「ブログ更新は人生の宿題」。10年間も毎日更新するブログがくれる素敵な出会いとカーライフ
ドライブ、カスタム、グルメ、旅行記など、カーライフの楽しさを広げる情報を共有しあうために開設された「GAZOOブログ」。
ところが、開設して数年後にTwitterなどのSNSが主流となりブログで発信するユーザーの激変、ブログユーザーに最適な環境を整えることができない状況を艦み、惜しみながらも2019年に閉鎖しました。GAZOOブログに投稿してくださった皆さんには「gooブログ」への移設を呼びかけ、現在もハッシュタグ「#GAZOO」を付けて投稿していただいています。
閉鎖して時を経ても今なお「#GAZOO」のハッシュタグをつけてくれている人は、どんな人で、どんな気持ちでブログを書いてくださるのだろう?
その真相を明かすべく「ブログの中の人」に取材させていただきました。
今回取材をさせていただくのはGAZOOブログ歴15年、10年ものあいだ毎日投稿し続けてくれている「ハリアーRXの業務日誌!?(ブログネーム)」さん。内容は新車情報に関することがほとんどで、10時ピッタリにブログを更新しています。さて、どんな方なのでしょうか?
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映画のセットのようにそびえ立つ立山など、豊かな自然に囲まれた富山県に「ハリアーRXの業務日誌!?」さんはいらっしゃいました。
本名は、米谷智さん(32歳)。小さな頃からクルマが好きで、父親のクルマ雑誌を熟読していたそうです。
愛車は、トヨタ クラウン2.5 アスリート i-Four(ジンジャーレッド18後期型)。
日常の交通手段として乗っているほか、休日はお隣の石川県まで1日に300kmも走る大のドライブ好き。そのため、スタッドレスタイヤは1シーズンですり減ってしまうのだとか。
現在の走行距離は27万km。走行距離や製造年数を感じさせないくらい綺麗なクルマで、丁寧に乗ってらっしゃるんだなというのが伝わってきました。
愛車のお気に入りポイントは、踏んだら踏んだだけ加速する走行性能や、期間限定で販売されたジンジャーレッドの赤いボディ&丸みのあるボディライン、丸目4灯のブレーキランプ、存在感のあるCピラーなどだそうです。
そんな米谷さんが、GAZOOブログに投稿を始めたのは19歳の頃。クルマのことについて何か発信したい! と思ったのがきっかけでした。
その際、GAZOOブログを利用しようと思った理由は、開設当初、自動車メーカーでGAZOO.comのようなポータルサイトが珍しかったということと、自動車メーカーが運営しているということでクルマが好きな人がよく閲覧していたというのが魅力的だったからだそうです。
ほかにも、自動車に関連するたくさんの記事がアップされていて見るのが面白かったというのもあったそうです。
「クルマ好きがたくさんいらっしゃるGAZOOブログで、アクセス数を伸ばせて唯一無二なブログとは何だろう? とか思いながら書いていましたね。で、いつの間にか10年を超えるまでになっていました。」
輸入車好きということもあり、トヨタ車だけではつまらないから、全メーカーのクルマネタを投稿したり、更新頻度を増やしたりと試行錯誤したのだとか。どんな内容だとアクセス数が上がって、読んでくれている人のためになる記事になるだろう? と考えているうちに、自分の大好きな「新車」というジャンルなら楽しく書けそうだと思ったそうです。
「新車で妄想を膨らませるのが好きなんです。自分だったら、どこにドライブに行こうか?こんな風にいじるかなぁと考えたりとか。」
そんな時、米谷さんはクルマが欲しくて何気なしに入ったディーラーで大学のOBだという人に接客を受けます。その出会いが、米谷さんにとって大きなターニングポイントになります。
「新車情報をブログにアップしていると話すと、北陸3県のディーラー巡りをしてみたら?と言われたんです。そこから、僕のディーラー巡りは始まりました。」
それからというもの、国産車・輸入車・並行輸入車のディーラーを240店舗以上、2年半かけて巡ったのです。新しいクルマを見ることができるというのも魅力的でしたが、ディーラーに行けば人(それも、かなりの確率でクルマ好き!)と会えるというのも楽しかったそうです。
「途中で止められなくなったんですよ。というのも、僕のブログを毎日見てくれているディーラーの方や、こんな面白い子がいるよって営業トークでネタとして使っているという方もいたんです。GAZOO ブログの「ハリアーRXの業務日誌」で検索してみてと言うので、GAZOOブログからは離れられませんでした(笑)」
おそらく、「北陸3県のディーラー巡りをしている大学生」というパワーワードは、北陸にあるディーラーのみならず、色々な所に知れ渡っていったのだと思います。ディーラー巡りをするうちに、実車を見ることができない人の役に立つかもと思い、新車の写真も投稿し始めていくことになりました。
