【世界の愛車紹介タイ編】クーペに姿を変えた、元ハッチバックのシビック

タイではクルマのボディを作り変えることは珍しくありません。セフィーロをスカイラインやフェアレディZの外観に仕立てた例など、FR車に多く見られますが、最近ではFF車でも見かけるようになってきました。
今回紹介するシビッククーペもそんなカスタマイズを施した1台。なんとハッチバック(EG6)をクーペ(EJ1)に改造した非常に珍しいシビックです。
このシビックのオーナーはレース部品関係のお店を経営している マンさん。マンさんはRX-7のロータリーエンジンを搭載したBMW(E30)、シルビアと乗り継ぎ、タイ国内で人気を集めるVTECエンジン搭載のシビックに乗り換えました。

言われなければ誰もが普通のクーペと思うマンさんのシビック
言われなければ誰もが普通のクーペと思うマンさんのシビック

USDMスタイル(アメリカ国内を走るクルマをイメージしたカスタム)のドレスアップが好きで、今まで違うことをとことんやりたいと思っていたマンさん。タイ国内でめったに見かけることのないクーペ化を決意し、高い加工と塗装技術を持つショップに作業を依頼しました。

タイでの取材中、たまたま撮影したハッチバックのシビック(左)。マンさんのシビッククーペはもともとこの形でした
タイでの取材中、たまたま撮影したハッチバックのシビック(左)。マンさんのシビッククーペはもともとこの形でした

ボディ後部を途中でカットし、クーペのボディとドッキング。ルーフからCピラー、リアフェンダーからトランクへの流れも自然で、もとからクーペだったような佇まいを漂わせています。また、ボディカラーのパープルはオリジナルのクーペで採用されていた色に再塗装したもの。純正風の仕上がりにこだわるマンさんのこだわりを感じます。

美しい仕上がりのリア。上のハッチバックと見比べてみてください!
美しい仕上がりのリア。上のハッチバックと見比べてみてください!

ちなみにかかった費用は17万バーツ(約45万円)。ハッチバックと共通の部分が多く、それほど苦労する部分がなかったというのが興味深いところです。

目をひくロケットダンサーの大きなフラットスカート
目をひくロケットダンサーの大きなフラットスカート

外観同様、エンジンのチューニングにも力が入っています。1.5リッターのD15BエンジンにP08のピストンとD17Y用コンロッドとクランクシャフトを組み付け1.7リッターに。また、シリンダーヘッドのポート加工やカムシャフトの変更、スロットルバルブの交換なども実施済み。パワーはリッター100psとなる170psをマーク。ミッションのギアも変更され、ゼロヨンを14秒1で駆け抜けます。

エンジン内部まで手が入ったエンジン。驚くような加速を見せます
エンジン内部まで手が入ったエンジン。驚くような加速を見せます
MSDイグニッションコイルユニットでパワー増強
MSDイグニッションコイルユニットでパワー増強

ちなみにタイ国内では、今回のような改造を行う場合、運輸局に届け出をして車検を受けなければなりませんが、所定の手続きは終了済み。この“シビッククーペ”は安心して公道を走ることができるというから凄いとしか言いようがありません。

ホイールはシンプルな6本スポークを選択。ブレーキキャリパーも交換済みです
ホイールはシンプルな6本スポークを選択。ブレーキキャリパーも交換済みです
ナルディのステアリングが走りを感じさせるコクピット。特徴的なシフトレバーは素早いシフトチェンジを可能にするK-Tuned製
ナルディのステアリングが走りを感じさせるコクピット。特徴的なシフトレバーは素早いシフトチェンジを可能にするK-Tuned製

自分たちが望む形にどんどん作り変えていくマンさんの行動力には脱帽。日本で同じことをやろうと思っても法規の問題などで、なかなか難しいと思いますが、それを許容するタイの懐の広さにちょっとジェラシーを感じました。タイのモータリゼーションが発達している理由を垣間見た気がします。

Pakorn suksamran(パコーン スックサンラーン)
タイのライター兼編集者。普段からクルマ系記事を中心に担当しており、「Option thailand」等でも執筆経験あり。

[ガズ―編集部]