【ヤリスカップはじまるよ! #2】安心のチーム体制と、レーサー気分を味わえる場所がある。ヤリスカップでも楽しみながらドラテクを磨きたい!

ワンメイクレースとして21年の歴史を持つ「TOYOTA GAZOO Racing Netz Cup Vitz Race(以下、ヴィッツレース)」から生まれ変わり、新たな歴史を歩みだそうとしているワンメイクレース「TOYOTA GAZOO Racing Yaris Cup(以下、ヤリスカップ)」に迫るこの企画。

今回は、昨年までヴィッツレースに参加し、さらに今年からヤリスカップに挑戦するひとりのドライバーに、その魅力やヤリスカップへの期待、ヤリスカップカーを購入した経緯などを、レース開幕に向けてワクワクしている様子と一緒にお届けしよう。

はじまりは「マニュアル車に乗りたい!」という奥さまのひとこと

  • 愛車のヴィッツとオーナーの近藤さん。ちなみにボディのラッピングは、WRCで走っているヤリスをイメージして、自分でカッティングシートを貼ったという

今回取材させていただいたのは、5年前からヴィッツレースに参加し、今年からヤリスカップに出場予定の近藤さん。そんな近藤さんに、まずヴィッツレースとの出会いについて伺った。
「もともとクルマが好きで、ポルシェで走行会などに参加したことはありますが、本格的なレース参戦はヴィッツレースが最初ですね」と教えてくれた。

続けて「じつは妻もクルマが好きで、マニュアルのクルマに乗ってみたいと言われたんですよ。そんなときに息子と観戦に行ったスーパーGTの前座レースで走っていたヴィッツを思い出したんです」
「さっそくネッツ店に見に行って、何気なくレースにも出られるんですか?と聞いたら、スタッフの方が『出られますよ!』と言うじゃないですか!? 話を聞いているうちに面白そうだったので即決しました(笑)」と、街乗りできる楽しいマニュアル車を探していたはずが、なぜかレースカーを買うことに。

ちなみに派手なカラーリングだが、ちゃんと街乗りでも活躍していて「子供には特に人気ですね(笑)」と奥さま。

  • ヴィッツから降ろしたエンジンのシリンダーブロックを加工して自宅のテーブルとして活用するなど、ヴィッツレースは近藤さんの普段の生活にもすっかり浸透している

ワンメイクレースだから目標がつくりやすい、ドラテクを磨ける!

  • 最初に参加したのは2017年。それから11回参加している。車検ステッカーは、ヴィッツレースに参加してきた証だ

そんなヴィッツに出会い、モータースポーツの世界に足を踏み込んだ近藤さん。とはいえ、モータースポーツは初体験。そこで相談に乗ってくれたのがネッツ東京(現トヨタモビリティ東京/GRガレージ東京三鷹)のスタッフさんたちだった。

そのひとりが今回一緒にお話を伺った長山さん。86/BRZレースやヴィッツレース、ラリーなどにGRガレージの社員ドライバーとして参戦。エンジニアとしてはもちろん、レース経験豊富なドライバーだ。

そんな長山さんをはじめスタッフと一緒に、はじめてのモータースポーツ参戦に向けて相談しながら準備を進め、富士スピードウェイ開催のヴィッツレースに参加した近藤さん。
「最初は真っ白のボディにゼッケンだけ貼って参加しました。そしたら、まわりの参加車両を見たら派手なラッピングをしていてカッコいいなと(笑)。そのレースでは予選タイムもほかの参加者と差があり、大変でしたけど思い出に残っています」と、はじめてのモータースポーツに触れた日の思い出を語ってくれた。
そこからスタッフのバックアップもあり、さらに同じクルマ好きの仲間も増え、ワンメイクレースの魅力にハマっていくことに。

仲間もたくさんでき、チームがあるから続けてこられた!

