20才からスカイラインひとすじ! GT-Rへの憧れが細部に宿るZ-tune専用カラーのER34
みなさんは『ジャパン峠プロジェクト(JTP)』をご存知だろうか?
本州の各地にある峠道とコラボし、実際に現地を訪れた人だけがそこでしか手に入らない『峠ステッカー』や限定グッズを購入できるというSNSを中心とした人気企画で、2021年時点でそのステッカーの種類はなんと66枚まで登っているという。
そして今回、取材にお邪魔した『ディーズガレージオータムフェスティバル2021』では、会場がJTPとのコラボ先のひとつである榛名山の麓ということもあり、66枚のステッカーを集めたクルマ好きのための『コンプリート感謝祭ツアー2021』という催しが行われていた。
こちらの日産・スカイライン(ER34)オーナーの鈴木志之さんも、その66枚の峠ステッカーをすべて集め、その証であるコンプリートステッカーを入手するためにこのイベントに参加していたひとりだ。
峠ステッカーをコンプリートしていることからも分かる通り、一番の趣味が愛車に乗ってドライブをすること、という鈴木さんは現在36才。
「このR34は20才のころに初めて買ったクルマなんです」ということで16年間も連れ添った相棒となるわけだが、クルマ好きになるキッカケはそもそも兄の影響が大きかったという。
「兄は昔から電車、戦艦、戦車とか乗り物が好きで、そこから自然と影響されていきました。高校生のころには自分もバイクを買って乗っていて、当時は普通免許を取っても手ごろなワゴンRとかでいいなと思っていたんです」
「だけど、高校で仲良くなった友達が大の日産党で、彼に洗脳されてしまいました(笑)。自分も頭文字Dとかを見てクルマに興味が湧いていくうちにGT-Rがすごいクルマなんだと知って、憧れるようになりました。そのときちょうど兄もAE86に乗り始めていたので、そういうクルマに乗りたいと思いはじめました」
そうして高校を卒業するころには自身が自動車関係の職場を志望するほどになり、国産タイヤメーカーに就職することになったという。
実は最初に頭文字Dで憧れたGT-RはR32だったものの、歴代モデルを見比べるうち特にR34のフロントフェイスのデザインがお気に入りに。そうしてR34を探していると、兄の職場の同僚から100万円で譲ってくれると話があり、それがこちらのER34との出会いだったという。
「GT-Rを選べなかったのは予算の問題が大きくて、最初はGT-Rじゃないことに正直ちょっと残念な気持ちもありましたが、ここまで長く乗るとER34のスタイルに愛着が増してきて、ずっとこのまま乗り続けたいと思うようになってきました」と鈴木さん。
フルノーマルだった外装はトップシークレット製フロントバンパー、インパル製サイドステップ、イーストベアー製リヤバンパーという、それぞれメーカーが異なる自分好みのスタイルに変更してあり、その上でBNR34との決定的な違いであるフェンダーは、愛着のあるER34のままをキープしている。
16年間この1台だけで普段乗りも通勤も長距離ドライブもこなしてきたことから、カーボンボンネットの色あせが目立つほど外装もヤレてしまったが、2年前にオールペンでリフレッシュ。
ボディカラーはGT-Rの歴史の中でも伝説と言えるほどの限定車『NISMO R34GT-R Z-tune』に使用されたシルバーを選んだ。
ほかにもGTウイングやシフトノブといった各所にニスモ製パーツを選んでいるところには、日産党の友人からクルマ好きに育てられた影響がうかがえる。ちなみにその友人も鈴木さんと同じく自動車関係の仕事に就いてR32スカイラインオーナーとなり、今では日産・ノート ニスモSを所有しているそうだ。
いっぽうで、このクルマを見たER34オーナーがみんな驚くというポイントが、ダッシュボードに移植されたBNR34純正のマルチファンクションディスプレイ。通常のER34にはアナログ式3連メーターが取り付けられているが、過去にこのクルマでサーキットを走っていた際に見づらさを感じたため、デジタル表示ができる上に一見ノーマル風なことからこのアイテムを選んだという。ショップに依頼して取り付けてもらったそうだが、配線や細かい部分などの加工がとても大変なメニューだったとか。
もうひとつ、細かい部分だがエアコンパネルを前期から後期のものへ変更。見た目に大きな違いはないが、経年で樹脂部分がベタベタしてくるため、鈴木さんのように長年乗り続けているオーナーには重要な部分なのだという。
エンジンは7年ほど前に走行距離10万kmを超えたタイミングでオーバーホールを実施。当時もこれといった不調は起こっていなかったが、長く気持ちよく乗り続けるためにトラブルを未然に防ぐための意味もあったのだという。
こうして、20才のころにGT-Rが買えずに仕方なく手に入れたER34の走行距離はまもなく21万kmに達する。今では「直せなくなるまで乗り続けたい」というかけがえのない存在となっていて、これからも長い道のりを共に走り続けていくことだろう。
取材協力:ディーズガレージ
(⽂: 長谷川実路 / 撮影: 市 健治)
[ガズー編集部]
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