スタッドレスからノーマルタイヤに戻すタイミング、どうしている?(クルマの運転操作、みんなはどうしている?)

氷雪路の性能に特化したスタッドレスタイヤは舗装路が苦手です。柔らかく作られたゴムの特性により操安性が頼りなく感じるのもそうですが、大敵は摩耗です。ノーマルタイヤに比べて減るスピードが速く、それに比例して性能も劣化してしまいます。できるだけ早く履き替えたいところですが、そのタイミングには慎重さも求められます。

「路面の凍結がなくなるタイミングで換えている」
「ついつい忘れてしまい、気づいたらGWにまだスタッドレスだった」

という方もいらっしゃるのでは。
みなさんは、どうしていますか?

「突然の気象の変化も考え、あまり早いタイミングにならないよう交換時期は慎重に。ただし、長く履き続けるのは危険。」

カレンダーも立春を過ぎると気持ちのうえでは春が待ち遠しくなる時期ではありますが、クルマについては、まだまだ冬仕様のまま走り続けなければいけない時期でもあります。寒さの厳しい地域においては、冬のあいだに活躍してくれたスタッドレスタイヤに感謝しつつノーマルタイヤに交換する作業は、待ちに待った春の到来を告げてくれる風物詩です。

そんな「スタッドレスタイヤをいつ履き替えるか」問題。山間部と平野部など地域によって気温も生活環境も違うので一概にいつが推奨とは言い切れませんが、私は、気象庁発表の長期予報をある程度の目安として考えています。地域差はありますが、気温が少しずつ上がりはじめ日中から夜間を通した平均気温が7℃以上になる頃が履き替えるタイミングと考えます。おおむね3月下旬から4月にかけてが該当します。

ただ、予期せぬ低気圧など不安定な気象状況もまたおなじみの現象です。アイスバーンができやすい気候・地域にお住まいなら、交換の時期はあらためて慎重に考えたほうがいいでしょう。そのような地域なら、早く履き替えるメリットはあまりないといえます。
スタッドレスタイヤは氷雪路のグリップ性能を最大限に考え設計されているので舗装路では摩耗しやすい特性を持っています。だから、なるべく距離を走らないようにし温存するため早くノーマルタイヤに交換したいというオーナーの気持ちもわかります。
しかし天気予報も完ぺきではありません。都心部だとしてもときおり4月の降雪が報告される年もあります。仮にノーマルタイヤに履き替えていたとしても突然の寒波にはスタッドレスタイヤに戻すくらいの柔軟な考え方でいたいものです。

あと気をつけておきたいのが、いまのスタッドレスタイヤをもう履きつぶすとしても、そのまま履き続けないことです。氷雪を引っ掻くための柔らかいゴムとブロック形状、そして深い溝の形状が特徴のスタッドレスタイヤ。これは裏を返せば変形しやすく接地面積が少ないことを意味します。そのため暖かいシーズンに入っても使い続けると、変形しやすいことから高速走行ではバーストなどを起こしてしまう危険性があります。さらに接地面積が少ないことから夏タイヤと比較してブレーキの効きが悪くなり制動距離が伸びるという危険性もございます。

ライター:畑澤 清志

【監修・解説者】

ドライビングエキスパート(トヨタの元テストドライバー)
滝本 良夫(たきもと・よしお)
約40年にわたりトヨタの運転技術指導員として活躍しながら、車両実験部でハイエース、ダイナ、コースターなどの商用車系開発の実験および商品監査に携わる。2014年に定年退社。

[ガズー編集部]