そしていつの間にか、アクセス数を増やしたいではなく、新車の良さを伝えたいに変わっていったといいます。
余談ですが……、米谷さんは経済学部だったということもあり「北陸3県の自動車ディーラーの接客のやり方」という題材で論文を書いたそうです。富山県はフレンドリーで、販売員の人柄も購入の理由に加わるのだとか。石川県は、商品力で購入する人が多く、福井県は財力のある人が多いという印象を受けたそうです。各県でこんなに違うとは勉強になりました。
ディーラー巡りという、濃いクルマ青春時代を過ごした米谷さん。意外にも、クルマとは全く関係のない仕事に就職しました。理由は、自社のクルマしか乗れなくなるからという米谷さんらしい理由です。
最新の新車情報を詳しく掲載できるのは、今でもディーラー巡りを続けているからです。今回の撮影場所であるGR Garage 富山新庄も足しげく通っている店舗の1つです。
車両販売のみならず、レストアやカスタムもしており、20代から幅広い年齢層のお客さんから親しまれている店舗です。
クルマ好きなら誰でもwelcomeで、週末はお客さんが集まってBBQをするなどアットホームな雰囲気も魅力なのだとか。
「何年も通っていると、新入社員だった人が役職についたり、年齢と共に体型が変わっていったり(笑)、時の流れを感じます。そういうのも、楽しいんです。」
GR Garage 富山新庄 GRコンサルタントの渡邊 謙太郎さんと米谷さんとの会話も弾みます。渡邊さんは、「米谷さんからは、クルマ好きということが伝わってきます。仲良くなろうとするのではなく、いつの間にか親しくなっていました」とのこと。
ブログで新車情報をアップしていることを知っているので、米谷さんが行くと、「はい!これね」とカタログを渡されるそうです。
友人のような関係性を築けるのは、仕事帰りになんの理由もなく立ち寄ったり、社員旅行で買ったお土産を持っていって世間話をするなど、物腰柔らかでフレンドリーな米谷さんの人柄が大きいと思います。その人柄と、誰もが認めるクルマ好きというのもあるでしょう。
集めたカタログは大事に保管してあるそうです。ちなみに、10年間分の新車カタログが家にあるのだとか。床が底抜けしないように、ベニヤ板を間に入れて対策もしています!
こちらは、米谷さんの愛車が載っているカタログ。年代別に保管してあるので、どこに何があるかは大体把握しているそうです。
カタログ収集は、手元にデータが残るほか、単行本を集める感覚に似ていると言います。
「昔は表紙がイラストのカタログもあったんですよ。時代背景などが感じられて、開いたときに面白さや懐かしさが出てきます」とのこと。
フルモデルチェンジをしたときは、前のカタログと新しくもらったカタログを見比べているそうです。さらにブログに書くときは、細かな違い&分からないことは聞くなどして徹底的に調べつくすとのこと。1記事に対して、労力を惜しまず時間をかけるので、新車がたくさん登場する月は大忙しのようです。
「某メーカーさんは、12月24日めがけて新型車を一気に出すんです。なので、25日は毎年絶対に休みをとらないといけないんです!」
米谷さんのクリスマスは、サンタクロースなみに忙しい! 屋根があるから外で撮影できるなど、どこで撮影するのかのロケーションも考えて店舗へ向かうそうです。
最後に、なぜ大変な思いをしてブログを更新するんですか? と尋ねてみました。
「自分のブログを読んで、購入を決めた人がいたんです。ほかには、僕が撮った写真がディーラーのDM に使われたことも。1件だけでしたが、Twitterで僕のブログの新車情報がめちゃくちゃ分かりやすいという人もいました。」
購入を検討している人が参考にしてくれた、ということがブログを更新する上で重要だと言います。それは、クルマを撮影させてくれた店舗の方への恩返し、新車の魅力をたくさんの人に発信できたということに繋がるからと話してくれました。
ちなみに、米谷さんが今でもハッシュタグ「#GAZOO」をつけて投稿する理由は、GAZOOブログを見てくれていた方々との繋がりを大切にしたいと思うからだそうです。GAZOOブログで読んでいた方が迷わずに、「ハリアーRXの業務日誌」のページまで辿り着いて欲しいという思いもあるのだとか。
「一番大きな理由としては、GAZOOブログを始めたことで自分がここまで成長できたことに感謝しているからです。たくさんの自動車関係者にお会いすることができましたし、ある意味有名にもなりました。ブログを更新することは、自分にとって『人生の宿題』です。めげそうになることもありますが、誰かのためになっていると思うと嬉しいんです」と照れ笑いしながら話してくれました。
米谷さんは今日もまた、読者や自動車関係者の思いとともに、どこかのディーラーにクルマを走らせているのでしょうね。
(文:矢田部明子 / 写真:米谷智、編集部)
[ガズー編集部]
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