大排気量セダン好きがチョイスした、3.5リッターのマークXという最適解

  • GAZOO愛車取材会の会場である南長野運動公園で取材したトヨタ・マークX 350S (GRX133型)

    トヨタ・マークX 350S (GRX133型)



環境配慮やガソリン価格の高騰など、時代背景に合わせて燃費の良い車などが新車ラインアップの中心になってきている昨今、そんな流行に逆行するかのように3.5リッターという大排気量のトヨタ マークX (GRX133型)で日々のカーライフを楽しんでいるのが『ヤス』さんだ。

なぜヤスさんはあえて大排気量のマークXを乗るに至ったのか。ヤスさんと、ヤスさんの良き相談相手でもある奥様のふみえさんにお話しを伺った。

気が付けば小さい頃からクルマ好きだったというヤスさん。最初に親から譲り受けた日産プリメーラに乗った後、ヤスさんの最初のルーツとも言える大排気量4ドアセダンの高級車、クラウンマジェスタを購入することから愛車遍歴が始まるのだが、そこからマークXに辿り着くまでの経緯がおもしろい。

「クラウンマジェスタに乗った後は、ミニバンブームに乗じて気になっていたエスティマを買ってみました。エスティマは車高を下げたりエアロパーツを装着したりして楽しんでいましたが、そのうち当時ハイブリッドの先駆けとしてS21系クラウンアスリートが発売されて、興味が湧いたので乗り換えたんです。その後はSUVが流行り出して、どんなもんかなと気になって、今度はハリアーを買いましたがどうも僕には合わなくて…(笑)。そして、結局はやっぱり大排気量のセダンが良いと、V8 4.3リッターエンジンを積んだ3代目セルシオに乗り換えたんです。これが最後のセルシオだったからというのもありましたからね。その後は“MT車にも乗ってみたい”と思って、5ドアハッチバックのシビックに乗り換えたんです。でもでも、やっぱり自分に合っているのは大排気量のセダンだったなと感じ、1年半前に探し始めて出会ったのがこのマークXでした」

つまりヤスさんは、流行の中で興味を引いたクルマに乗り換えるというカーライフを楽しみつつ、結局行き着いたところはセダン車だったというのがよくわかる愛車遍歴なのだ。

「これから先、ガソリン車は減り、大好きな大排気量セダンには乗れなくなるかもしれませんよね。だったら、今のうちに好きなクルマに乗り換えたいと思うようになったんです。これまでトヨタ車に乗ることが多く、トヨタ車が自分に合っていると思っていたので、“トヨタの4ドアセダン”の中で探していたところ、たまたまトヨタの中古車サイトにトヨタ認定中古車のマークXが載っていたんです。3.5リッターという大排気量エンジンを積んだ4ドアセダンというのが一番の決め手でしたね。マークXの2.5リッターモデルは沢山あるのですが、上級グレードの3.5リッターはなかなか出てこないんです。僕はこれまで、ほとんどディーラーから新車で買っていたので、トヨタの販売店で売られているというところも安心感が大きかったです」

ちなみに、マークXの購入については、ヤスさんの良き相談であり、背中の後押しをしてくれる奥様のふみえさんも大賛成だったそうだ。

「私もクルマは結構好きで、マークXも発売された当時にカッコ良いと思っていたんです。ですから、夫からマークXを買いたいという相談を受けた時は、確かにガソリン車は減ってきているし夫が乗りたいというなら良いかなと思ったんです。しかも自宅のすぐ近くで展示されていたし、状態も良くて走行距離が6000kmと少なかったので、ほぼ即決でしたね。まさか自分が気に入っていたクルマが購入候補になるとは思っていなかったので、何かの巡り合わせだったのかな? と思っています」

そういった経緯で、奥さんと意気投合して購入したのが、2016年式の2代目トヨタマークX(GRX133)。上級スポーツグレードの350S。搭載されているエンジンは、3.5リッターV型6気筒の2GR-FSEで、6速ATが組み合わされている。318psというハイパワーと、38.6kgmの豊かなトルクが持ち味で、常にゆとりのある走りを提供してくれるのだ。

ご自宅にはこのマークXの他に、ふみえさん所有の軽自動車がある。よって、近場のちょこちょことした買い物はふみえさんの軽自動車で動くものの、ドライブや長距離運転などの時にはこのマークXがメインカーになるそうだ。

「1年半乗って8000km走行していますが、3.5リッターエンジンはスーッと静かに走るので、運転がすごく楽で、ストレスなく乗れるのが良いですね。もしこれが2.5リッターだったら僕は買っていなかったですから」と、ヤスさん。

