ライフスタイルに合わせてランクル・プラドを選びつつ、気に入った仕様に乗るという幸せ

  • GAZOO愛車取材会の会場である南長野運動公園で取材したトヨタ・2021年式ランドクルーザー プラドTX-Lブラックエディション(TRJ150W)

    トヨタ・2021年式ランドクルーザー プラドTX-Lブラックエディション(TRJ150W)



世界的に見て評価が高い日本車の中でも、群を抜いて性能が認められているランドクルーザー。特に悪路走破性は欧米のクロスカントリー車と比較しても、圧倒的に優れていると言われ、さらに極限の環境でも信頼できるタフネスさは、熱帯雨林から砂漠地域まであらゆる地形で活躍。陸の王者と呼ばれる所以は、その性能の高さと信頼性によって勝ち得た称号なのである。
そんなランクルの中でも、ライトデューティに位置付けられるのが70系から追加されたプラドだ。従来のランクルよりも快適性を高めるため、足まわりを中心に設計が一新されていて、ランクルでは大きすぎるといったユーザーの受け皿としても人気を集めている。そんなプラドの名を冠した最終モデルが『AKIプラ』さんが所有する2021年式トヨタ・プラドTX-Lブラックエディション(TRJ150W)である。

それまでタフさを売りにしていたランクルと比べると、万人受けを目指したことで、デビュー当初の70系では人気を獲得できなかったプラド。しかし、ランクルとの住み分けが明確になった2世代目からは、我慢を必要としない快適なランクルとして人気が高まっていった。4世代目となる150系では、ランクルの名に恥じない走破性とスタイリッシュさ、さらに本家ランクルが巨大化したことから、人気を2分する存在へと登りつめていった。世界的にもその評価に齟齬はなく、特に実務で必要となる地域では、よりコンパクトなプラドの方が好まれるという逆転現象も起きていたという。

そんなプラドを『人生最大の相棒』と評するのがAKIプラさん。以前も中期型に乗っていて、150のオーダー終了に合わせて後期型に乗り換えたというほど、プラドには愛着を持っている。

「住んでいる新潟は冬になると雪が深いので、4WDが生活の必需品になっているんです。仕事で重機を使った除雪作業をしているんですが、当然仕事に出かける段階では道路には50〜60cmの雪が積もっている。そんな時に躊躇なく家から現場まで行けるクルマというと、やはり選択肢は限られてきちゃうんです。プラドはどんな路面状況でも走ってくれるので、冬の通勤には無くてはならない存在なんですよ」

普段、除雪された道を走っていると気付かないものだが、除雪前の道路を通勤で使わなければならない人にとって“走破性”はやはり生命線と言える。その点でもプラドが持つ性能は、雪国のエッセンシャルワーカーでもあるAKIプラさんだけでなく、新潟地域の交通も支える鍵となっているというわけだ。

ちなみに、150系プラドにはエンジンが3種類 (後期は2種類) 用意されている。特に人気が高いのは低回転からのトルク性能に優れたディーゼルターボだが、乗用ライクに扱う人にとってはガソリン車が好まれるなど、用途に応じて選択肢が分かれているのも特徴だ。

AKIプラさんのプラドは最終モデルの中でも2.7リッターのガソリンモデル、2TR-FEエンジンを搭載。静かで乗り心地も良く、なおかつ除雪されていない雪道でも安心して走行できるパフォーマンスが十分に備わっているのだ。

「通勤など普段の生活で雪道は走りますが、オフロードを好んで走るってわけじゃないのでディーゼルではなくガソリン車を選びました。それに150プラドってオフロードよりも街中の方が似合っている気がするんです。それならガソリンエンジンの方が気持ちよく乗ることができますし、SUV的なカスタマイズを考えた時も、ガソリン車の方が上品なイメージとピッタリ当てはまると思ったんですよ」

走破性を重視してプラドを乗り継いではいるものの、AKIプラさん自身は昔からカスタマイズ好きでもある。その趣向を満足させる選択肢としては、ガソリンエンジンモデルが最適解だったというわけだ。

モデル終了という情報だけでなく、中期から後期へ乗り換えを決意させた理由のひとつが、このプラドが限定モデルのブラックエディションであること。

「当初はハリアーなど、他のライトなSUVも考えてみたんです。しかし探してみたところ、新古車でこのブラックエディションが売られていて、これなら乗り換えたいと考えるようになりました。通常のモデルとは違い、ブラックエディションだと随所にブラックメッキやピアノブラックの意匠が加えられているんですが、中期から顔まわりが変更になったのと合わせると、精悍な印象は新たな魅力をもたらしてくれたんです」

