<ヤリス走行動画あり>どんなクルマなの!? どんな人が参戦しているの!? ヤリスカップドライバーインタビュー

5月15日に60台もの参加者を集めて開催された新生ヤリスカップの練習走行会。そもそもヴィッツレースやヤリスカップとはどんなレースなのか分からない方も多いかと思いますので、ヤリスが走行している様子を動画にまとめましたのでぜひご覧ください。

さて、練習走行会では非常に楽し気な雰囲気ながら、新しくなったクルマの走りの違いに戸惑う選手も多かったようです。

そんな様子を現地で伺ってきた参加者のインタビューをお届けしていきましょう。

CVTを言い訳にしない! MT車勢と戦っていきたい

  • 近藤希望選手

以前、「ヤリスカップ、始まるよ!」企画の中でインタビューをさせていただいた近藤希望選手に、実際にヤリス カップカーに乗ってみての印象を伺いました。近藤選手は今回ドライビングを勉強したいとのことでCVTをチョイス、そのあたりもどうだったのでしょうか。

「一昨日納車したばかりで、今日初めてサーキットで走らせました。クルマも新しいしCVTなので、完全に初めてのクルマとていう感じです。まだ乗り慣れていなくてタイムにはつながっていませんが、要所要所ハマると速いなという感じがします。CVTについて、立ち上がりの速度は想像よりMT車についていけているので、ちゃんと練習すればMT車といいバトルができるのではないかと思います。

「ただ、ターンイン時のステアリングを切るタイミングをシフトダウンで覚えていたので、ブレーキだけで減速するCVTでのコーナリングは少し練習が必要ですね。あとブレーキは仮のパッドだったのもあると思いますが、まだヴィッツの方がコントロールしやすかった印象です」

「明らかにパワーが上がっているので、ヴィッツの時はベタ踏みだった100Rが、ヤリスだとコーナーの外側に膨らんでしまうなど難しくなりました。セクター3(※富士スピードウェイの登りのコーナーが連続する区間)はヴィッツよりも走りやすいですね。13コーナーもすんなり曲がれるし、クルマ自体がしっかりしているからかなと思います。

「MTとCVTのタイム差はあるようですが、CVTの方が速く走れるパワーバンドをキープできるし、第1戦までにCVTでの走り方をモノにして、MT車と勝負したいですよね」

ヴィッツとヤリスは全く別物! 自分に合ったセッティングを見つける必要がある

  • 左:内藤章太選手(ネッツトヨタ中部) 中:迫田善孝選手(ネッツトヨタ神戸) 右:北野文哉選手(ネッツトヨタ和歌山)

何やら楽しそうに話をしていたこちらの3選手ですが、実はみなさんバラバラのトヨタディーラーの社員ドライバーでした。
ヴィッツレースでのデビューがほぼ同時で、参戦歴は2年、そして今年も引き続きヤリスカップでバトルするライバルではあるものの、非常に仲が良さそう。

また、迫田選手が「会社からも二つ返事で参戦しようと言ってもらえた」というように、ディーラーが自ら参戦することでFUN TO DRIVEをお客様に伝え、実際にヤリスカップに出てみたいという方にもしっかりとフォローできる体制があることも、ヤリスカップの素晴らしい点です。

さて、そんなみなさんにも、ヤリスカップについて伺いましょう。

「3人の中で一番速い」と2人から太鼓判の迫田選手(写真中央)は、「見た目は似てるかもしれないですが、足回りから何から全然違うクルマなんですよね。乗り方も違いますし、一からセッティングをやり直さなければいけません。特にリアのサスペンションの減衰が調整できるようになり、一段階変えることでコーナーの走り方も変わりますので、自分に合ったセッティングを早く見つけることに必死です」

次に内藤選手(写真左)は、「ヴィッツではセッティングといえば空気圧くらいしかなかったのですが、リアのサスペンションの減衰が調整できるようになったので、ドライビングの技術だけじゃなくて、クルマをセッティングできる実力も必要になります」
ネッツトヨタ中部といえば、社員ドライバーながら86&BRZレースやヴィッツレースでもチャンピオン獲得経験のある神谷裕幸選手もいらっしゃり、セッティングについていろいろと教えてもらっているようで、「ちゃんと違いの分かる男になる」べく勉強とのこと。

そして北野選手(写真右)は「今日がシェイクダウンでした。全然違うクルマで、いつも通りに操作しても思った通りの動きにならないんですよね。ヤリスはアンダースタア気味なんですが、うまくクルマのむきを変えられても、デフがトルセンからオープンに変わったことで、立ち上がりが上手くいかなかったりと、ヴィッツの乗り方が通用しないという印象ですね」

ホームストレート以外全部のコーナーの走り方が違うとのことで、その走り方についてみなさんに聞いてみました。

迫田選手「1コーナーはブレーキの時間を短くすることと、ブレーキングポイントの正確さが大切です。Aコーナー(コカ・コーラコーナー)については速度が乗りすぎたらコースアウトしてしまうのですが、いかに車速を落とさずクリアできるかが鍵となります」

