ストレス解消法はゆったりドライブ。その相棒はエコなだけじゃないハイブリッドカーCR-Z

  • ホンダ CR-Z(ZF1)

音楽を聴きながらゆったりとした気持ちで運転席に座り、優雅にハンドルを操作しながら走ることでストレスが解消されていくというオーナー。そんなドライブの相棒として選んだのが、スポーティで燃費も良いホンダCR-Z(ZF1)だったという。

環境性能に優れた新車の購入を促進し環境対策に貢献するとともに、国内市場活性化を図ることを目指して導入された『エコカー補助金制度』。
一定の環境性能を満たす新車を購入して1年間使用すると、補助金が交付されるというお得な制度で、この制度をきっかけにハイブリッドカーや電気自動車に関心を持ち、乗り換えたというひとも多いはずだ。
黒毛利信自さんがホンダ・CR-Zに乗ろうと思ったのも、このエコカー補助金制度が始まったことがキッカケだったという。2009年4月に初めてこの制度が導入された頃、ちょうど13年間乗っていたプレリュードの調子が悪くなり、この機会にと買い替えを決意したのだそうだ。

「当時の各メーカーからは、この制度に該当する“一定の環境性能を満たす新車"がたくさんラインアップされていました。そんな中から僕が探していたのはスポーツ的な走りが楽しめるエコカーだったのですが、いろいろ調べたところ、そういうコンセプトのクルマはCR-Zしか見当たらなかったんです」

『ハイブリッドカーは、エコで終わるな。』
燃費の良さだけでなく、走りの楽しさも兼ね備えたクルマとしてこのようなキャッチコピーで売り出されたCR-Z。
黒毛利さんが購入を決めたタイミングはCR-Zが登場して間もない頃で、ハイブリッドカーながら6速MTが設定されていることなどが話題を呼んでいたという。
「ホンダIMAというハイブリッドシステムを搭載していたんです。それまでハイブリッドカーに乗ったことのなかった僕は、そのシステムがどんなものかも気になったし、どんな走りを見せてくれるのかと興味津々でした」

ホンダIMA は、1.5リッターガソリンNAエンジンに、初代と2代目のインサイトやシビックハイブリッドなどに搭載されていたトランスミッションを介して小型のモーターを組み合わせることで、加速のアシストと回生制動で燃費を向上させるという仕組み。
6速MTモデルでは114psを発揮する1.5リッターのI-VTECエンジンに、14psのモーターを組み合わせ『2リッタークラスの加速性能』を備えると謳われていた。

「この数値を見た時に、本格的なスポーツモデルのクルマに乗りたいという人は『物足りない』と感じた人もいるんじゃないかなと思います。だけど、僕はコレくらいが良かったんですよ。ちょっとだけスポーティーな感じっていうのが、かなりツボでした(笑)」
“ちょっとだけスポーティーな感じ"にこだわっているのは、速く走るのがあまり好きではないからだという。
コーナーを攻めるだとか直線をフルスピードで加速するだとかよりは“そういうテイストの走りを味わえる”ということがミソなのだそうだ。

「クルマは速く走れば良いってもんじゃないんです。オーナーと気持ちよく走ってくれるというのが大事なんですよ」という一言の奥には、聞けばなるほどと納得できるストーリーが隠されていた。

ということで、まずは黒毛利さんがクルマ好きになった理由から話していこう。
キッカケは、テレビで放送されていたF1のレースを観たことだという。レーシングスーツを纏ったアイルトンセナと中嶋悟氏が、ホンダ製エンジンを搭載したF1マシンを操り、ライバルたちをグイグイ追い抜いていく姿が大学生だった黒毛利青年の脳裏に焼きついたのだそうだ。
そして、世界で戦える日本車に憧れを抱き、いつか自分もホンダ車に乗りたいと心に誓ったのだという。

それと同時に、そこまではなれなくとも、ホンダ車に乗って練習すれば自分もこういった走りができるのでは…と淡い期待も抱いていたという。手始めにシビック、その後もVTECエンジンを搭載したインテグラ、プレリュード、そして現在もCR-Zと並行して所有するNSXと乗り継いできた車歴がそれを物語っている。
インテグラとプレリュードではジムカーナ、CR-Zではジムカーナを2回とツインリンク茂木で行われた“走りを楽しむための講習会”にも参加したと教えてくれた。
その結果を伺うと「いけると思ったんですけどねぇ…」と言葉を濁したが、そういった経験を経て、自分にとっては音楽を聴きながらゆったりとした気持ちで運転席に座り、優雅にハンドルを操作しながら走る方が楽しいのだと気付いたという。

「そういう風に走っていると、距離や時間に比例するかのように、ストレスがデトックスされていくんです。だから、ドライブは1日に絶対に取り入れたい儀式ですね(笑)」
まわりから『通勤大変でしょ〜?』と言われる自宅から職場までの片道45kmは、黒毛利さんにとっては至福の時間なのだそうだ。さらに、それだけでは飽き足らず、仕事終わりに首都高を走ることもあるという。特に目的地は決めずに、スピードを出さずにひらすら走るのが良いのだそうだ。

普段使わないスポーツモードは、高速道路をドライブする際のとっておきだそうで、メーターが普段の青色から高揚感を高める赤色に変わるのが気に入っているのだとか。
「ゴールデンウィークに四国にある実家まで18時間かけて片道800kmの長距離ランをしたんですよ。その時はさすがに深夜0時を越えたあたりから『何で走っているんだろう…』と思っちゃいましたけどね(笑)」

そんな黒毛利さんだが、最近はオフ会に行くのも楽しみの1つなのだそうだ。1代限りで生産終了となってしまったCR-Zは、何世代も続くモデルとは異なり乗っている人も限られているため情報交換の場として最適なのだとか。
「共通の好きなものがあるわけだから、話も盛り上がりますよ。ほとんどの人が僕のCR-Zを見て、後期型?と聞いてくるんですけど、実は前期型なんです〜というところから話は始まります」

黒毛利さんの愛車は2010年登録のCR-Z α(ZF1)だが、エクステリアはほぼ後期型のパーツに交換されているため、前期型と見破る人は少ないという。だが、そう話す黒毛利さん自身も、当初はすべてを後期仕様に変える予定ではなかったのだそうだ。

「後期のマイナーチェンジで、ホンダアクセスから僕好みのウイングが出たんですよ。さっそく装着してリアからの見た目が良くなったと思って眺めていたら、やっぱりこのウィングは後期型に合うようにデザインされたんだなと感じたんです」
そんなわけでリアスポイラーを交換したことを始まりに、前後バンパー、サイドシルなど気付けばどんどん進化していったのだという。

これで全体的に統一感が出たなと満足したのも束の間、その後も「後期型から採用されたLEDのヘッドライトに交換するなど、電装系もいじり始めちゃったんです」と、後期型仕様に近付けたいという欲が止まらなくなってしまったのだという。

こうしてCR-Zは黒毛利さんにとって満足のいく1台に仕上がったという。
「あっ! 最後にいいですか? 僕の場合は、クルマに速さを求めているんじゃなくて『一緒に走ってくれる』ということを求めているんです」
手に入れてから13年で共に走った距離は26万キロ。まだまだ色々なところにドライブにいくのだと意気込む黒毛利さんにとって、運転が楽しくて燃費もいいCR-Zはぴったりの相棒と言えるだろう。

取材協力:
『神栖1000人画廊』(茨城県神栖市南浜)
『日川浜海岸』(茨城県神栖市日川)
かみすフィルムコミッション

(⽂: 矢田部明子 撮影:平野 陽 / 編集:GAZOO編集部)

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