雨と風に翻弄されながらも熱く盛り上がった33回目の「LCM」
『ランドクルーザーズ・ミーティング(LCM)』は1987年に第1回目が開催され、今回が33回目となる歴史あるミーティングです。今年は北は北海道、南は九州から、会場となる岡山県真庭市のヒルゼン高原センター・ジョイフルパークに300台以上のランドクルーザーが集合しました。
しかし、あろうことかLCMの日程である10月12~13日に合わせるように、“史上最強”と言われる台風19号が接近。主催者はその開催について、ギリギリまで天気予報を見ながら議論を重ねたと言います。そうしたなか、会場近辺は予想よりも降雨量も少なくなることが見込まれたため、主催者は「開催できる」とギリギリの判断。当日を迎えたのでした。
とはいえ、初日の12日は間断なく降り続く雨、そして時折強い風が会場を吹きさらします。それでも15時の時点で200台を超える参加者が集まりました。LCM創設当時からこのミーティングを支え続けている寺田昌弘さんは「ランクルは全天候型だから」と笑います。会場は驚くほどの多くの参加者で賑わっていました。これも“ランクル愛”“LCM愛”があるからなのでしょう。
- 荒天のなか続々と集結する歴代ランドクルーザー
開発者の小鑓貞嘉さんも参加してイベントを盛り上げる!
会場にはランドクルーザー開発に携わった主査の小鑓貞嘉さんが来場。ランクルオーナーとの交流を楽しみながら、記念グッズ販売ブースの最前線に立っていました。
そんな小鑓さんにLCMについてお話を伺いました。
「岡山から台風は逸れたと思ったけど、蒜山に嵐が来るとはね(苦笑い)。新しいクルマも増えていてよく集まっていますね。すごいことです」と感慨深げ。
旧モデルから最新モデルまで、様々なタイプのランドクルーザーが集結していましたが、その中でも70は重要なモデルだと小鑓さんは考えているということです。
「70を2014年8月から1年間だけ再販しましたが、それがLCMにも反映されていますね。頑張って開発した価値がありました。旧タイプの70を手放さなくてはならかったオーナーさんに改めて購入していただいたというケース、そして、けっこう若い年齢の方にも買っていただきましたね。かつては最新のランクルでLCMに来るのは抵抗があるという方も多かったと聞いていますが、新型の70が出た後にはそんな感覚もなくなりましたね。LCMの間口が広がったと感じています。同時に、FJクルーザーでも参加しやすくなりましたね。このミーティングが、ランドクルーザーが集まるきっかけになればと思います」
- ランドクルーザー開発者の小鑓さん(右)と寺田昌弘さん。
実は、この70の再販が実現したきっかけは、このLCMが大きく関係しているそうです。
「(70の再販については)自分でも構想は持っていましたが、このイベントに来てLCM参加者の皆さんと付き合いだしてから、大将(前出の寺田昌弘さん)を筆頭に皆さんの要望が強いことがわかったんですよ」と小鑓さん。
ランクルがLCMを生み出し、そしてLCMが70の再販を促し、その結果LCMの間口が広がってイベントの規模がさらに大きくなるという、好循環が生まれているようです。
- 小鑓さんが印象深いモデルとして挙げていた再販復活版の70型ランドクルーザー
販売台数の世界累計1000万台到達!
