アクティトラックをステップバン風に! プラモデルのようにカスタムを楽しむ軽トラライフ

  • ホンダ アクティトラック

市販の車種別キットを使って軽トラックのホンダ・アクティトラック(HA6)を自分好みの見た目にカスタムしたという。塗装も娘さんと2人で行うなど、まさに1/1プラモデルのように楽しみながら仕上げたという愛車とのカーライフをご紹介します!

軽トラックといえば農家や個人商店などで使われる“働くクルマ"というイメージが強いのではないだろうか。しかし、ここ数年でその印象は大きく代わり、アウトドアカスタムなどのベースとなるオシャレアイコンとしても注目されはじめている。そんな軽トラブームが到来する以前から、オシャレなクルマと認識して愛車に迎え入れたのがホンダ・アクティトラック(HA6)のオーナー、kudo-chanさんだ。

6年ほど前に手に入れたというkudo-chanさんの乗るホンダ・アクティトラックは、1999年から2009年の間に販売された3代目にあたるモデル。
しかし、その外観は純正の状態とはずいぶん異なっている。本来のHA6型は四角いヘッドライトだが、kudo-chanさんの愛車は丸型の可愛らしい顔つきが特に印象的だ。

「そもそも軽トラは好きだったんですが、ボンネットの張り出しがあるこのカタチが好きで、さらにホンダ・ライフステップバン(VA型)やライフピックアップ(PA型)のようなルックスにカスタムできるフェイスキットが販売されていることを知っていたので、このHA6型を選びました」

「車種は決め打ちでしたけど、手頃な車両がなかなか見つからなくて、手に入れるのは意外と苦労したんですよね」と話すkudo-chanさん。
ようやく入手した2000年式の個体はすでに走行距離が10万キロに達していたため、購入後はリアのハブベアリング打ち替えや、ドライブシャフトのブーツ交換といった整備を実施。さらにエンジンもヘッドガスケットが抜けてしまうトラブルにも見舞われるなど、普通なら維持するのを諦めてしまいそうなコンディションだったという。
しかしメーカー系技術者として働いていて自分でクルマを修理する技術を持ち合わせているkudo-chanさんにとっては、大きなトラブルとは感じなかったのだそう。

そんなkudo-chanさんがアクティトラックを購入する決め手にもなったのが、このフェイスキットの存在。ボンネットからフロントフェイス、フェンダーまでがキットとして用意されているため、手軽にヴィンテージ風のスタイリングが楽しめると考えたそうだ。
「この市販キットの存在を知っていたので、クルマが納車されたらすぐに作業できるようと、車両購入を決めた段階でパーツをオーダーしました。クルマ選びから3ヶ月くらい費やして構想を練っていたんですが、すぐに作業を開始できたので製作期間は1ヶ月くらいでしたよ」
子供が誕生日やクリスマスのプレゼントを待ちわびるように、クルマ選びからカスタムの構想や段取り、そして実際の作業までをワクワクしながら楽しむkudo-chanさんの様子が目に浮かぶようだ。

「パーツの精度が良かったため組み付けは比較的簡単にできたんですが、どうしても悩んでしまったのが塗装です。特にオリジナルのライフステップバンはグリルがアルミ製なんですが、このキットではFRPの一体成型だったんです。だからアルミっぽく見せるための塗装は悩みましたよ」
最終的にはホームセンターで買ったメッキ調スプレーを使ってみたところ、燻し銀の塗りあがりでイメージ通りのアルミ素材に近い雰囲気に仕上がったそうだ。

フェイスキットでフロントまわりはイメチェンを果たしているが、kudo-chanさんのこだわりカスタムはそれだけにとどまらない。
軽トラの場合は本来、荷台の下の部分はムキ出しの状態だが、この部分に社外のエアロカバーを組み合わせているのもアレンジのひとつ。
というのも、ライフピックアップはサイドのボディパネルが残されていて、そこが普通の軽トラとは違ったスタイリッシュなフォルムのポイントとなっている。言われないと意外に気づかない部分だが、外装カスタムを行ううえでサイドパネルの存在は欠かせないと考えたそうだ。

ちなみに、アクティトラックのほかに所有している愛車のBMW・135iではサーキット走行も楽しんでいるというkudo-chanさん。これまでもスカイラインGT-R(BCNR33)やフェアレディZロードスター(Z33)など大排気量スポーツカーを所有していたというが、そんな車歴とは系統の異なる660㏄の軽トラックを手に入れようという心境の変化はどのようなことがあったのだろう。

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「常にクルマは2台以上あるんですが、仕事の関係で通勤用として1台はホンダ車が必要になっちゃうんです。そこで目に留まったのがマニュアルミッションのMR車というスポーツカーのようなスペックのこのクルマでした。通勤の相棒として考えるとコスパもいいなと思って乗り換えた感じです」

ボディのペイントはハケとローラーを使用したマットペイントが施される。このペイントは当時中学生だった娘さんと2人で、約2日かけて塗り上げた自信作。塗料がラッカーのため徐々に表面が荒れてしまい、2年ほどで塗り直しが必要になるが、そういった手作り感やヤレ感も楽しめるのもこのクルマならではの魅力だという。

軽トラックの車検で必須となる最大積載量表示も、クルマの雰囲気を損なわないようにステンシル塗装を行うなど、細部にもこだわりが込められているのだ。

「このあいだは原付きバイクを御殿場まで取りに行ったんですが、やっぱりいろんな荷物を運べるクルマは1度持っちゃうと手放せないですね。それにベッドに人工芝を敷いているんですが、職場の昼休みとか天気がいい日にはこの上でゴロンって寝転んでいると幸せな気分になるんですよ。その延長で休日にはベッドの上にテントを設営してキャンプもしますから、アクティトラックを手に入れて確実に行動範囲が広がりましたね」

娘さんの引越しの荷物運びからタイヤ運搬、さらには大きな買い物も気軽に乗せられる実用性はさすがといえる。こういった荷物の積み下ろしのためのワークライトも設置したそうで、1灯だけながらLEDの強烈な光は広く全体を照らしてくれるため、作業からキャンプまで役立つアイテムなのだとか。
カスタマイズを楽しむだけでなく、実用車としても優れた軽トラライフを満喫しているようだ。

インテリアについては編み込み式ハンドルカバーによるドレスアップなどのほか、ノーマルでは装備されていないタコメーターや水温計などを追加することで車両の状態を把握しやすくするカスタマイズも行われている。

手に入れた段階で既に10万キロだった走行距離は、6年の所有を経て20万キロにまで達しているものの、入手当初にエンジンオーバーホールをおこない日頃から各部をしっかりメンテナンスしているため現在も絶好調をキープできているというアクティトラック。
1日に50キロの通勤を難なくこなし、休日までフル稼働してもへこたれないタフな相棒は、これからもkudo-chanさんの趣味と生活の幅を広げてくれるに違いない。

取材協力:
カンセキスタジアムとちぎ 栃木県宇都宮市西川田二丁目1-1
栃木県フィルムコミッション

(⽂: 渡辺大輔 撮影: 中村レオ 編集:GAZOO編集部)

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