【ノスタルジック2デイズ特集】「サーキットの狼」に憧れて手に入れた フルオリジナルの“スペシャル”

小学生のときに抱いた「いつかは絶対に乗る!」との想いを、40年以上の年月を経て実現させたのが、このロータス・ヨーロッパスペシャルのオーナー、加藤さん。
現在54歳の加藤さんがロータス・ヨーロッパに憧れるようになったきっかけは、週刊少年ジャンプで連載していた漫画『サーキットの狼』。一匹狼の走り屋としてライバルたちと熱いバトルを繰り広げる、主人公・風吹裕矢の愛車がロータス・ヨーロッパだったのだ。

イギリスF1ドライバーのコーリン・チャップマンが創業したロータス・カーズが、セブンの後継モデルとなる軽量スポーツカーとして1966年にデビューさせたのがヨーロッパ。
エラン譲りの強靱なY字型バックボーンフレームにFRP製のボディを組み合わせ、初期モデルはルノー製の直列4気筒OHV1.5ℓ(82ps)をミッドシップに搭載していた。

その後のモデルチェンジではパワーウインドウやラジオなどの追加で快適性を向上させるとともに、エンジンをフォード製ブロックにロータス製DOHCヘッドを組み合わせた1.6ℓ(105ps)に変更。
そして1972年に登場した最終型のスペシャルでは、エンジンの圧縮比アップやインテークバルブの拡大といったチューニングが施され、最高出力は126psまで向上している。

加藤さんの1973年型ロータス・ヨーロッパ スペシャルのこだわりは、外装のペイントも含めて完全なオリジナルであること。手に入れたきっかけは、SNSサイトでたまたま見かけた“売りたし"の書き込みで、現車を確認して翌日には購入を決めたという。
「もうないだろうと諦めていたフルオリジナルを発見し、これを逃したら一生乗れないと思って決断しました」と加藤さんは振り返る。
元々は米国ミネソタ州から輸入して2015年に新車登録されたもので、前オーナーが維持できないと手放すことにしたものであったという。

ちなみに加藤さんのフルオリジナルへの強いこだわりは、約30年前に参加していたハコスカのオーナークラブでの経験に基づくもの。そこで出会ったフルオリジナルの個体に、自身が所有していた改造車にはない独特な“凄味”を感じたのだという。

ロータス・エラン譲りのツインカムユニットは、フォード製エンジンをベースにロータスオリジナルのDOHCヘッドを組み合わせたもので、最終型のスペシャルには圧縮比アップやビッグバルブなどでチューニングが施されている。
好調を維持するためのメンテナンスとしては1000km毎のエンジンオイル交換で、20w-60という硬めの鉱物油を選択。このほかに重要なのは早期にトラブルを発見できるように、日頃からエンジンルームをキレイにしておくことだという。

この北米仕様にはストロンバーグ製のキャブレターが採用されているが、専門ショップでセッティングしてからは絶好調で、街乗りでも10km/h前後という好燃費を記録するという。
また少々面倒なのが、左右に独立した燃料タンクを持つため、2カ所の給油口から重量バランスを考えつつ給油しなければならないという点だとか。

加藤さんにとってロータス・ヨーロッパの最大の魅力は、なんといってもハンドリングの良さ。ドライバーの意のままにクイックに反応する挙動は想像以上のもので、とても45年前のクルマとは思えないと言う。

もちろんスタイリングにもぞっこんで、購入してから約3年が経つ今でも、毎晩夕食後には愛車を眺めて過ごしているそうだ。
そして目下の楽しみは、ロータス・ヨーロッパに興味を示しているお孫さんがひとりで助手席に座れるようになったら、一緒にドライブを楽しむことだ、と目を細めつつ語ってくれた。

[ガズー編集部]