

[GAZOO編集部]

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