【スーパー耐久第2戦富士】「400ccアップの効果は大きい」若き“86マイスター”松井孝允選手に、GR86がどんな車か聞いてみた

  • 86号車トムススピリットGR86
今シーズン、実質の開幕戦を迎えることとなったスーパー耐久のST-4クラス。その今季初戦でいきなりの富士スピードウェイでの24時間レース、そして国内で最も過酷な耐久レースで新型車GR86をデビューさせるのチームの1つがトムススピリットだ。

2012年の旧型の86のデビュー当時から86を走らせ、スーパー耐久では馴染みも実績もあるチームで、過去にもドライバーを務め、このGR86のデビューシーズンにステアリングを託された松井孝允選手。

スーパー耐久で長く86を走らせているだけでなく、SUPER GTでは86でチャンピオンを獲得し、プライベートでも86、GR86を愛車にしている、まさに若き86マイスターとも呼べる松井選手に、GR86が旧型の86と比べてどのようなマシンなのかを伺った。

GR86の排気量400cc向上した効果は大きい

86号車トムススピリットGR86をドライブする松井孝充
「初めて走らせたのは5月後半です。

エンジンの排気量が(2000ccから2400ccに)変わったことがすごく大きくて、今まで2速か3速で悩むようなコーナーを3速で迷わずいけるとか、400ccという差ではありますが思った以上に大きいなと感じています。あとストレートは明らかに速いです!

ボディも剛性が上がっていて、その分サスペンションの動きをうまく使えるというか、GR86は車として本来あるべき動きに近づいているように感じています。

実際足回りについては、トムススピリットの旧型86のデータも生かすことができてスムーズに移行できたと思いますし、すごくこだわった部分です。

GR86は軽さも武器だと思うので、それもあわせてコーナリングも速い車だと思います」

チームの使命は「車を鍛える」こと

  • 86号車トムススピリットGR86の走行
トムススピリットとしてGR86を走らせることは、GR86をサーキットで鍛え、市販車のGR86をより楽しく、安心安全な車にすることだという。そこで、市販車のGR86とスーパー耐久仕様のGR86の違い、またデビュー戦としての不安な点があるかも伺った。

「市販車との違いはロールバーが入ることで、ボディの剛性がかなりしっかりしています。ただ足回りのジオメトリーが変わっているわけではないので、足の動きは市販車とそれほど変わらないですし、普段自分のGR86に乗っている感覚との違和感はないですね。

まだ走り込みができていないため、特に電気系のセッティングには不安があります。またパワーが上がったことによってどのくらい負荷が各パーツに増えているのか、実際走ってみないと分からないところがあります。ただ、車を鍛えるというチームとしての使命もあるので、完走するために守ることも必要ですが、速く走ることでしっかりとフィードバックもできるようにしていきたいです」
  • 86号車トムススピリットGR86のピット
今回トムススピリットは、24時間レースでありながら3人でのエントリーとなっている。一人8時間、4回~5回はドライブすることになり大変な負担になることは間違いない。ただ松井選手は「責任の重さは3人だろうが5人だろうが変わりません。プロとしてチームの使命をしっかりやり遂げます」と、力強く語ってくれた。

ここでも「モータースポーツを起点としたもっといいクルマづくり」が進められている。
  • 86号車トムススピリットGR86のフロント
  • 86号車トムススピリットGR86のリア
  • 86号車トムススピリットGR86の左リア
  • 86号車トムススピリットGR86のリアウイング

(文:GAZOO編集部山崎 写真:折原弘之、山崎)