R32型スカイラインを愛してやまないオーナーが射止めた、程度極上のタイプM!
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日産 スカイライン GTS-tタイプM(HCR32)
1989年に登場した日産・スカイラインGT-R(BNR32型)は、ケンメリ以来16年ぶりに復活したGT-Rとして多くのクルマ好きから注目を浴び、現在は海外でも日本が産んだ名車として大人気を誇っている。
一方で、そのベースモデルであるR32型スカイラインも、先代よりもひと回りコンパクトなボディに、2ドアと4ドア、2リッターや2.5リッター、ターボやNAエンジン、FRに4WDなど、豊富なラインアップが存在し人気を博したモデルである。
そんなR32型のスカイラインを、GT-RもタイプMもひっくるめて好きになり、これまで2台のタイプMと3台のGT-Rを所有してきたという長野県在住の『まさ』さん。
現在はスカイラインGT-R(BNR32)と、このGTS-tタイプM(HCR32)の2台を所有する生粋のR32党であるまささんが、最初にR32に興味を持ったのは、大学生の時だったという。
「僕は小さい頃はプラモデルは好きだったけれど、クルマ自体はそこまで興味はなかったんです。けれど大学生の時、バイクを乗っていてたまたま前を走っていたシルバーのR32GT-Rのテールを見た時『なんてカッコ良いんだ』ってビビビッときて。それがR32を好きになった最初のキッカケです。この時たまたま見たのがGT-Rだっただけで、僕はR32のスタイルがとにかく好きだったんですね。ただ、当時の自分にとってGT-Rは高価だったので、1台目はタイプMに乗ろうと思って、ガンメタのGTS-tタイプMを購入したんです」
こうして1997年に自身1台目となるR32タイプMは、プライベート用として10年以上活躍した。そして、そんな彼がさらにR32を好きになるキッカケとなったのが、2006年にプリンス&スカイラインミュウジアムの館長でR32の車両開発主管だった伊藤修令さん(写真左)のトークショーを聴きに行った時のことだった。
「伊藤さんのトークショーで、R32が“スカイライン”の伝統や、そこに引き継がれる想いを受け継ぎ、当時の開発関係者の情熱が一つになってできた俊作であった事など、愛車に関する秘められた魂を深く知ることができたんです。と同時に、R32スカイラインをもっと好きになりました。そしてその事をきっかけに伊藤さんのファンになり、その後、イベントで会うごとに毎回サインをもらうようになりました」
そんな伊藤さんとの出会いを経て、R32への愛が深まった次の日。まささんはたまたまボロボロのスカイラインGT-Rが売られているのを見かけたという。前日の話の影響もあって、そのGT-Rがどうしても欲しくなった氏は購入に踏み切り、自身2台目のR32を手に入れることに。
「このクルマはとにかくボロボロだったので、中古パーツを少しずつ集め、2年かけて一生懸命綺麗にしました。で、本当に綺麗になったなぁと思いながら、最後にディーラーに部品を買いに行ったんです。そうしたらそのディーラーの並びの中古車販売センターに、ガンメタでピカピカのR32GT-Rが置いてありまして…。走行3万キロ台のワンオーナー車ですごく良いなと思って、それまで11年間乗ってきたタイプMと、ようやく綺麗になったR32GT-Rを手放し、そのR32GT-Rを買いました。これが僕にとって3台目のR32でしたね」
しかし、その後は仕事が忙しくなり、この極上のGT-Rに乗る時間がなくなってしまったという。さらにあまりにも綺麗すぎて乗るのがもったいないとも思うようになってしまい、ナント手放すことを決意。
その後はビートルを買って、初めてR32から離れたカーライフを送っていたという。しかし、やっぱりR32が欲しくなり…。1年後の2011年に再び4台目となるR32GT-Rを購入した。
「新たに迎え入れたGT-Rは、僕がこのモデルを好きになるキッカケになったR32スカイラインの色と同じシルバーを探して購入し、現在も所有しているものです。そしてタイプMは、この10年後に購入する事になるんですが、実はその前の2017年にインテグラタイプRを購入していまして、それと入れ替える形で手に入れたものでした」
