【ノスタルジック2デイズ特集】ジウジアーロが描いたラインに手を加え個性を強調させたアルシオーネSVX
イタリアが誇る伝説的なカーデザイナーとして知られるジョルジェット・ジウジアーロの作品は、どれも普遍の価値を持つと言われ、その輝きは時代を超えても色褪せることはない。いや、それぞれのクルマが放つ光は、より照度を増しているようにも思う。
1991年にスバル(当時の富士重工業)が本格グランドツアラーとして発売したアルシオーネSVXも、そんな天才ジウジアーロ作品のひとつだ。
販売がバブル崩壊のタイミングと重なったため、総販売台数は6000台に満たなかったものの、グラスtoグラスのラウンドキャノピーを軸としたデザインはエレガントの一言。コンセプトカーがそのまま市販車になったかのような先進的スタイリングは、今でもファンやオーナーの心を掴んで離さない。
発売から25年以上経過しているというのに、まるで新車のようなクオリティを保ったSVX。オーナーは、高校生だった頃にパンフレットを見てSVXに興味を抱き、7年前に偶然出会った93年式の個体を個人売買で手に入れたというこざわさん。
「モーターショーでコンセプトモデルとして登場した時のイメージに近づけたかった」という理想を叶えるべく、ボロボロだった車両の各部リフレッシュに加えて、前後ブリスターフェンダーによるワイド化をおこなったそうだ。
フューエルリッド(給油口)もボディラインにあわせて作り直すなど、オーナーでなければ気づかないほどマニアックで不自然さを感じさせない仕上がり。しかもファイバーではなく鉄板による鈑金加工でこの形状を作り出しているというから驚きだ。
こざわさんの愛車(ホワイト)と標準車(シルバー)を比較すると、その違いは一目瞭然。もともと特徴的なブリスターフェンダーのエッジを際立たせることで、片側10mmという数値以上の迫力あるスタイルを手に入れている。
「遠くへ、美しく」「500miles a day」というキャッチコピーで、長距離を快適に走行できるグランドツーリングカーとしての性能をアピールしたSVX。搭載される3.3ℓのフラット6(水平対向6気筒)のEG33は、余裕のある走行性能を実現するために作られたSVX専用エンジンだ。
「入手困難な純正部品も多くなってきているので、部品が手に入るうちにできるだけ交換しておきたい」と、4年前にエンジンオーバーホールを実施。作業を依頼したのは、アルシオーネSVXの中古車在庫を常時30台以上店頭に並べ、この車両にも装着されているエアロパーツやマフラーなどのオリジナルパーツも手がけている埼玉県のK-STAFF。
優れたスタビリティを実現するべくVTD-4WDシステムや4WSなどの先進技術が投入されていたSVX。サスペンションは純正をベースにK-STAFFがカスタムしたオリジナル品を装着。ホイールは「細いスポークの形状がお気に入り」という18インチのエンケイ『RS05RR』をチョイスしている。
子供の頃に買ってもらったラジコンを分解して「どういうしくみで動くのか?」を調べていたというほど、幼少期から機械好きだったこざわさん。現在は自動車メーカーで開発に使用する機械の設計などを担当しているとのことで、クルマに関する知識も豊富だ。このSVXを購入する際も、ガラスのミッションと言われた前期型ATから後期型に搭載された強化品に換装されていることなどが決定理由のひとつになったという。
エクセーヌがあしらわれた高級感ただようインテリア。ダッシュボード上にズラリと並ぶ追加メーターのなかには、ミッションの油温をチェックするための油温計も含まれる。「後期型ミッションは前期型よりも強いと言われていますが、それでもやっぱり不安はあるので、いつかGDBなどに搭載される6MTに載せ換えたいです」ということ。
理想のエクステリアを手に入れたいっぽうで、内装の美化やミッション&ブレーキの強化など、まだまだこのクルマでやりたいことがあると語るこざわさん。K-STAFFという心強い主治医のサポートを受けながら、こざわさんとSVXの仲睦まじいカーライフはまだまだ続いていく、というわけだ。
[ガズー編集部]
ノスタルジック2デイズ特集
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