  • 写真左がGRガレージ東京三鷹の長山さん。クルマのサポートはもちろん、ドライビングのアドバイスまでいろいろとお世話になっているそうだ

5年前からヴィッツレースに参加し、今年はヤリスカップカーを購入し、新しくスタートするヤリスカップに参加する予定の近藤さん。そんな近藤さんにワンメイクレースの魅力を聞いた。

「まずはチーム体制ですね。販売店でクルマを買って、メンテナンスもお願いして、レース当日もサポートしてもらえるので助かっています」
「これがプライベーターとしての参加なら自分で作業したり、メカニックを雇ったり、日当や宿泊費を払ったり、すごい出費になると思うんですよ。このチーム体制がなかったら続けられなかったと思います。販売店とお客さんという関係ですけど、ヴィッツレースを始めてすごく近い存在に感じられましたね」と教えてくれた。

確かにレースというと手間とコストがかかるもの。そんな手間や時間の部分を販売店がサポートしてくれるのは心強い。ヴィッツレースやヤリスカップは、販売店を中心としたサポート体制が充実しているので、はじめてのモータースポーツに最適だ。
また安心してレースできる環境は、ドライビングテクニックを磨くのにはうってつけと言える。

長山さんからも「富士スピードウェイ開催ならお客さまが6名ほど、さらに当社のメカニックが4~5名ほど同行してサポートしています。そのほかにもチーム監督や社員ドライバーなど、けっこうな大所帯ですね(笑)」
「当社としても参加型モータースポーツは、新人スタッフの教育の場として、エンジニアの育成に活用しています。もちろん、熟練スタッフも参加して、最終チェックをするので、お客さまも安心してレースに集中してもらえるようにしています」とコメント。
近藤さんも「普段話すことのないような若いスタッフさんと一緒にレースができるのも楽しいですよね!」と盛り上がる。

「あとはレーサー気分になれることが魅力ですね!自分のようなアマチュアドライバーでも予選がはじまればレーサー気分になってコースインしますし、戻ってくるとチームスタッフがタイムを教えてくれて、一緒に喜んでくれるんです。メンテナンスはもちろん、ドライビングのアドバイスもしてもらえ、この緊張感やスタッフとの距離感がたまりません!ワンメイクレースを続けている一番の理由は“仲間”ですね」と言葉に熱がこもる。

長山さんも「お客さん同士はとても仲がよく、GRガレージ東京として練習会ができないときもSNSで連絡を取り合ってサーキットに遊びにいっているみたいですね!また、最近はヴィッツからヤリスに乗り換えないんですか?みたいな話しで盛り上がっているそうです(笑)」
「当社としてもチームとしてバックアップできるように監督をはじめ、自分や同じ社員ドライバーの水谷も含め、点検や整備のほか、ドライビングのアドバイスやデータ共有に力を入れています」と教えてくれた。

新しいヤリスカップに期待!早く実車に乗ってみたい!

  • まだ実車は届いていないが、ヤリスカップカーの写真を見ながら話に花を咲かせる近藤さんと長山さん

ヤリスカップカーを購入し、今年からヤリスカップに参加予定の近藤さん。その理由や期待感についても聞いてみた。また、ヴィッツレースからヤリスカップに移行する決め手についても教えてもらった。

「私が走っている富士スピードウェイでは、昨年同様のレギュレーションでヴィッツレースも開催されます。そのため少し悩みましたが、やっぱりチームでレースに参加する楽しさを知ってしまったので、同じチームで参加できるヤリスカップを選びました!」と教えてくれた。

そんなコメントを聞いて長山さんも「みなさんのために先に走り込んでデータ収集しておきますね!」と、嬉しそうに語る。

さらに新しくスタートするヤリスカップや、ヤリス カップカーについても聞いてみると、「まだ実車に乗っていませんし、ノーマルのヤリスに乗ったこともないのでわかりませんが、ヴィッツ以上に楽しめて、タイムも出るクルマになっているといいですよね。トレッド幅も広がっているみたいなのでコーナリングが楽しそう!富士スピードウェイだと100Rとかで差が出そうですよね!」と自然と笑みが溢れる。

また、ヤリスカップカーでは、リヤサスペンションの減衰力調整機構を備えているので、セッティングについても興味津々のようだ。
「ヴィッツレースでは、セッティング変更できるのがタイヤの空気圧だけだったので、サスペンションセッティングも楽しみのひとつですね」
「レースをはじめる前は、タイヤの空気圧と言われてもちんぷんかんぷんでしたが、今ではセッティングの重要性がわかるようになってきましたし、レンタカーに乗った時に『あれ、タイヤの空気圧が低すぎじゃない?』なんて気付くようにもなりました」
「サーキットでも今日は空気圧どれくらい?なんて会話ばかりなので、サスペンションセッティングができるようになるともっと楽しくなりそうですね!サーキットだとセッティングでガラッと乗り味やタイムがかわるので、今から楽しみです!」と期待感に胸を膨らませる。

