3.5リッターV6にこだわり13年かけて育てたアルファードは家族の一員
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トヨタ・アルファード(GGH20W型)
愛車との付き合い方は人それぞれ。例えば、キャンプが好きなら車中泊仕様に、サーキットを走るならブレーキやサスペンションなども強化するだろう。そして、今まで取材したオーナーさんの中には、車内を自分の好きなピンク色で埋め尽くして『日常を忘れたい!』という方もいらっしゃった。
そんな様々なカスタマイズがある中、今回取材させていただいたアルファード(GGH20W型)のオーナー『ぼっこ』さんの場合は“自分好みに育てる”という楽しみ方で充実したカーライフを送られている。
「このアルファードを購入したのは、今から13年前になります。その間に、色々な箇所をいじって、ここ最近でようやく完成したかな? と思っているんです」
手塩にかけて育てたというアルファードは“そんじょそこらのアルファードとはちょっと違う”といったような、職人の顔付きで愛車を見つめる。
カスタムされた部分は60ヵ所以上にも及び、今まで装着したパーツの説明書等を保管している車検証入れは、千切れんばかりにパンパンなっていた。
外装カスタムの一部を紹介すると、フロント回りは純正オプションのフロントグリルに加えて、シルクブレイズ製のアイラインやMarquis製のフロントセンターガーニッシュ、EZリップ製のEZ LipPROなどを装着することで個性的な面構えに。
サイドやリヤまわりも、サイドステップやリヤバンパーをアフターパーツメーカー製に交換し、三連フロントフェンダーダクト、レクサスLS用ドアハンドル、ルーフアンテナなどを取り入れることでベンツで言うところのロリンザーやカールソン、BMWで言うハルトゲやブレイトンといった“欧州車のチューナーズコンプリートカー”のような雰囲気を目指しているという。
パーツメーカーや商品名を聞き漏らさないようにメモを取って、ホッと一息ついていると…。
「見た目はなんてことないけど“見えない所をしっかりいじっている”というのが、このアルファードのコンセプトなんです。初めて乗った人には、ミニバンじゃない動きをするねと驚かれることが多いです」と、さらなる追加情報が。
ぼっこさんのアルファードは、エクステリア以上に『走り』にこだわっているそうで、走りに関するカスタム箇所は、見た目に関するカスタム箇所の2倍以上あるそうだ。
というのも、愛車の条件で一番大切にしているのが『走りと実用性』だそうで、大切な家族を乗せてドライブすることができ、尚且つ、自分も道中の運転を楽しめるというのがポイントなのだとか。
「走行距離が28万kmを突破し、3代目、4代目と新型が登場するたびに買い替えを勧められても断ってきたのは、2代目アルファードには“3.5L V6エンジン”が積んであるからなんです。3代目アルファードにもV型6気筒エンジン搭載車の設定があるのですが、デザインがエレガント過ぎて自分好みではなく、4代目のラインアップにはV6エンジン搭載車がないんです。だからこそ、2代目アルファードにこだわってきました。ボディサイズが大きいのに、直列4気筒エンジンじゃパワーが足らない。ハイブリットは何か違う。…となると、やっぱり僕はV6エンジンで走りたい! ってなったんです」
幼少期からクルマ好きだったというぼっこさんは、小学生の頃に友人達がガンダムのプラモデルに夢中になっている中、1人だけクルマのプラモデルを組み立てるような子供だったという。それは高校生になっても変わらずで、クラスメイトが週刊の少年コミック雑誌をまわし読みをしているのに、自分だけは黙々とクルマ雑誌のページをめくり、家に帰れば“首都高トライアル”のビデオで見て、早く運転免許を取ってクルマを運転してみたいと思いを馳せるような高校男児だったと振り返ってくれた。
「初めてクルマを運転したのは中学生の頃でした。といっても、家の敷地内に停めてある父のクルマを、父の管理下で数cmに動かしただけなんですけどね(笑)。けれども、数cm動いただけでワクワクしたし、とても嬉しかったんです。そんな僕は、いつかレーシングドライバーになりたいと夢を見ていた時期もありましたね」
初めての愛車は、セリカGT-FOUR。欲を言えばソアラやスープラが欲しかったそうだが、当時スキーにハマっていたため、普段の走りとスキーを両立させるために四輪駆動で雪道もしっかりと走れるセリカを選んだそうだ。
