【スーパー耐久第6戦岡山】塩谷烈州選手「GR86で思いっきりレースを楽しみたい!」/TEAM G/MOTION'インタビュー
今年、スーパー耐久第4戦オートポリスで長年活躍していたインテグラが最後の走行を迎え、多くの惜別の声が聞かれた。そのインテグラを2009年から走らせていたTEAM G/MOTION’は、続く第5戦もてぎから「全薬工業」のスポンサーロゴとおなじみのカラーをまとったGR86を走らせることとなった。
そこで、チームの代表でもありドライバーとして多くのワンメイクレースでチャンピオンも獲得してきている塩谷烈州選手に、マシンをスイッチした経緯や新たな挑戦への意気込みを伺った。
GR86へのスイッチは「思いっきり走るため」
筑波サーキットで行われていたKP61スターレットなどのレースを観て、レースに憧れていたという塩谷選手。レーシングガレージでのアルバイトでレースに触れるようになり、その後AE86でレースデビュー。数年はフォーミュラのレースにも参戦していたが、シビックで参戦したワンメイクレースから、TEAM G/MOTION’としての本格的なレース活動が始まったという。
スーパー耐久への参戦は2009年からだというが、「当時は今よりも一流のプロドライバーもたくさん参戦していたのでドライバーとしてのハードルが高くて、ある程度ワンメイクレースで成績を残さないと走ることができないという雰囲気がありました。そんな中恥ずかしい走りはできないというプレッシャーはありましたね」と参戦当時を振り返ってくれた。
2011年にチャンピオンを獲得したTEAM G/MOTION’だが、その後86が速くなるにつれ勝てなくなってきたという。それでもインテグラで参戦してきた理由も教えてくれた。
「駆動方式が違うクルマが戦っているのって面白いじゃないですか! マシンによってはタイヤを4本交換して時間がかかったり、片や2本で済むクルマがあったりというタイヤによる面白味も以前はあって、互角に戦えていたレースもありました。
でも86がだんだん速くなっていきストレートスピードでも差をつけられるようになってきていた中でGR86がデビューしたので、ここで乗り替えないとタイミングを失うぞと思いGR86にスイッチしました」
TEAM G/MOTION’と言えば、シビック、インテグラ、フィットなどのワンメイクレースに参戦し、現在もシビックでTCRジャパンシリーズに参戦するなど、「TEAM G/MOTION’=ホンダ」というイメージが強い方も多いかもしれない。今回GR86にスイッチしたことに対し塩谷選手はどう考えているのだろうか。
「もちろんホンダさんとの繋がりや無限さんとかにも知り合いが多いので、すごくやりやすい環境でこれまでもレースをさせてもらいました。でもインテグラは古いクルマなのでエンジンにもすごい気を使わなくちゃいけなくて、全盛期よりも1000回転くらい下げるとか最後は騙し騙し乗っていたという面もあります。
僕としてはレースが好きで続けていますし、スポーツとしては思いっきり走れないと楽しくないので、そういう意味でも今回乗り替えを決断しました」
経験を速さに変えプロドライバーに挑んでいきたい
実際に、GR86に乗ってみてどう感じているのだろうか。
「FRの運転にはまだ慣れないですね。FFのレースが長かったからその癖で、リアタイヤが滑ったらアクセルを踏んで姿勢を直そうとするといつもと動きが違くてミスになったりしちゃいます。ただ、古いクルマから最新のクルマになったので、ある程度電子制御に頼って乗っていれば大丈夫かなっていうのもあります。
まだ今回が2戦目ですし、本格的な開発は進められていないので、GR86がどうだというのはまだ言えないですね。ただこうしてシーズンの途中から走ることができたので、その走行データを活かしてオフシーズンにしっかり開発を行い、予算次第ですが、できるだけテストで走り込みたいなと思います
あと、最近カスタマーレーシングというのが流行っていて、TCRジャパンのシビックなんかも買ってきたマシンをメンテナンスするだけなんですよね。でもこうしてマシンを一から作れるということはやっぱり面白いですよね」
モビリティリゾートもてぎでの第5戦は、まずは完走できたというレース展開ではあったが、チームの代表でありながら生粋のドライバーでもある塩谷選手は、今後できるだけ早く他のチームに追いつきバトルを挑んで行く気満々だ!
「ST-4クラスのいいところは、トムススピリットという目標となるチームがいて、プロのドライバーがたくさんいることなんですよね。僕は経験だけはあるので(笑)それを速さにつなげて、おじさんらしくしぶとく戦っていきたいですね。
みんなが『おじさんの星』って呼んでくれたりするので、プロかもしれませんが若いドライバーにも負けてられないですよね。なんにしても本当に楽しんでやっています」
笑顔でインタビューに応じていただいた塩谷選手だが、やはり現状の走りにはクルマ的にもドライバーとしても納得のいかない悔しさがにじみ出ていた。
そして、目指すべきチーム、プロドライバーがいることで奮起している姿は、塩谷選手に限らず、多くのベテランドライバーやアマチュアドライバーに共通している。
プロとアマチュア、そして老若男女が同じステージでバトルを繰り広げ、それぞれの目標に向けて一途に挑んでいく熱き想い。そんなスーパー耐久の魅力を、ぜひプロドライバー以外のドライバーにも注目して感じていただきたい。
(文:GAZOO編集部 山崎 写真:スーパー耐久機構、GAZOO編集部)
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