楽しむために愛車の潜在能力を最高に引き出す レジアスエース スーパー GL
休日は奥さんと息子と一緒にキャンプに出かけてサーフィンを満喫。さらに最近はバイクを積み込んで旅行に出かけることもあるというオーナー。そんな楽しい時間を過ごすために欠かせないのが、10年前から自分仕様に仕上げてきた愛車のトヨタ・レジアスエースだ。
働くクルマというイメージばかりではなく、昨今では趣味のクルマとして購入するオーナーも増えてきているハイエース。街中でハシゴや資材を積んでいる姿や、送迎用のタクシーや乗合バスとして活躍しているのを見かける一方で、ベッドキットを取り付けた車中泊仕様や豪華内装&オーディオのカスタムカーも少なくない。さらに救急車などの特殊用途自動車のベース車両になるくらいの耐久性や積載量、そしてパワーを兼ね備えているマルチプレイヤーと言えるだろう。
そして、トヨペット店で取り扱っていたハイエースと中身はまったく一緒ながら、販売チャンネルの違いでネッツ店から販売されていたのがレジアスエースだ。
「たまたま親戚がネッツ店に勤務していたので、ハイエースではなくレジアスエースになりました」と、特に車名へのこだわりはなかったものの、その使い勝手の良さに魅力を感じて2013年にレジアスエース スーパー GL(KDH200V)を購入したというオーナーの上村さん。家族でサーフィンやキャンプ、そして最近はハイエースミーティングにも参加していると話してくれた。
そんな上村さんが10年間かけてコツコツと40箇所以上をカスタムしてきたという愛車は、ハイエース専門のカスタムパーツが乗っている雑誌を穴が開くほどチェックして、その年のトレンドやショップの特徴をしっかりと勉強しながら仕上げてきたという。
なかでもフロント、サイド、リアでメーカーがそれぞれ異なるエアロパーツは、こだわりのポイント。
「ボーナスから費用を捻出しながらフロント、サイド、リアと徐々に取り付けていったので、フルエアロにするまでに3年かかっているんです。それに、エアロのメーカーがそれぞれ違うのは、理想通りの3点キットがなかったので妥協したくなかったというのもありますね」と、感無量な面持ちで愛車の後ろ姿を見つめながら深く頷いていた。
「最初に交換したのはテールランプで、それから自分なりにこだわってカスタムしてきたから、見るたびに『やっぱりカッコいいなー』って思っちゃうんです。嬉しいのがね、高校生になる息子が『学校の送り迎えはハイエースで来てくれ!』って言うんですよ。その理由が『カッコいいから!』ということらしいです。そうやって言われちゃったら、雨の日とかついつい迎えに行っちゃうんですよね」と頬を緩ませた。
休日はそんな息子さんと一緒にサーフィンに行ったり、家族でキャンプに行ったりするのが楽しみだそうで「最近、ハイエースが集まるミーティングにも参加するようになったんです。どんなものかと足を運んでみたら、それこそ自分が雑誌で見ていたようなカスタムをしているクルマがズラリと並んでいました」と目をキラキラさせながら話してくれた。
そんなイベント会場でそれぞれのオーナーが思い思いに施したカスタムを見ながら歩いていると、上村さんはとあることに気付いたのだという。
「自分だけ車高を下げていなかったんです。なんだか恥ずかしいな…と思っていると、奥の方に周りと比べて背の高いハイエースがぼんやりと見えたんですよ。良かった〜と安心して近づいてみると、そのオーナーさんはあえてアゲ系のカスタムをされていたんです。ということは、やっぱりノーマルは僕だけで…何とも言えない気持ちになりましたね(笑)」
自分の愛車だけ車高が下がっていなかったということが、悔しいやら何かに負けた気がするやらで、帰宅後すぐ奥様に「車高を下げたい!」と申し出たのだという。
すると、こういう回答が返ってきたそうだ。「なんで?」
ぐうの音も出ない一言にも諦めきれなかった上村さんは、県内で開催されたミーティングイベントに奥様を連れて行ったという。そして奥様がキラキラした眼差しでカスタムされたクルマたちを眺めている様子を確認し「俺が車高を下げたいと言った理由が分かるだろ?うちのは2駆だからキャンプに行っても地面がアスファルトの所しか運転できなかったし、もともとそういう道しか走れないんだから、車高を下げたところでこれまで通りだよ。10年間ノーマルで乗ってきたから、もういいじゃん!」と畳み掛けるように説得を試みたそうだ。
実物を見せてからのこの一言は、奥様を『ほんまやね』と唸らせたという。
「作戦が上手くいったというのもありますが、妻はなかなか男気のある奴でして(笑)。最終的に『やりたいがやろ!?なら、しいや!』と、好きなことをさせてくれるんです。それに、妻もこのクルマが好きなんですよ」
上村さんが現在の愛車を迎え入れたのは27才の時で、サイズの大きなクルマに憧れがあったものの、息子さんがまだまだ手のかかる年齢だったのと、その後も何かと入り用になるタイミングだったため、クルマを買い替えることに関して少し後ろめたさがあったという。そんな時に背中を押してくれたのも奥様だったそうだ。
「実は、最初に挙がっていた候補はボルドーマイカメタリックのヴェルファイアだったんですけど、3ナンバーで維持費もかかるからと諦めていたんです。そんなときにハイエースとレジアスエースにもおなじボディカラーが新色として登場したんですよ。そしたら妻が『この色にしたらええやん! 大きいクルマに乗りたいがやろ? 紫のこれにしい!』って言ってくれたんです。納車された新車に乗り込んだ妻が『見て! 運転席と助手席が遠い! 大きいねぇ』と喜んでいたのは今でも忘れられません」と、当時を懐かしむように思い出話をしてくれた。
それまで乗っていたのが軽自動車だったこともあり、肩の当たるくらいの近さから急にゆったりと座れるようになったため、そのギャップに奥様は興奮していたのだそうだ。そして、その様子が上村さんにとってすごく嬉しかったのだという。
そんな家族の良い時も悪い時も、3人で力を合わせて困難を乗り切ったときも、常に駐車場で静かに見守っていて、いろいろな場所へと連れて行ってくれたのだそうだ。
ちなみに最近の上村さんは、1980年式の kawasaki Z750FX-Ⅲを積んで各地をツーリングするのも趣味なのだという。なんでも、乗りはじめて10年が経った最近になってバイクが積めるということに気付いたそうで「もっと早く気付けば良かった」と笑っていた。
「これからも家族で過ごしたいけど息子は大きくなってそっちで遊ぶようになるだろうから(笑)、妻といっしょにミーティングイベントに行ったり、バイクを積んで日本各地を2台の愛車で回ったりしたいですね」
10年にわたって上村家に寄り添ってきたレジアスエース。その新車カタログに記載された『ビッグポテンシャル』というキャッチコピーの言葉通り、その大きな車内空間と逞しく低燃費な走行性能で、これからもさまざまな景色を見せてくれるに違いない。
取材協力:高知工科大学 香美キャンパス(高知県香美市土佐山田町宮ノ口185)
(⽂:矢田部明子 / 撮影:西野キヨシ)
[GAZOO編集部]
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