「良いクルマではあったんですけど…自分が想像していたクルマではなかったんです。音の割に、速くはなかったですから」
この頃から、それなら自分好みの走りができるクルマになるようにと手を加えるようになったそうだ。アルファードもまた然りで、走り出しが軽やかで自分の思った様に加速し、自分の思ったとおりに曲がるように試行錯誤したということだ。
その甲斐あってか、三男が高校の修学旅行で沖縄に行った際、自由行動でアルファードのタクシーに乗ったときに『型式もグレードもまったく同じクルマのはずなのに、そうは思えなかった』と感想を教えてくれたそうだ。
自分がこだわってきた乗り心地の違いに息子も気付いてくれたと、目をキラキラさせて嬉しそうに腕を組んでいた。
「家族を乗せて移動するので、自分が好きだからといって足まわりを固くしすぎたり、車高を落としすぎてクルマが跳ねたりといった挙動が出ないようにしています。だけど車高はある程度落としたいというのが男心で(笑)、なるべく振動を抑えて、フラットな走りができるように手を加えています」
大事にしているのはトータルバランスで、走り出しがもっさりしているとか、速いだけで止まらない等は“良し”としていないそう。目指しているのは、自分が乗っても、誰が乗っても安心できる『走り心地』だという。
最近、新たな試みとして取り入れたのは、今回が3セット目となるクスコ製の車高調整式サスペンションである。今まで装着していた車高調は硬めの乗り心地だったので、街乗り向けの仕立てになっているクスコ製を導入してみたところ、快適な乗り心地と走りになったと教えてくれた。
「それと、ボディ関係の補強をすると走りも変わりますね。フロント、センター、リヤの各部にクスコ製とトヨタG's製のブレース、加えてTRD製のパフォーマンスダンパーや、スプーン製のリジカラ、さらにクォーターピラーバーも追加しました。これらの補強パーツは、取り付けた次の日に通勤路を走ると、とくに違いが明確に分かりますからね」
カスタムパーツは、1つずつ装着していくのがぼっこさん流だという。パーツを一気に替えてしまうと、各パーツ単体での変化が分からなってしまうし、雨の日、晴れの日、山道、通勤路など、様々な路面状況を走ってその違いをジックリ観察するのが“面白い”のだとニヤッと笑った。
また、パーツ交換後には、お決まりのドライブコースがあって、速度域の高いテストをしたい時は常磐道から外環道に入るルート、ワインディングロードを試したい時は筑波山方面などに行くのがお決まりだという。追記しておくが、あくまでも法定速度範囲内での走行フィーリングテストである。
「パーツの交換で“走り心地”が変わっていくのが分かるから楽しいですし、乗っている息子達がその違いに気付いてくれるのも嬉しいんですよ。乗り心地が良くなったなんて言われたら『じゃあもっと揺れないようにしてやろうか!』な~んて、なっていくわけです(笑)」
「そうこうしている間に、実に13年の時が過ぎていたのには驚きだけど…」と、豪快に笑うぼっこさん。
しっかり止まれるようにと制動系もディクセル製のブレーキパッド&ローターでアップデートし、吸排気系や点火系も滑らかな加速を目指して手を加えいく毎に、どんどん愛着が増していったそうだ。そうしていくうちに、アルファードはいつしか家族の一員となり“買い替え”という選択肢はゼロになったと話してくれた。
「このアルファードを購入した13年前からの楽しみが、最愛の息子達3人を乗せて男だけのドライブをすることです。これが、自分にとっては掛け替えのない時間なんですよ。幼稚園児だった三男は、いつの間にか身長も伸びて大学生になりました。面白いのは、購入してからずっと、子供達の席順が変わっていないことです。長男が助手席の後、次男が助手席、三男が運転席の後、もちろん妻が付いてきてくれることもあります。そういう日常がすごく大切で、これからもアルファードと重ねていきたいと思います」
目尻を下げて優しそうに笑った顔は、間違いなく今日一番の表情だった。ぼっこさんにとってこのアルファードは、一家5人を包んでくれる、頼もしい6人目の家族なのである。
(文: 矢田部明子 / 撮影: 平野 陽)
※許可を得て取材を行っています
取材場所: 千葉みなと さんばしひろば(千葉県千葉市中央区中央港)
[GAZOO編集部]
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