今年のLCMは、ランクルの販売台数の世界累計1000万台到達直後に行われたタイムリーなミーティングでした。ランドクルーザー開発者の小鑓さんも喜びの声を聞かせてくれました。
「2019年の8月末に、1000万台を達成することができました。これも皆様のご愛顧のおかげと感謝しております。どうもありがとうございます。10年前のランクルと言えば40から始まって、60、70、80のユーザーが多かったんですが、一度70を復活販売し、その効果もあって若い方のミーティング参加も多くなり、ランクルの輪が広がっています。参加される方も『ランクルを楽しむ』とともに『ランクルで楽しむ』という方が増えているのかな、と感じています。今後ともランクルを変わらずご愛顧頂き、次の2000万台、3000万台に向けて、我々もできることをやっていきたいと思います。よろしくお願いします」
- 来場者に1000万台突破の感謝を述べる小鑓さん。
参加者みんなで運営し、盛り上げるのがLCM
- 特定の主催者ではなく、参加者がみんなで運営を支えあうのが特徴のLCM。
LCMの特徴は、このミーティングがひとつの特定のクラブの集まりではなく、ランクルでつながった大きな器といったイメージです。主催(実行委員)は毎年毎回異なり、今回は「ランドクルーザークラブ岡山」と、「ごん太坂二丁目商店会」の2クラブの共同主催となっています。
「中国地方では3回目の開催となります。過去2回はオフロードコースがある場所でしたが、今回はコースはありません。ロケーションや温泉、観光など、ここをベースに楽しんでもらえたらいいですね」とは、ランドクルーザークラブ岡山会長の道上鉄也さん。
「ファミリーも増えましたね。夜はキャンプでみんな入り混ざって、お酒を飲みながら『初めまして』『久しぶり』と楽しむのも恒例ですよ」と、ごん太坂二丁目商店会会長・小林裕貴さん。
小林さんは取材中、「とにかく晴れてほしい」と言っていましたが、来年以降もLCMは雨が降ろうと風が吹こうと、「雨にも負けず風にも負けず……」、ランクルを楽しむ、ランクルで楽しむファンたちによって盛り上がっていくことでしょう。
- ごん太坂二丁目商店会会長の小林裕貴さん。ランドクルーザークラブ岡山会長の道上鉄也さん。
参加者の声
前田将司さん(愛知)ランクル100シグナス
「今日はランクル仲間と来ました。仲間のなかには、40などといった古いタイプのランクルもいるので、そうしたクルマを間近で見られるのがいいですね」」と語るのは、キャンプ好きな前田さん。キャンピングトレーラーを購入したことをきっかけに、パワフルかつ使い勝手の良いランドクルーザーを手に入れたという。この日も、キャンピングトレーラー『ホビー・プレミアム』をけん引しての参加でした。「ランクルは車高も乗り味も変えられるのが良い。ヒッチを着けるときは車高を下げ、高速を走る時は硬い乗り味にしたりね。車重もあるので、牽引時の安定感や安心感も高いですね」と、100系ランクルに大満足のようす。
山出大介さん(愛知県)ランクル40
ジャックラッセルテリアの「なっちゃん」と参加の山出さん夫妻。ピカピカのキレイな40が非常に目立っていました。聞けば、購入後のレストアではなく、この状態で出会ったそうです。「当時は他に興味のあるクルマもあったのだけれど、ピカピカな40を一目みて気に入りました」と山出さん。4年前に購入して以来、実は最近まで車検を切らしていて、車庫に保管したままだったということです。今回が記念すべき初乗りとのことで、その乗り味は?「クラッチもアクセルも今のクルマと比べると重いですね。渋滞区間では足がつりそうでした(笑)。でも、パワーステアリングが装着されていたので普通に走れました」とのこと。「初めての40でのドライブが台風接近のなかで不安だったのですが、前後をランクル仲間がカバーしてくれたので、安心して走れました。今回は北海道や九州から来ているオーナーさんもいらっしゃって、ランクル乗りの方のエネルギーはすごい!と感じました」と感激のようすでした。
- 雨が止んだ2日目に、参加者の皆さんが集まって集合撮影!
初日は、天気予報による淡い期待は吹き飛び、雨・風の強い一日でした。それでも早くから多くの“ランクル乗り”達が会場に集結。今回初参加というオーナーもいらっしゃいました。2日目には雲の間から青空が顔を出す天気に。天候を選ばず300台ものオーナーが集まるのは、やはりランドクルーザーの持つ個性があってこそでしょう。
オリジナルの手ぬぐいとTシャツが販売されていました。LCM参加の記念に購入する人が多かったです。
グッズのなかでもやはり人気は生産累計1000台を記念したステッカー。ステージカーに貼られたバナーには、オーナーの皆さんからの祝福メッセージがびっしり書き込まれていました。
(写真:小松ひろ/LCM、文:小松ひろ)
[ガズー編集部]
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