通常モデルでは一般的なメッキで加飾されたフロントグリルは、ブラックエディションになるとブラックメッキ仕上げに変更される。このグリルとライトのバランスが、特に気に入っているポイントで、後期モデルをベースに新たなイメージでプラドをカスタマイズしたくなったのだとか。その他、サイドミラーカバーや室内のコンソールなどにはピアノブラックが採用され、ワンランク上の上品さを醸し出しているというのもAKIプラさんの心に刺さった要因だ。

また、標準車のプラドではダイレクトマウントタイプのルーフレールが装着されているが、ブラックエディションでは足のあるルーフレールが標準装着されているのも特徴。このルーフレールは同時期にラインアップされた70周年アニバーサリーや、後発のマットブラックエディションなどでも採用されている。

2台のプラドを乗り継いでいるとは言っても、AKIプラさんは本来ローダウン好きだったという。以前はクラウンマジェスタをVIPスタイルにして乗っていたこともあり、基本的にクルマには高級感を求めているのだと言う。もちろんその際も、冬用としてダイバツ・ムーブの4WDを所有し、趣味グルマと実用車をしっかり別けていた。しかし、結婚したタイミングでクルマの趣味を卒業して落ち着こうということになり、前車の中期プラドに乗り換えたというわけだ。

「中期からこの後期に乗り換える際、実は離婚していまして…。そのため心機一転という意味も、この新しいプラドには込められているんです。もちろん、自由になってしまいましたので、一旦卒業したクルマ趣味も復活しちゃっています(笑)。手始めというわけではないですが、ホイールやマフラーを入れ替えて、徐々に好みのスタイルにアップデートしていこうと考えているんです」

まず交換したのは、海外のプラドオーナーの写真を見ながら決定したというアルミホイール。オフロードっぽくないデザインで、なおかつリムが深くないことが決め手となっている。もちろんこのホイール交換は、単なるドレスアップとしてだけでなく、純正ホイールに冬用タイヤを組み込むための実用という面もある。好みのスタイルにカスタマイズしながらも、冬に向けた準備もしっかりと行なっているという塩梅だ。

中期モデルに乗っていた時にも装着していたというガナドール製のマフラーは、後期モデルに乗り換えても自己流スタイルの要として選択。重厚感のある2本出しデザインは特にお気に入りで、もちろん車検対応製品というのもこのマフラーをセレクトしたポイントとなっている。

インテリアなどは、ブラックエディションならではのピアノブラックパネルが装着されているので、現状では満足しているのだとか。

「同時期に発売された70周年アニバーサリーも候補にはあがったんです。でも、そちらは内装色がサドルタンだったので、自分の好みではないかなって。やっぱり内装色は黒の方が高級感があると思うんです。そう言った意味では、ブラックエディションの内装は自分にとってベストなイメージですね」

ただし、ワンポイントとして赤のネックピローが追加される。差し色を加えることで、ブラックインテリアがより引き立つという考えは、AKIプラさんがVIPスタイルでマジェスタに乗っていた時の経験から。

現状のカスタマイズはホイールとマフラーに留めているが、海外でも人気のあるモデリスタのエアロが気になっているという。とは言っても、雪道を走らなければならないため、エアロパーツは損傷の恐れもある。純正のスタイルを崩すことなく、いかにシンプルに自分の好みのフォルムを見つけ出すかは今後の課題でもあるそうだ。

「中期から後期に乗り換えて、スタイリングが変わったのはもちろんですが、何よりも先進の機能が追加されていることに驚きましたね。レーダーによるプリクラッシュセーフティとか、自動ブレーキが付いているので安心感が増しました。時代の進化っていうのを感じられたこともあって、乗り換えて正解だったかな。このプラドはずっと乗っていこうと思って買い換えたのですが、今後のクルマの進化を体感するなら、時代ごとに乗り換えるのもアリなのかもしれませんね」

再び“クルマ”という趣味を再開したAKIプラさんにとって、新たな楽しみとなったプラド。パーツ交換によってスタイリングを作り上げるだけでなく、SNSを中心に広がったコミュニティも人生を充実させるスパイスになっているという。大きなイベントに参加するだけでなく、気の合う仲間と少人数で行なうミーティングなど、時間も自由に使えるようになった今、これまで以上にクルマ遊びが楽しくなっている。

冬の通勤で活躍するのはもちろん、新たな人生を充実させる相棒としてもプラドは無くてはならない存在であることは間違いないのだ。

(文: 渡辺大輔 / 撮影: 平野 陽)

※許可を得て取材を行っています
取材場所:南長野運動公園(長野オリンピックスタジアム)(長野県長野市篠ノ井東福寺320)

[GAZOO編集部]

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