ヤリスカップにむけてパーツの相談ができることもGRガレージの魅力。ヤリスカップは、改造範囲は狭いが、ブレーキパッドやホイールなどは自分好みのアイテムを選べる。また、ヤリスカップでは、6点式シートベルトの装着が義務になったので、シート選びもヴィッツレースとは異なる

ドラテクを基礎から学ぶためにヤリスカップカーはCVT車を選択!

ヤリス カップカーは、6速マニュアルとCVTという2種類のミッションが設定されている。サーキットというとマニュアル車というイメージが強いが、一般的に見ればマニュアル車以外が大半。
さらに運転免許証もAT限定が当たり前になっている時代背景もあり、ヴィッツレース時代後半からCVT車も設定されるようになった。

実は近藤さんも、ヤリスカップカーはあえてCVT車を選んだという。
その理由を伺うと「ヴィッツではマニュアル車に乗っていましたが、基本に立ち返る意味でヤリスではCVT車を選びました。まずはハンドリングとペダル操作に集中したほうが上達するんじゃないかなと思ったんですよね」
「実際にマニュアル車だとシフト操作に気を取られちゃうけれど、2ペダルならドライビングに集中できて、タイヤの感覚やクルマの挙動も掴みやすいんじゃないかな」と飽くなき向上心をみせてくれた。

そんな近藤さんに対して長山さんも「個人的にはCVTがおすすめです!去年、自分がCVTのヴィッツでラリーに参加もしましたが、CVTのネガティブなイメージを払拭したいんです。CVTのよさを伝えていきたい!」
「ヤリスになってMTとCVTの差も縮まっていると思うので、とても注目しています。そのために近藤さんには頑張ってもわらないと(笑)」と激励。
そんな言葉に近藤さんも「初心に戻って頑張ります!」と笑いが溢れる。

今後は親子ドライバーでレース参戦するという夢も!?

ヴィッツを買うきっかけになった息子さんも来年で18才。そこで一緒にモータースポーツを楽しみたいと嬉しそうな笑顔を覗かせる近藤さん。
「自分でクルマに乗り、モータースポーツを楽しむようになったのは妻がきっかけです。そしてヴィッツに出会ったのは、小学生の息子とスーパーGTを見に行ったのがきっかけ。それに息子もクルマ好きなので、一緒にヤリスカップに参加できたら楽しそうですね!」
「まだ運転免許も持っていないですし、実際に一緒に参加するとなれば家族会議ですが(笑)」と将来を楽しそうに語る。

最後にモータースポーツを楽しむ理由や目標をたずねると「ただ運転がうまくなりたい!自己満足の世界なので、結局のところドライビングテクニックを向上させたいですよね。ワンメイクレースは、共通のタイムがあり、同じ車種で競い合うので、自分のドラテクが実感しやすいんです」
「あとは、先頭集団じゃなくても抜きつ抜かれつのレースができるので、順位に関わらず楽しめるのもいいところだと思います」

続けて「順位はそこまで重要じゃなく、モータースポーツを楽しむというのが一番大切!もちろん上位に入れば最高ですけどね」
「それにヤリスカップは、モータースポーツとしてはリーズナブルで、参加しやすいのも魅力的ですね。ヤリス カップカーを買ってしまえば、あとはエントリーフィーや消耗品代くらいなので助かっています」と、ワンメイクレース、そしてヤリスカップの魅力も教えてくれた。

もうすぐ開幕するヤリスカップでも、レースに参加する近藤さんの楽しそうな姿を見ることができそう!!

次回は、ヤリスカップカーを架装している現場に潜入し、ヤリスカップカー作りに携わる人の思いをお届けしていこう!

(文・撮影:三木宏章 / 写真提供:近藤希望 / 取材協力:トヨタモビリティ東京)

[ガズー編集部]

MORIZO on the Road