ミーティングから芽生えたロードスター愛を身にまとって。帽子が目印の名物ロド好き夫婦!
『屋根をオープンにしたロードスターオーナー同士が一般道ですれ違うときは、右手を上げてお互いが挨拶し合う』というマナーが一部には存在するほど、マツダ・ロードスターは国産車のなかでも、とくにオーナー同士の横のつながりの深さを感じさせられるクルマだ。
そんなロードスターオーナーの仲のよさを象徴するかのような、おそろいの帽子をかぶってミーティングに参加されていたグループを発見。
NB型ロードスターに乗る藤井栄二さん、千香子さんのおふたりは、一緒にロードスターミーティングに参加するうちに、オーナーの栄二さんにつられて、妻の千香子さんも楽しみのひとつとして趣味を活かしたロードスターグッズを作ってしまうほどになったというご夫婦だ。
現在54才の栄二さんの愛車遍歴は、大学院を卒業した26才のころに買ったEF型ホンダ・シビック、通称グランドシビックからからはじまる。まわりにもスポーツカーに乗るクルマ好きが多い環境だった栄二さん。そして青年期にホンダ好きとして育ったというのも大きな理由だ。
じつは、このときの購入の第一候補に上がっていたのが当時現行モデルだったNA型ロードスターだったという。
「新車で発売された当時から人気があって評判もいいし、街で見かけるたびにカッコいいと思っていたから、自分もNAロードスターに乗りたかったんですよね。新車の見積もりもとって、本当に買う寸前というところまでいったんですが、最終的に2人乗りということがネックで、親の反対もあって諦めました。それだったらと中古のシビックを買ったのが本当の理由ですね」
つぎの愛車は、32才のとき、たまたま友人から譲ってもらう機会に恵まれたニッサン・R33型スカイライン。こちらは、およそ10年間乗ることになるのだが、千香子さんと結婚するのは、ちょうどスカイラインに乗っていた38歳のとき。まったくクルマとは無縁の出会いで、千香子さんも夫がここまでのクルマ好きとはあとから知ったそうだ。
そして、現在の愛車であるNBロードスターに出会ったのは2009年のことだった。栄二さんが42才となった年だ。
「そのときはR33から乗り換えるつもりもなく、中古車サイトでクルマを眺める程度でした。でもストレスが溜まってくると、無性に買い物をしたくなるときがあるじゃないですか(笑)。CR-Xとかプレリュードみたいなホンダ車を探すつもりで見ていたら、中古のNBが手頃な値段で売られていることに気づいたんです。ロードスターは、若いときに買おうと思ってあきらめたクルマ。そのときの想いが蘇って、衝動買いのようなものでしたね」と当時を振り返る栄二さん。
ロードスターのオーナーズミーティングに参加したのは、購入後の翌々年からだったが、ミーティングの楽しさにどっぷりハマったのは、最初は興味本位でついていくだけだった千香子さんのほうだった。
「それまでは、ほとんど県外に出ることもないような人間だったんです。でも一緒にロードスターに乗って、ミーティングについていくようになったら、そこで友達もたくさんできるようになって、それから楽しくて、全国のミーティングにふたりで参加するようになりました」と千香子さん。
住居のある広島県を拠点に九州遠征もなんのその。北は、北海道で開催されるオーナーズミーティングに自走+フェリーで参加するほどになっていたという。
そんなふたりが家族のようにかわいがっているNBロードスターの走行距離は、購入当時8万キロだったものが、現在では34万キロを数えるほどになっている。エンジンはトラブルを未然に防ぐ意味で、3年前にメーカー供給のストックを持っていたショップで新品に交換してもらったそうだ。
グリーンのボディカラーは、NAを新車で購入しようとした当時に選んでいたという、こだわりのあるカラーリング。SSRのゴールドカラーのホイールも、グリーンに映える色をチョイス。
ちなみにエクステリアの趣味は、「エアロパーツを付けたい」という栄二さんと、「純正の美しいデザインそのままがいい!」という千香子さんのあいだで違いがあるとか。
インテリアのタンカラーもNAの購入を考えていたときからのこだわりの色。シートは長距離ドライブでの腰の負担を減らすため、ブリッドのリクライニングシートへ変更されている。
シートにもかぶせてあるのは、NDロードスターが登場する際にチーフデザイナーの中山雅氏が創作した『ロドスタくん』をモチーフに、千香子さんが手作りしたオリジナルの帽子。
「もともと子供のころから趣味で裁縫をやっていて、フェルトの生地が余ったから、それで帽子を作ってみたんです。ミーティングにかぶっていったら欲しいと言われるようになって、そこから仲良くなった人にも配るようになりました」と千賀子さん。
ミーティングで仲良くなった人に無償でプレゼントしているそうだが、それにあたっては千香子さんが決めた3つの『鉄の掟』を守ってもらう必要があるという。
「ひとつ目は、大きなミーティングのときは必ずかぶること。ふたつ目は、旅行に行くときは必ず連れて行くこと。みっつ目が、SNSに帽子と一緒の写真をばんばん上げることです!」とのことで、それぞれのオーナーの愛車に合わせてボディカラーとフェイスデザインを再現してあって、プレゼントしてきたオーナーの数は20人以上にのぼるそうだ。
そして、千香子さんのもうひとつの趣味であるリカちゃん人形へのドレスアップにも、こちらの帽子を用意してあげるほどのロードスター愛。
5年前からハマっているという着物への刺繍には、自分でデザインしたロードスターをモチーフにした柄をチョイス。
そのロードスター愛は、姪にやってもらったネイルのデザインにも反映されている。ちなみに地元で野球観戦する際には、推しチームの広島東洋カープデザインのものになることもあるそうだ。
そんなふたりがひそかに願っている目標は、千香子さんがNDロードスターを手に入れ、栄二さんのNBと合わせて夫婦そろってロードスターオーナーになることだという。
そしてNBのほうも経年にあわせたサスペンションのブッシュ類や車高調のリフレッシュをやっていきたいと、さらなる維持へ向けてのモチベーションもたっぷり。愛車も衣装も、これからますますオーナーズミーティングで見かける姿が楽しみになりそうなおふたりだ。
(⽂: 長谷川実路 / 撮影: 市 健治)
[ガズー編集部]
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