そして、ふみえさんもこのマークXを気に入っていて、「マークXの方が速いし大きいし安定感があるので、遠くに行く時や高速道路に乗る時はこのクルマに乗りたいですね。ただ、私は運転してみたいけれどセダンは大きくてちょっと怖いので、夫がいるときになりますけど(苦笑)」と、嬉しそうに話してくださった。

そんなふみえさんによると、夫のヤスさんはラーメン好きで、ドライブは景色を見たりするよりはもっぱらラーメンを食べに行くことがメインなのだとか。

「よく長野の情報誌を見ては気になるラーメン屋をリサーチして、そのお店に行きつつドライブも楽しむということが多いですね。クルマと一緒に景色を撮ったりすることはあまりないんですけど、ラーメンの写真はよく撮ります(笑)」

こうしてマークXライフを楽しんでいるヤスさんご夫婦だが、ひとつ困ったことがあるという。それはやはりガソリン代なのだという。

「このクルマはハイオク仕様な上に、リッター7kmちょっとしか走らないんです。しかも長野は日本一ガソリンが高いと言われており、ハイオクガソリンはリッター200円なんてこともザラなんです。でも入れないワケにはいかないですしね。県外に行くとリッター単価が10円以上安いこともあるので、そこで入れることも多いですよ」

そしてふみえさんも「長距離ドライブはすごく快適でどこでも行きたい放題なんですけど、この子は大容量のハイオク車でガソリンをいっぱい食べるのだけがネックですね」とヤスさん同様苦笑い。

ヤスさんご夫婦は、ガソリン価格が高騰している今の時代にそぐわないクルマであることは重々承知の上で、あえてこの3.5リッターのマークXを楽しんでいるのだから、本当にこのクルマが好きで、大切に乗っているのだろうなと改めて感じた。そんなヤスさんだが、基本的には『純正の形を崩さずにできる範囲のカスタムも楽しみたい』とのことから、ホイールやミラーは購入後に手を入れている。

「ホイールは足元が引き締まるようにと、純正と同サイズのままでブラックの社外ホイールに交換しました。その時にタイヤもミシュランにしました。ミシュランのサイドウォールのデザインが好きなんですよね」

「夫は“少しはクルマいじりをしたい”という気持ちがある人なので、ミラーを黒くしたいと言われた時は、『それくらいならいよ』と伝えました。今後はリヤウイングもそれに合わせて黒にしたいとか言って、色々プレゼンされるんで聞き流しているんですけど、きっとそのうち『いいよ』って言ってしまうんだろうなーと思ってはいます(笑)」

どうやら、お財布の主導権はふみえさんが握っている様子だが、おふたりでマークXをドライブにだけでなく、カスタムも一緒に楽しんでいるという風景が、とても素敵な時間だと羨ましく感じた。

そして、美しく凛としたスタイリングに負けないくらい、内装も上級セダンらしく高級感のある落ち着いた雰囲気。さらに必要最低限のものしか積まないスタイルで、車内もお二人の手荷物以外はなく、非常にシンプルで綺麗な状態を維持している。そんなところからも、ヤスさんがこのマークXを大事に扱っていることが伝わってくる。

ふみえさんによると「車内はなにも変えていないんですけど、カーナビゲーションが当初のままの古いタイプなので、新しいものに買い替えようか? といった話は出てきていますね。ただ、夫はまず『外見から』とリヤウイングを変えたい気持ちのほうが強いみたいです」と、目を細めていた。

実は今回の、この出張取材会が長野で開催されるタイミングを、首を長くして待ち構えていてくれたのだという。

「主人は前々からこの撮影会が『早く長野に来ないかな』とずっと楽しみにしていたので、ついに長野で開催という告知を見た時は『絶対応募しなきゃ!』と喜んでいたんです。でも『それならもっとクルマをいじっておけばよかった~』って、2人で後悔していました(笑)」

「僕が次に買うクルマは、きっとハイブリッド車になるだろうなとは思いますが、まだ購入して1年半ですし、現時点での買い替えは考えていません。この先ガソリンが値上がりしても、まだまだこのクルマをいじりながら楽しんで乗っていきたいですね」

ヤスさんのマークXは、これからも純正然とした美しい状態を保ちつつ、随所にこだわりのカスタマイズを施して進化し続けていくことでしょう。

(文: 西本尚恵 / 撮影: 中村レオ)

※許可を得て取材を行っています
取材場所:南長野運動公園(長野オリンピックスタジアム)(長野県長野市篠ノ井東福寺320)

[GAZOO編集部]