【クルマ好き学生の愛車紹介】唯一無二の存在感!90年代風カスタムのトヨタ・セラ

1987年、晴海で開催された第27回東京モーターショーのトヨタブースに、一際目立つコンセプトカーが出展された。
車体の上半分ほぼ全てがガラスで構成されたグラスキャノピーと、斜め上に開くガルウイングドア※を持つ「AXV-Ⅱ」である。
※正確にはバタフライドアだが、跳ね上げ式ドア全般を指す通称としてガルウイングドアと本記事では記述。

今回ご紹介するトヨタ・セラは、この「AXV-Ⅱ」の市販化モデルとして160万円からという低価格で1990年に発売された。
ちなみに、このセラのベースとなったトヨタ・EP82型スターレットのトップグレードが当時130万円台だった。ボディーや内装部品などの多くが専用設計だった事を考えると、驚愕に値する価格設定と言える。

生産終了となる1995年までの間に世に出たセラの数は1万6000台に満たない程度。お世辞にも多いとは言えず、今となっては街であまり見かける事のないクルマとなってしまった。

オーナーである小畑さんは、現在大学生で、このセラが初めて購入したクルマだという。生産終了から20年を過ぎた今、なぜセラなのか?
「人と同じがイヤ!というのが1番の理由です。見るひとが驚く目立つクルマに乗りたくて、セラはピッタリでした。」

もともと、ホンダ・シビッククーペや三菱・エクリプス、トヨタ・サイノスといったスペシャリティーカーが好きだったという小畑さん。セラも元から好きなクルマだったものの、希少性からか中古車相場は高めなので現実的ではないと思っていたそうだ。
しかし、なんとなく覗いたオークションサイトで出品されていたのを見たのがきっかけで、実際に購入する事に。

「10万円で出品されていて、これは行くしか無い!と思いました。さすがに10万円からは徐々に値上がりしたのですが、粘って18万で落札しました。買ってみたらワンオーナー車で、走行距離も42,000kmとすごいラッキーだったと思います。父もクルマ好きで、セラの購入には反対されるどころか、むしろ乗り気なくらいで・・・。」

2014年12月に購入して以来、色々とモディファイを行っているとの事。
「僕が子供のころ、近所を走っていた様な感じのクルマを目指しています。ビレットホイール入れればUSっぽいみたいな、カスタムを深く理解してないけど何となくカッコイイからいじっているみたいな感じが良いですよね。90年代後半のカスタムカー雑誌の読者投稿欄をイメージしています。」

カスタマイズの方向性としては珍しいアプローチだが、そう言われてみるとあの日あの頃、街角にいた様に思えてくる。

外見上、大きな変更点といえばホイールだろう。1997年頃に製造されたもので、アメリカのビレットホイールを模して製造された日本製。また、スターレット用の車高調を流用して装着することでローダウン化を果たしている。

ガラスに囲まれたセラにとっては、内装も外装の一部と言える。そのためかオーナーの細かなこだわりは車内に多く隠されている。ハンドルやシフトノブ、バックミラーから吊るされたダイスなど、全て当時をイメージしてのものだ。
さらに、カスタムカーの雑誌としてかなりの人気を誇った「キャルマガジン」誌1996年5月号が助手席側のダッシュボードに。その横には、スマートフォン全盛の今ではほぼ見かけない形の携帯電話までもが、当時を再現するための小道具として車内に置かれている。

時代の雰囲気に合わないという理由から、ナビもETCも付けていないという徹底ぶりだ。
90年代の自動車文化の空気感、雰囲気が好きと語る小畑さん。当時を知る年代の方々から、「こんなのあったね」と言ってもらえるのが嬉しいそうだ。

そんな小畑さんだが、1番気に入っているポイントは、やはりガラスに囲まれた車内の圧倒的な開放感だという。夜に都内を走っていると、街灯や他のクルマのヘッドライトなど、色んなところから光が入ってくる。また、雨が降れば空模様や雨粒が振りかかる様子が良く見えて、何となく走っているだけでも楽しいのだとか。

最初に買ったクルマという事もあって、セラには格別の思い入れがあると語る小畑さん。今のところ乗り換える気は全く無く、出来ればずっと持っていたいとの事。

「まだまだやりたいことはたくさんあります。購入時からのキズがあちこちにあるので、色を塗って外装をキレイしたいと思っています。最終的にはハイドロですかね!一目見てなんだあれ!って言われるクルマにしたいです。」

若者向けにデビューしたセラだが、販売開始から25年経過した今もなお、人をわくわくさせる魅力に満ちている。自分の道を貫き通す事でカーライフを最大限に楽しんでいる小畑さんにとって、最高の相棒と言えるだろう。

[ガズー編集部]