トヨタ ヴォクシー 自分好みのカスタムも楽しみ20万kmを目指す
愛車選びの基準や考え方というのは多種多様。目的や用途に応じてボディタイプなどを選択し、そのときの状況変化に応じて買い替えていく、というのも定石のひとつと言えるだろう。
今回は、お子様が産まれたことをキッカケに、それまで所有していたジムニー2台とラパンに加えて、新たにトヨタ・ヴォクシー(ZRR80W)を迎え入れたという山崎栄太さんのカーライフについてお話を伺った。
「ジムニーはトライアルレースに出場している車両なので乗りやすい仕様という訳ではないんですよ。なので、お出かけにはラパンで行っていたのですが、子供が産まれたのを機に、ミニバンの方がいろいろと都合がいいかなと思って4年前にヴォクシーを購入しました。アウトレットへのお買い物はもちろん、仙台にあるアンパンマンミュージアムに2時間半かけて遊びに行ったりもしますよ。妹が1才半で、お姉ちゃんは今日で5才になるんです」と、嬉しそうな顔をした。
土曜日の朝いちばんに取材させていただいていたので、ペースをあげようとすると「明日も娘のために休みを取っているので心配いりません」と笑っていた。
そんな山崎さんの言葉の節々からは、家族への愛情が溢れ出ている。
山崎さんの愛車はヴォクシーとしては三代目のモデルにあたる2018年式。なかでもZSグレードをベースに専用の装飾や装備によってスタイリッシュにカスタマイズされた『ZS 煌(きらめき)』だ。
「奥さんが運転するということも考えつつ、ミニバンのネガを潰しながらストレスなく運転できるようにカスタムしています。もちろん、乗っている人の快適性も大事にしていますよ」
走行性能に関わる部分としてはエアクリーナーやスロットルスペーサー、マフラーなどの吸排気系パーツを装着。数値を測定したわけではないけれど、ジムニーのカスタムなどで培った経験や感覚も活かしつつ、ひとつずつ装着してみてコレだというアイテムを残していく方法で進めているという。いっぺんに色々な部分を変えてしまうと、どれがどう良かったのかが分からなくなるため、時間をかけてじっくりカスタムを楽しんでいるそうだ。
アクセルを踏み込んでからスロットルが開くまでにタイムラグや制御が介入してしまう電子制御スロットルのアクセルレスポンスを改善するため、スロットルコントローラーも装着。ノーマルモード、スポーツモード、エコモードの3段階に分かれ、その中でもスポーツモードは7段階、エコモードは5段階で設定できるという。
マフラーは奥様が運転することにも配慮したパーツ選びをした部分。以前に装着していた社外マフラーは太く厚みがあり輪止めに引掛かってしまうことがあったため、薄くて見た目ほど下がっていないガナドール製のPASION EVOマフラーにチェンジしたのだという。
「僕のヴォクシーはZSグレードですが、あえてGグレード用のマフラーを装着しているんです。こうすると取り付け位置が少し引っ込むので、社外マフラー感が強調されすぎなくていいなって思っています」
ヴォクシーは街を走れば見かけることが多いクルマではあるけれど、外装をほかの人とは被らないような自分好みのスタイルに仕上げているのがポイントだという。
「純正の良さを崩さないように、程よいチューンナップを楽しんでいるんです。パッと見て気付くものもありますが、言わないと分からないような細かいカスタムも施しています。気付く人がいるのか?みたいな感じだから、自己満足ではありますけどね。ちなみに、僕の奥さんは絶対に気付かないです(笑)」
サムライプロデュース製フロントロアグリル用メッキガーニッシュ、シルクブレイズ製フロントリップスポイラー、トヨタ純正フォグランプユニット、VELENO製LEDフォグランプ、30系アルファード純正ホーンなどなど、細部にまでカスタムの手が及んでいる。
「フロントのお気に入り箇所は、フロントバンパーの下側に装着しているリップスポイラーです。モデリスタやTRDのスポイラーを付けているヴォクシーは見かけますが、アフターパーツメーカーのリップを付けているクルマは近所では見かけないので、密かにヨシっ!と思っています。雪道で壊れる可能性が高いから付ける人が少ないのかなと勝手に推測しています」
いっぽうでリヤまわりは、ノア後期モデルのW×B(ダブルバイビー)用テールランプ、エクスクァイア用リヤセンターガーニッシュなど、兄弟車種のパーツを流用して組み合わせることで“わかるひとにはわかる”イメージチェンジを実現している。
と、ここまではお気に入りのカスタムについて教えて頂いたわけだが『どうしたものか』と少々頭を悩ませている部分もあるという。
というのも、山崎さんのヴォクシーは、もともとフロントグリルにネッツマークのエンブレムが付いていたためTOYOTAエンブレムに交換したのだが、マイナーチェンジしたモデルでは最初からTOYOTAエンブレムが装着されているのだという。
「人とはちょっと違いを出したいと思ってエンブレムを変えたのですがね(笑)。やっぱりネッツマークに戻そうかな」
そこに気付く人がいるのだろうか?という部分にまで、しっかりこだわるのが山崎さんのスタイルなのだ。
愛車をカッコよくしたり快適にしたりという“結果”だけではなく“作業をすること自体”も好きなのだという山崎さん。メンテナンスについても故障する前に予防整備も兼ねて色々とチェックするのが基本となっている。
そうした愛車との付き合い方には、お父様が大きく影響しているという。2000年式のセレナに20年間乗っていたというお父様もまた、都度悪い所があれば自分で修理したり、予防点検も兼ねてクルマをいじっていたそうだ。
子供の頃にお父様が部品交換するのを手伝ったこともあるのだと、ヴォクシーを眺めながら笑みを零した。
「父が買ってきたミニカーとか、クルマいじりする姿を間近で見たりとか、どこかにドライブに行ったりした記憶とか、今考えると父の影響って自分が思っている以上に大きかったんだなと思います。そういうのが楽しくて、僕は整備士になりました。そして父のように、いや、それ以上に長くヴォクシーに乗りたいと思っているんです」
最低でも20万km以上は走りたいと言う山崎さん。お子様達が成人し、できれば孫を乗せるまで愛車を維持していきたいのだと語ってくれた。そのために、融雪剤が道路に撒かれる冬期は下まわりを高圧洗浄機でこまめに洗車したり、ガレージに停める前には汚れを落としたりと、日々のお手入れも欠かさないそうだ。
「長年乗ることを考えると、カスタムを楽しめるのは今だけなのかなと思うんですよ。いい歳になってやるのは、ちょっと恥ずかしいというか、なんというか。その時は純正パーツに戻せばいいかと考えているんです」
そう言ったあとに、考え込み「いや、どうだろうな…記事になるので、あんまり嘘はつきたくないですし。うん、カスタムは何才になっても楽しんでやっているかもしれません」とポツリ。
おそらく、いや確実に、山崎さんは何才になってもヴォクシーをカスタムし続けているに違いない。そして、その後ろ姿を見て育つ子供たちも、そんなヴォクシーと家族の思い出を積み重ねていくことだろう。
取材協力:盛岡競馬場(OROパーク)
(文:矢田部明子 / 撮影:平野 陽)
[GAZOO編集部]
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