第6話 ポルシェ911ターボ…後ろ姿が印象的なウイング付きのクルマ特集
クルマの空力性能を高めるとともに、そのスタイリングの決め手にもなるのがリアウイング。今回は“立派な羽根”を持つことで知られる名車を週替わりで紹介します。
ポルシェ911ターボ
初めて羽根を生やしたポルシェのプロダクションモデルは、“ナナサンカレラ”こと1973年型911カレラRS。ポルシェ自身が“ダックテール(アヒルの尻尾)”と呼んだエンジンフード一体式のリアスポイラーは、リアのリフト量を70%以上低減するとうたわれた。
翌1974年のカレラRS 3.0はさらに大型のリアスポイラーを備えていたが、“ホエールテール(クジラの尻尾)”と呼ばれたこの姿を世に広めたのが、1975年に市販化されたポルシェ初のターボエンジン搭載車となる911ターボ(930ターボ)である。
強大なパワーを受け止めるべく拡大されたトレッドと太いタイヤをクリアするため、前後フェンダーが大きく張り出したボディーに、KKK製ターボチャージャーを備えて最高出力260PS、最大トルク35.0kgf・mを発生する空冷3リッター水平対向6気筒SOHCエンジンを搭載。「あり余るパワーとフレキシブルなエンジンには4段で十分」とポルシェが主張した4段MTを介して、最高速度250km/h、0-100km/h加速5.2秒というスーパーカー級のパフォーマンスを発揮した。いっぽうではパワーウィンドウやオーディオなども標準装備され、快適なドライブを約束した。
1976年にはタイヤサイズの拡大、さらに1977年にはエンジンを3.3リッター、300PSに強化するなどの改良を加え、街中でも扱える実用性をも備えた、世界最速のロードカーの一台として発展していった。
[ガズー編集部]