子育てママの相棒はタフでクールなトヨタ・ハイラックス ダブルキャブ(LN112型)

福岡県在住の福田理恵さんが愛用しているのは平成8年式のトヨタ・ハイラックス ダブルキャブ。3児の母親として家事・育児をこなし、ご主人の哲也さんが経営する外壁塗装業の経理・営業役を務めるなど、文字通りの多忙な日々を送っている。理恵さんがトラックボディを好きになったのは、結婚当初、哲也さんが乗っていたダットサン・トラックの影響だという。

「夫婦揃ってアウトドア好きで、サーフボードや濡れたウエットスーツなどを荷台にポンと放り込める便利さが気に入っていました。でも長男を身ごもった時、トラックのゴツゴツした乗り心地はさすがに体に悪いと思い、泣く泣く手放してしまったんです。その後、普通のワゴンに乗っていた時期もありましたが、子供たちの習い事の送り迎えや主人の仕事を手伝う時間が増え、自分専用のクルマが必要になったため、もう一度トラックに乗ろうと思ったんです」(哲也さんはトヨタ・ランドクルーザー プラドを所有)。

乗るなら絶対、ハイラックス ダブルキャブと決めていた理恵さんだが、当時すでに新車での販売は終了しており、雑誌やネットで中古車物件を探すことに。しかし、もともと新車時の販売台数が少ない車であったため、中古車市場で見かける機会はごく稀。なかなか意中の一台が見つからず、ネットの画面を眺めては、ため息をつく日々が続いたという。それから数ヶ月が経ち、半ば購入を諦めかかっていたある時、熊本県で一台の物件を発見!この機会を逃すと二度と手に入れられない、と思った理恵さんは即、ご主人に相談を持ちかけた。

「相談と言っても、本人の中ではもう買うって、決めていました(笑)。実車が見たいと言うのでついて行きましたが、特に検討することなく手付金を払って契約を済ませました。購入後、ホイールやボディカラーの変更(ブラック/シルバー2トーン→ブラック一色)など、あれこれ手を加えていますが、私の意見は一切ありません。まぁ、いつも仕事を頑張ってくれていますからね」と、柔和な表情で語る哲也さん。

購入から8年。仕事に、レジャーに、理恵さんの頼れる相棒として活躍を続けるハイラックス ダブルキャブ。ただでさえ数が少ない車種であることに加え、ドライバーが女性ということで、ご近所界隈ではかなり目を引く存在のようで、「この間、○○のスーパーで見たよ!」と、声をかけられる機会も多いとか。年式的には20年前の車のため、機関部や足回りなどマイナートラブルは少なくなく、定期的なメンテナンスは欠かせないが、そんな不便さもまた所有して行く上での面白味の一つであり、この先も手放すつもりは全く無い、と語る理恵さん。

「クルマも人間も同じですよ。歳をとった分、壊れやすいけど、カッコ良さも増して来るものだと思います。もちろん、これからもずっと乗り続けます。だって、子供たちに“将来、ママのクルマをもらってくれる人!”って聞いても、“いらなーい!”って言われてますから。どうやらウチの子供たちは、車高の低いスポーツカーが好きみたいです(笑)。だから私が乗り続けるしかないんですよ」。

理恵さんの言葉にはもう一つの意味が含まれている。この車は長男の海也くんが生まれた年に購入したもの。その後、長女の碧海ちゃんが、そして2年前には次男の匠海くんが誕生。2歳になった匠海くんは今では自力でステップをよじ登り、チャイルドシートに座れるまでになるなど、この車には子供たちとの成長の思い出がぎっしり詰まっている。そんな車を簡単に手放すことなど、できるはずが無いのだ。
最後に、先述した「ママの車なんて、いらなーい!」という言葉は、子供たち流の照れ隠しのポーズだと思う。取材を終え、走り去るハイラックスの車内からは楽しそうな笑い声が。本当はみんな、ママの車が大好きなのだ。

(文:高橋陽介 撮影:中山幸二)

[ガズー編集部]