オーナーズクラブに飛び入りし6年かけて入手。30才オーナーが大事に乗り続けるアコードサルーン(E-SM)
1979年式のアコード・サルーン(E-SM)に乗る新潟県在住の本間龍之介さんは現在30才。自分よりも年上の愛車で、季節問わずドライブに買い物にと充実したカーライフを送っているという。
本間さんが自分の年齢よりも圧倒的に古いアコードサルーンにハマる理由、その魅力についてお話しを伺った。
「クルマは小さい頃から好きでした。親もクルマやバイクも好きだったので、その影響もあったのかな。
中学生くらいからは当時雑誌でしかみることができなかったけどカクカクしたクルマが特に好きで、高校卒業してすぐにクルマの免許を取っていろいろ調べるうちにホンダのアコードや三菱のギャランシグマの形がいいなと思うようになりました。
そして、インターネットで調べたら初代アコードのオーナーズクラブを発見したので、連絡をとって年1回開催されているミーティングに初めて参加したのが20才の頃です」
まだ自分のクルマも持たない段階で、なんのツテもないオーナーズクラブミーティングにたったひとりで参加するほど、本間さんのアコードに対する想いは強かったということだろう。
「普通の旧車ミーティングに行ってもアコードはあまりいないので、毎年春のオーナーミーティングには欠かさず参加するようになりました。その間もずっと初代アコードを探していたんですが、なかなか情報がなく、乗りたくても乗れない状況が長く続いていました」
そうして本間さんが我慢強くアコードを探すこと6年。
「オーナーズクラブの会長から『車庫に乗っていないアコードサルーンがあるけど本間さんどうですか』と連絡をいただきました。そこで『ぜひ!』と購入したのがこのクルマです」
アコードといえば、1976年に発売開始されたホンダの中型高級セダンで、現在も現行車種として10代目が販売されているロングセラーモデルだ。
初代モデルの発売当初は排ガス規制をクリアしたCVCC仕様の1.6Lエンジンを搭載した3ドアハッチバックのみだったが、翌年にはトランクと客室部分を独立させた4ドアの『アコード・サルーン』が登場した。
本間さんが手に入れたのは1800ccのEKエンジンを搭載したオートマ車で、グレードは最上級のEX-L。
「僕の1番の希望は1800ccで走って楽しいマニュアル仕様でグレード問わずだったんですが、マニュアルを探していたらいつ買えるのかわからないので…(苦笑)。色はあまりこだわっていなかったんですけど、自分は緑が好きだったのでちょうど良いクルマに出会えたなという感じでした」
譲り受けた段階では不動車だったため、まずは修理工場に運んで動くようにしてもらうと同時に、塗装のツヤもなくサビも出ていたので純正色にオールペンしたという。
それにしても、いきなり旧車に乗ることに対し不安はなかったのだろうか。
「故障したらその時は修理に出そうと開き直っていたので、旧車に乗ることの不安はあまり考えなかったですね。メンテナンスについては小さな修理などは地元新潟の修理工場で、大きな修理や車検は埼玉県の大きな工場にお願いしています。オイル交換などの軽作業は自分でやっていますね。
これまでで一番苦労したのは、一度道端で止まってしまったことですね。ただ、埼玉の修理工場に持っていって調べてもらったけどエンジンがすんなりかかってしまって、原因は特定できませんでした(苦笑)。プラグのかぶりじゃないかということで、その後は予備プラグを持ち歩くようにしています」
ちなみにアコード・サルーンが見つかるまでは、雪国には実用的で本間さんが好きだった4WDのテリオスキットに、その後はパジェロミニに乗り換え現在もアコードサルーンと合わせて所有しているという。
憧れのクルマだったアコード・サルーンは、その2台に実用性では叶わずとも、十分に乗って楽しく「なんだかんだ気に入っているところしかない」のだとか。
「乗り心地がフワフワしているところがパジェロミニより楽しいです。これまで乗ったクルマのなかではこのアコードが一番お気に入りです。とくにオートマ仕様なところがいいですね。本当はマニュアル仕様がよかったはずなんですけど、乗ってみたらこれが意外と悪くなくて。
スターレンジといって星印が付いているのが2速でトップギア、これがオーバードライブなんです。1速でも80km/hくらいまで伸びるんですよ。普通は3速ですよね(笑)。でもそういうちょっと変わった部分も含めていいなって」
またエクステリアのスタイリングも本間さんにとっては魅力的で、ご自身の使い道に合わせたパーツを追加しているのもポイント。
「よく第一印象がタクシーみたいって言われますね。友達が乗っているコロナのタクシーと並べるとまるでタクシー乗り場みたいな(笑)。ルーフ上のキャリアは後付けで、これにスキーを積んで雪山に行っています。
フロントのフォグランプも、雪山に行くときにあったほうがいいし、見た目的にもこっちの方がカッコいいなと思ったので後から追加しました」
そして最上級グレードだけあり、内装も見どころが盛りだくさんだ。
「シートや内張りなどの内装はボディカラーに合わせて全体的にグリーン系で統一されているんです。シートもふわっふわでソファのような感じです。
あと面白いのが、リアドアのロック解除レバーがあって、ロックしておかないと警告音が鳴るところです。オーディオも生きていて、普段聴くのはほぼラジオですが、テープもちょっとだけ持っています」
パワーステアリング、パワーウインドウ、エアコンも装備されている。
「風向きの調整の切り替えの種類が少なかったり除湿暖房ができなかったりとかはありますが、エアコンはちゃんと効きますよ」
彼女をこのクルマに乗せて出かけることもあるが、特に不満を言われたことはないのだとか。本間さんが手に持つラベンダーポプリも彼女さんからのプレゼントだという。
そんな本間さんだが、出かけた先でステッカーや記念品を集めるのが好きなのだそうだ。またミーティングに参加することもある。
「僕はどちらかというとコミュ症なんですが、どこかのミーティングでツーリングのときは幅広い年齢層の方とお話しします」
所有してから6年、冬でも雨でも気にせず、デートにドライブに雪山にと活躍している本間さんのアコード・サルーンの走行距離は現在12万2000kmに。そんな愛車に対して今後本間さんが考えていることとは?
「実は自分でペッコリへこましたところがあって、直したいのですがそれにお金をかけすぎるのもどうかと思うので、せめて錆止めをと思っていますね(苦笑)。その後はよっぽどのことがない限り、乗り続けていきたいと思っています」
ご自身の年齢より10才以上も年上ながら、そのスタイリングに魅了されオーナーズクラブに単身で飛び込んでから6年かけて待ち続けて手に入れた本間さんの愛車、初代アコード・サルーン。
当時のセダンならではのフワフワな乗り心地や最上級内装などそのすべてが、本間さんにとってはプラス要素なのだ。本間さんとアコードサルーンの物語はこれからも紡がれていくことだろう。
取材協力:宝山酒造
(⽂: 西本尚恵 / 撮影: 金子信敏)
[GAZOO編集部]
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