ちなみに、まささんがこれまでと毛色の異なるインテグラタイプRを購入した理由を伺ってみると、2017年にサーキットイベントで運転してとても楽しかったAE86が欲しくなり、探してはみたものの高値で手が出せず諦めていたところに、FF車だけどAE86と同じNAでマニュアル車のインテグラタイプRが目に留まったからなのだそうだ。
そしてその7年後の2022年、中古車情報を見るのが趣味だったまささんは、インターネットでこの極上のタイプMを見つけたという。
「一番好きなシルバーボディのワンオーナー車で走行距離は5万5千32km、『ゴーゴー32』ですよ。程度も良く『え! こんなクルマがまだ買えるんだ』と思って。インテグラも軽くて高回転域まで回るエンジンが楽しくて好きだったんですけど、それ以上に見た目や乗り味、その開発のバックグラウンドも含めて、以前乗っていたR32タイプMの楽しさが忘れられなかったので、インテグラを売却してタイプMを購入することにしたんです」
今回の取材対象となるのは、この5台目の1990年式R32型のスカイラインGTS-tタイプMである。納車前の整備でタイミングベルト交換や、ガソリンタンクを降ろしてシャーシ回りを綺麗にするなど、しっかり整備してもらった甲斐もあり、2年経った今でも大きなトラブルはないそうだ。
ほぼノーマル状態で美しいR32タイプMだが、実用性や長く乗ることを考慮し、ご自身で交換したパーツもあるのだという。
「購入してから交換したパーツは、シートとステアリングですね。シートはGT-R用にしました。このクルマはサンルーフ付きで天井が低いんですが、GT-R用は座面が低くて運転が楽ですし、ヘッドクリアランスも稼げるんです。純正ステアリングは傷つけないように保管して、革を張り替えたものに交換しています。その他は、前のオーナーさんが交換したマフラー以外はノーマルですね。当時オプションだったサンシェードが装備されているところや、グリルがなくてスッキリしている見た目が気に入っているんです。フロントフェイスはGT-Rよりもコッチの方が好きなんです」
そんなまささんは、現在このタイプMの他に、先に紹介したR32GT-Rとビートル、そして普段使いのレクサスという4台を所有されている。このスカイラインは主に週末のドライブや、クルマ関係のミーティングなどの相棒としてGT-Rと共に活躍中とのこと。
「田舎なので、クルマを4台所有していても駐車場代が掛からないのが良いですよね。それと僕は山の上から雲海を見るのが好きで、GT-Rやこのクルマで雲海を探しにいくことがあります。“夜中2時半に出発、4時に到着して日の出を待つ”みたいな感じで、うまく愛車とコラボした雲海の写真を撮れた時は嬉しいですね。雲海以外でも、出掛けた先でクルマの写真を撮るのが楽しくて、SNSに載せて同じ趣味の仲間と交流したりしているんです」
「スカイライン系のミーティングでは、タイプM以外にもGT-Eなどのマイナーグレードのオーナーも結構集まるので、まだこんなに現存していたのかと驚きます(笑)。その他にも、娘とカミさんと3人で美ヶ原のヴィーナスラインにドライブに行くこともありますね。長野だとドライブスポットに困らないのが良いですよね」
ちなみに、タイプMとGT-Rという2台のR32を所有する中で、この取材会にタイプMで参加した理由は「今となっては綺麗なタイプMの方が貴重だし、せっかくならアタイプMの写真を撮ってもらって保管したいと思ったから」なのだそうだ。
そんな彼に、他のモデルへの興味や今後のカーライフについても伺ってみた。
「できることなら、R32のマイナーなモデルなどもすべて並べた“R32ミュージアム”を創りたかったくらいR32が大好きなんです。けれど、流石にこれ以上増車することはできないので、これからもGT-Rやビートルと共に今所有しているクルマを大切に維持していくつもりです。ただ、もっと乗ってあげないともったいないので、これからはタイプMに乗る回数を増やしてきたいなぁ」
そう目を細め、とても幸せそうな表情で語ってくれたまささん。大好きなR32スカイラインと共に、充実したカーライフを彩り続けることだろう。
(文: 西本尚恵 / 撮影: 中村レオ)
※許可を得て取材を行っています
取材場所:南長野運動公園(長野オリンピックスタジアム)(長野県長野市篠ノ井東福寺320)
[GAZOO編集部]
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