クルマ出張 …安東弘樹連載コラム

前回はクルマ通勤について書きましたが、今回は、もっと踏み込んでクルマ“出張”について書かせて頂きます。

実は私、フリーランスになってから出張もクルマで行っています。基本的に500km未満の距離の出張で、時間的な余裕がある場合に限られますが、これまでの例で言うと、名古屋、新潟(長岡)等に行ってきました。それぞれ350km前後の距離です。

結論から申し上げると、まあ見事に快適でした!

私は、これ位の距離でしたら、到着するまで文字通りノンストップで平気ですので、4時間ほどのドライブです(たまにトイレ、水分補給に一回、S.A.に寄る事もありますが、停まっている時間は長くて15分程)。

例えば都心から名古屋への出張の場合、新幹線でしたら確かに東京駅から名古屋駅までは1時間40分ですが、私の場合、東京駅まで自宅から1時間以上掛かりますし、乗り換えの時間もあります。そして名古屋駅から、出張先の仕事現場まで電車やバス、タクシー等での移動も考えれば、結局、クルマと大して変わりません。

それにクルマの場合、荷物を持ち運ばなくて良いですし、新幹線で窓側に座った場合などの、トイレに行くのにも気を遣う、という場面もありません。

自分の場合、出張先までに掻く汗の量も疲労感も段違いにクルマの方が少なかった事を報告させて頂きます。

それに、私は、これまでも国内旅行時、沖縄以外は全てクルマで旅先に移動していたので、特に主要都市については、この距離だったら、このくらいの時間で到着出来る、というのも、大体、頭に入っています(笑)。しかも最近のナビゲーションは優れているので、初めての土地でも、かなりの精度で道案内をしてくれますし、土地勘の無い所でもストレスを感じる事は少なくなっています。

何より、私は移動の自由度に安心感を覚えます。新幹線は、1分、駅への到着が遅れたら、もう後の祭りです。走って行く新幹線を見送るしかありません。クルマ旅でしたら数分、遅れようが、大した問題にはなりませんし、急ぐも、ゆったり行くも自由自在です。掻く汗も少なくなるってもんです(笑)。

当然、出張先でのパフォーマンスにも影響してきますので、今後も500kmを目途に出張は出来る限りクルマで移動しようと思っています。

そして、もう一つ大切な事がありますね。そう、費用です。新幹線の場合、東京~名古屋の“のぞみ”の指定席料金は片道11,000円位。その他にも東京まで、そして名古屋から出張現場までの移動にも多少、お金は掛かるでしょう。

クルマの場合、東名高速道路の、東京~名古屋の高速道路料金は7,090円、私のディーゼルエンジン車の燃費は高速道路では飛躍的に伸びるので、名古屋の場合、350kmの片道燃料代は2,500円程。なんと単純計算すると、11,000円(新幹線)>9,600円(クルマ)という図式になります。

実は出張に行く前にざっと計算してみたのですが、思わず「よし!」と叫んでしまいました(笑)。会社のコスト管理をする皆さん、これを覚えておいて下さい!ましてや二人以上で同乗して行く場合、かなりの交通費を節約出来るかもしれません。勿論、自分で運転する訳ですから、運転が好きではない方にとっては、クルマ出張は論外でしょう。

お酒が好きな方にとっては、往路は、ともかく復路ではビールの一缶でも飲みたいでしょうから、今回は読み飛ばして下さい(笑)。

でも、もし、クルマの運転が苦にならない方で、出張先に駐車場があり、時間的な余裕が多少あり、更に会社が許してくれたなら(このハードルが一番高いかもしれませんが・笑)本当に一度、クルマ出張を試して頂きたいと本気で思っています。

クルマの運転に関しては、それが何時間続いても快楽であり続ける私にとっては、正に天と地程の快適性の違いを感じました。

前回も書きましたが、皆さんにはもっともっとクルマに長距離、長時間、乗って欲しいのです。そうする事によって、今まで見えなかった事が、本当に見えて来るんです。直進安定性とは、どの様なものか。疲れないシートというものは、どんなものか。高速度域で安心して踏めるブレーキとは、どんなものなのか。挙げたらきりがありません。

そして、新幹線とは違う種類の楽しみ方もあります。変な比較ですが、新幹線車内のワゴンサービスとは比べ物にならない程の種類の食べ物、お土産等が、高速道路の各S.A.、P.A.にはあります!中には温泉があるサービスエリアも!往路では時間の制約があるでしょうから、ゆっくりは出来ないと思いますが、復路では多少、ゆっくりしてみるのも醍醐味です。S.A.を週末の混雑している時にだけ利用するのは勿体ないです。

私は社員時代から、長らく平日が公休日でしたので、サービスエリアと言えば、適度な人出の快適な施設、というイメージでした。ところが社員時代の最後の2年は基本的には土日休みになり、家族と出掛けられる様になったのは良いのですが、サービスエリアは勿論、様々な場所に行っては、人の多さに驚きました(笑)。

ですから、皆さんには平日の朝や夕方、また夜の快適な状況で、各休憩施設を堪能して頂きたいという気持ちもあります。

ちなみに、今、YAHOOの企画ページで、私の鈴鹿サーキットモータースポーツ観戦記というものが世に出ているのですが、それは東京から新幹線等の公共交通機関を使えば、時間を効率的に使えて快適にモータースポーツを観戦出来る、という趣旨の記事です。

唯、取材中、私が何度も「やっぱり私はクルマの方が疲れませんね(笑)」と言うものですから、途中から記者の方も「どうですか?クルマより楽ですよね?」と訊くのをやめてしまい、記事にも私の言葉、「それでも私はクルマで来たいです」と本音も載せて頂きました(スミマセン)。

でも都内、しかも都心近くにお住まいの方、鈴鹿まで行くのでしたら、公共交通機関は便利で間違いなく時間も節約出来ますよ!(記事の名誉?の為にも、それは断言しておきます)。

自分に“運転好き”の素養がありながら気づいていない方や暫く忘れていた方に、それを発揮して頂きたいと切に願います。

私の場合、出張もクルマで行くという選択肢が増えた事で、出張自体が依然と比べて数倍楽しくなりました。

実は数日後、兵庫県でロケの予定があります。クルマで行く事も考えたのですが、ロケが終わった後、同日に東京で生放送が控えているので、東京までは、早く到着する新幹線で行かざるを得ません。もう少し時間に余裕がある時は関西方面もクルマで行こうと考えています。

くどい様ですが、都市部に住んでいらっしゃる方にも、クルマはプライベートだけに使うものという先入観は出来れば捨てて頂きたいと思うのです。勿論、「現実的に無理に決まってるだろ!」という声も、既に聞こえてきています(笑)。

でも、もっともっと一人一人のクルマに触れる時間が増えて、クルマを身近に感じる人が増えないと、日本に於ける“クルマ”の存在感の希薄化が加速するような気がしてならないのです。都心に所在している企業の幹部の皆さん、また出張に赴く現場バリバリの社員の皆さん、騙されたと思って、一度、クルマで出張、行ってみませんか?

“何か”が見えて来るかもしれませんよ!

安東 弘樹