高速道路のETC、どれくらいのスピードで通過してる?(クルマの運転操作、みんなはどうしている?)

はじめは緊張していたETCゲートの通過も、便利さに慣れ何度も使っているうちについ運転が雑になりがち。しっかりと減速することなく通過してしまうドライバーも少なからずいらっしゃるようです。

「速いスピードでいくクルマを見たことがある」
「前を走っていたクルマのバーが開かず急に減速してヒヤッとした」

という方もいらっしゃるのでは。
みなさんは、どうしていますか?

わずらわしい料金収受の手間がいらず、割引やマイレージ制度によるポイント還元というメリットもあり、今ではほとんどの車両に装着されているETC。
仕事などで頻繁に使う人は慣れているかと思いますが、普段あまり高速道路を使用しないドライバーさんは、ETCゲートを通過するときにどうしても緊張がともないます。

無意識のうちにやってしまうのが、前車が走る速度につられて、自車の速度を意識しないまま同じような速度でゲートに進入してしまうことです。
また、何度も利用することで慣れてくるにつれ、通過速度が上がる傾向もあります。

ETCとはいえ、まったくトラブルフリーというわけにはいきません。何らかの原因でゲートが開かないことが発生する可能性は忘れてはいけません。
乗り降りするたびにETCカードを抜き差しする面倒さから、ずっと差し込んだままの自家用車オーナーさんもいらっしゃるでしょう。このような場合は、有効期限切れに気づかないケースもあります。「一般」の料金所を通るべき車両が、間違ってETCゲートに進入してしまった場合にも、もちろんゲートは開くことはありません。

私は、自分のクルマがそうならないように気をつけているのはもちろんですが、もし前車のゲートが開かず急停止したとしても玉突き状態で衝突することのないよう、どんな状況を発見しても安全に停止できる速度で通過するようにしています。高速道路会社によれば、前の車両と十分な距離感を保ち、時速20km以下の安全な速度で進入することが推奨されています。ゲート前にも、速度超過を知らせる警告灯があります。実際の流れを見ているとこの推奨速度よりも高いと感じることもありますが、私はこの推奨速度のとおり、徐行に近いスピードまで落として走行しています。

また、減速するタイミングにも気を配っています。出口の場合なら、本線から連絡路へと進む段階から速度を抑えるようにしています。これは、ゲート前で急減速することで後続車を驚かせることを防ぐのとともに、カード異常に対するエラーを事前に察知できるからです。カードの読み込み異常などのエラーは、多くの車載機が事前に報告してくれる機能を備えています。低い速度なら、ゲート前の路肩や広場など安全な場所にクルマを停めカードを確認する余裕ができます。速度を出し過ぎているとエラー情報を感知してもそのままゲートに進むか強引に車線変更をせざるをえない状況におちいってしまいます。これでは、追突などの二次災害の要因になってしまいます。

ゲートが複数ある料金所の場合、ETC専用ゲートの位置は両端にあることが多いです。そんな場合では、料金所の先に分岐があるような構造で、自分の行きたい方向とETCゲートの位置関係がずれてしまうことがあります。先の分岐は左に進みたいのに、ETCゲートは右端を選ばざるをえないようなケースです。そんなときは、つい無理をして強引な車線変更をしがちです。ゲートへ向け減速しているとはいっても、多くの場合時速40~50kmは出ているような速度域で複数の車線を次つぎ移動するような運転は、危険きわまりないものです。
私は、ゲート前での車線変更は極力抑え、通過後に目的の分岐へと車線変更しながら進むようにしています。どの車両もゲートを通過する瞬間がもっとも速度が低いため側方確認が確実にでき、安全に車線変更できるからです。

ゲート通過後に一般道へ進む場合は、これまで走ってきた高速道路の感覚をしっかりとリセットして、アクセルを踏みすぎることのないよう注意して走行しています。

ライター:畑澤 清志

【監修・解説者】

ドライビングエキスパート(トヨタの元テストドライバー)
滝本 良夫(たきもと・よしお)
約40年にわたりトヨタの運転技術指導員として活躍しながら、車両実験部でハイエース、ダイナ、コースターなどの商用車系開発の実験および商品監査に携わる。2014年に定年退社。

[ガズー編集部]