内藤選手「ヘアピン、ダンロップともにブレーキングからの姿勢作りで、しっかりクルマの向きを変えることが必要です。ヤリスはオープンデフのため、アクセルを踏み込みすぎると駆動のロスが出てしまうので、向きを変えて、少しタイヤを転がしてあげて、しっかり立ち上がるということを意識しています」

北野選手「セクター3は登りながらのコーナーが続いていて、一度失速してしまうとなかなか加速できないので、できるだけ速度を落とさないことが大切です。ただオープンデフの特性を活かすためには立ち上がりを重視して、コーナー手前で速度を落としてもタイムを落とさない走りを見つける必要がありますね」

あまりモータースポーツに馴染みのない方には難しい話となってしまいましたが、どんな方でも参戦してしばらくすればこうしたコミュニケーションが取れるようになるんですよ。

みなさん、会社の使命を背負ってはいるものの、そのプレッシャーと戦うだけでなく、楽しんで参戦されている姿が印象的でした。

レーシングカートをやっていても簡単に勝てるレースではない

  • 小松涼選手

4歳から13歳までレーシングカートのレースをやっていたという小松選手。昨年ヴィッツレースに1回出場し、今年からはヤリス カップカーを購入し本格的に参戦されるとのこと。

「就職してしばらくして、またサーキットを走りたいと思い86を買って3年くらい楽しみました。ですが、常々レースにも出たいと思っていまして、昨年たまたま長野トヨタさんのクルマでヴィッツレースに出場できたんです。そして今年からヤリスカップが始まるということでクルマを購入しました。カートの時代から父と二人三脚で挑戦してきましたので、ヤリスカップもまた父とレースできるのが楽しみです」

「1戦しか出ていませんが、ヴィッツレースはクルマの改造幅が狭くて価格も安く敷居の低いレースなので、レースのレベルがどうなの?と思う人もいると思いますが、逆に改造幅が狭いために、本当に自分の実力、ドライビングテクニックで勝負するレースだなと痛感しました。カートレースで身に着けた技術を使える場面もありますが、全く違うクルマですので、そう簡単に勝てるわけではありません。開幕戦では予選をしっかり通過して、本選でいいバトルをしたいですね」

レースが夫婦円満の秘訣!

  • 中西豊選手、中西由美子選手

こちらのご夫婦、実は奥様が3年間ヴィッツレースに参戦し、今年からは旦那様がヤリスカップに参戦するといいます。
まずは由美子選手にヴィッツレースを始めたワケを伺いました。

「ヴィッツのGRバージョンがデビューした時にパンフレットを見て、普通のヴィッツよりかっこいいなと思ったのがきっかけです。もともとジムカーナをやっていて、いつかはサーキットでレースをやりたいと思っていたので、ヴィッツGR SPORT(“Racing” Package)を購入して、3年間は頑張ろうと思って始めました」

「3年間参戦しましたが、なかなか難しいですよね。最初よりはましになりましたが、全く思うようにいかないので、悔しいという気持ちのほうが大きいです。ただ、普段味わえないことができているのでいい経験ですよね」

ちょうど3年経ってヤリスに買い替えた中西家。今度は由美子選手のレース参戦を見守っていた豊選手がヤリスカップに参戦です。

「妻の影響でジムカーナで走っていた時期もあり、レースも好きなのでサポートで一緒にサーキットに行っていましたが、僕もやってみたいなと思い妻に話をしました。楽しみたいですけど、実際に走るとそうも言ってられない気がしますね」

午前中は由美子選手が、午後は豊選手が走行を担当しました。
由美子選手「他の人が速くて譲ってばかりだったんですけど、ヴィッツとの違いはよく分からないまま終わってしまいました(笑)」

豊選手「楽しいのは楽しいですけど、やっぱり難しいですね。みなさん速すぎでよけながらでしたけど、2分30秒かかるかもと思っていましたが2分23秒だったので、初めてにしてはよかったかなと思います。なかなか練習する時間もとれないと思いますが、ちょっとずつ前進していきたいですね。僕にとっての初戦となる鈴鹿のレースでは予選を通過したいですね」

実は中西ご夫妻、このヤリス カップカー以外にも、それぞれ通勤用のクルマをお持ちとのことですが、なんとMT車の3台持ちとのこと! 奥様がGRヤリス、旦那様がビートと、普段から走りを楽しんでいらっしゃるようです。

さて、4組にお話を伺いましたが、参戦している方々は十人十色。レースとのかかわりも職業も目標も全く異なる方たちが織り成す魅力的なレース、ヤリスカップ。
大きなレースと併催している事も、そうではないこともありますが、サーキットにお越しの際は、ぜひともパドックに足を運んで、お話してみてくださいね。

(GAZOO編集部 文、写真、動画:山崎真)

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