ランエボ ファイナルエディションでの自由気ままなカーライフ
元走り屋だったという父親の影響でクルマ好きとなり、中学を卒業した15才から整備士や土木関係の仕事をはじめて、クルマを購入するための費用をコツコツと貯めていたという寺下翔太さん。
トヨタのクラウンを皮切りに、日産GT-R、三菱ランサーエボリューションと、26才の若さにしてメーカーも車種も多岐にわたる数々のスポーツカーを乗り継いできたクルマ好き青年だ。
「18才で最初に乗ったのは、地元の先輩から買った150系クラウンでした。ドノーマルだったところから、バチバチのVIP仕様に仕上げようと思ったんですが、乗ってみると1JZエンジンの乗り心地が案外良くて、普段乗りとして乗り続けることにしました」
そして、まだ18才だったころに拠点としていた大阪で建設工事の大きな仕事があり、まとまった収入を得た寺下さんは一大決心!! なんとその若さでR35型のGT-Rを購入する。
「R35は小6くらいから憧れていたクルマだったんです。最初にモーターショーにコンセプトカーとして出てきたときから良いなと思っていて、ゲーム『グランツーリスモ5』のプロローグに出てきた赤いR35がすごくカッコよくて、そこからいろんな本を読んでR35について調べたりしていましたね」
そして、自身が愛車として選んだのは赤いボディカラーのR35GT-R。グレードはエントリーモデルのピュアエディションよりもひとつ上のブラックエディションだった。
「まずは定番のレカロのシートを入れて、これから色んなところをイジっていこうと思っていました」
ところが18才で憧れのクルマを手に入れ、これから相棒とともに順風満帆な愛車ライフが続いていくはずだった矢先、1年経たずに自損事故でGT-Rを廃車にしてしまう。
「当時はヤンチャだったし運転も今ほど上手くなくて、一発廃車の事故を起こしてしまいました。夜だったので知り合いに助けを呼んでもらって自分は助かりましたが、次の日にクレーン車で吊り下げられて回収されているボロボロになったR35を見て、めちゃくちゃショックを受けました」
運転していた寺下さんも鎖骨を骨折するほどの大怪我を負ったそうだが、当時は自身の体よりも精神的なダメージのほうが大きかったという。
「しばらくは、もうR35以外のクルマに触るのも怖いくらいのトラウマになって、仕事もできずに休むことになりました」
事故のトラウマを解消できるまでおよそ1年の期間がかかったという寺下さん。その当時から交際していた現在の奥さんからも「もう、そういうクルマは買わないで」と説得されたという。
「だけど、やっぱり走れるクルマが好きだったので、今度は自分のウデを磨けるクルマに乗ろうと思い、安くて動きがわかりやすいベース車として、NAロードスターかDC2インテグラのどちらかを買おうと悩んだんですが、自分では決めきれず妻に『どっちがいい?』と聞いたらインテグラの顔が好きと言われたので、そっちにしました」
20才にして早くも3台目のスポーツカーを手に入れたた寺下さん。インテグラにはエキマニやマフラーなどを換えるライトチューンを施し、次第に以前のようなカーライフに戻るようになったという。
ちなみにその頃はもう1台のEK4型シビックを友人と共同所有して乗っていたそうで、ほかにも日常の足としてダイハツ・タント、フォルクスワーゲン・ゴルフヴァリアント、そして現在はマツダ・CX-8を所有してきたとのことだ。
とはいえ、それらはセカンドカー的な位置づけであり、メインの愛車としてインテグラの次に選んだのは、事故でフレームまでダメージを負った三菱・ランサーエボリューションIVだった。
「このランエボは自分が1才のころに父が新車で買ったクルマだったんです。途中から兄が乗るようになっていたんですが、事故で電柱にブツかって左フロントがグッシャリという状態でした。エンジンは無事で足まわりのダメージも少なかったので『自分で直すから』と10万円で譲ってもらいました」
フレーム修理もDIYで行うなど30万円ほどの修理費をかけて、晴れてランエボIVのオーナーになることができたという。
そして23才で彼女と結婚すると、整備専門学校へ通い始め、在学中にランエボIVから現在の愛車であるランサーエボリューション・ファイナルエディションへ乗り換え、そして妻の実家がある鹿児島への移住と、人生の転機が立て続けに訪れた。
「乗り換えたのはエンジンブローが原因だったんですけど、ランエボを乗り継ごうと思ったのは、IVがめっちゃ楽しかったのが理由でしたね」と寺下さん。
寺下さんが求める走りのスペックという点では、ランエボIVと同じ第2世代最終型のランエボVI、そしてルックスが好みだったIXが最初の候補に上がったという。「だけど、結局中古で買うなら手に入る中で一番新しい型にしようと思い、最終型のファイナルエディションを選びました」
1992年に、三菱が当時のコンパクトセダンとしてラインナップしていたランサーをベースに、WRC(世界ラリー選手権)参戦用のホモロゲーションモデルとして開発されたランサーエボリューションシリーズ。
その最終モデルとして1000台限定の特別仕様車として販売されたのが、寺下さんの乗るランサーエボリューション・ファイナルエディションだ。
ファイナルエディションは、最終型のランサーエボリューションX・GSRをベースにエンジンやサスペンション、エクステリア、インテリアの全方位にわたってカスタムを施した、ランエボの集大成ともいえるモデル。正式名称にはX(テン)という番号は付かないが、記事内ではこれまで通り分かりやすく『ランエボX』と呼称させていただく。
「ランエボXはガンガン攻めて走ってたIVと違って、エンジョイするつもりであんまりイジる気はなかったんですが、結局乗り始めたら気になるところをどんどんイジっていきたくなっちゃいましたね(笑)」と寺下さん。
純正採用のBBSのホイールはすでに交換され、よりワイドな265幅のタイヤを装着。ブレーキにもこだわりがあり、ブレンボキャリパーはそのままローターを大径化して容量をアップ。ビルシュタイン製のダンパーもアフターパーツの車高調へ変更されている。
交換された東名パワード製のフルチタンマフラーが輝くリヤビュー。マフラーが高効率となったことで、犠牲となった低回転のトルクはARC製のエアクリーナーを導入することで補っているという。
4B11型の直列4気筒2.0Lターボエンジンは、ランエボXで300馬力だったスペックを、ファイナルエディションではエキゾースト側にナトリウム封入バルブを採用することでランエボ史上最大となる313馬力まで引き上げられている。寺下さんは現在吸気温度の高さに悩む場面が多いようで、インタークーラーを大型化することを狙っているそうだ。
そんな愛車の乗り味は「IVと比べて驚くほど進化してる部分を感じる」と寺下さん。「Xはフロントがスイスイ入っていくうえに、切り込みながらアクセルを踏んでいける」と走りの面でも大満足といった様子だ。
18才での大きな事故を乗り越え、夫婦で鹿児島へ移住し、ファイナルエディションオーナーとなった今でも速いクルマに憧れる心を持ち続けている寺下さん。これからもしばらくはファイナルエディションをベースに、自由気ままなカーライフを続けていくことだろう。
取材協力:鹿児島県立吉野公園
(⽂: 長谷川実路 撮影: 平野 陽)
[GAZOO編集部]
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