ロードスターが切り開いてくれたクルマ趣味の世界進出!?

  • GAZOO愛車取材会の会場である三角西港で取材した1996年式マツダ・ユーノスロードスター V Special

    1996年式マツダ・ユーノスロードスター V Special



ホンダ・ビートが登場した時に流れていたテレビCMは『RSREFINE』さんにとって非常にセンセーショナルな内容だった。
BGMとして流れる原由子の“じんじん”という歌詞どおり、オープンカーで颯爽と走っていく姿にじんじんきて『運転免許を取ったら絶対にオープンカーに乗る!』という目標を持ってしまうほど、深く脳裏に焼きついたと話してくれた。
「CMの最後に『遊んだ人の勝ち』というというキャッチコピーが入っているんですけど、この言葉はまさに、僕のカーライフを表すのに相応しい言葉だと思っています」とのこと。

ちなみに、誤解なきようにお伝えすると、彼の愛車はユーノス・ロードスターであり、ビートではない。ただ、ロードスターとの馴れ初めを語る上で、このエピソードは外せないポイントだったので、冒頭でお伝えさせて頂いた。

というわけで当初はビートの購入を検討していたそうだが、S600に乗っていたクルマ好きのお父様に相談すると『オープンカーなら他にもあるから』となり、先ずはディーラーに足を運んでみようとなり、それがロードスターに乗るキッカケとなったという。

「父の友人が働いている、近所のディーラーでユーノスを見てみようということになったんです。もちろん最初は買う気なんて無かったのですが、色々説明してもらうと自分が思い描いていた夢がすべて叶う『欲張りセット』のようなクルマだったので、判子を押しました」

「オープンカーであることはもちろん、リトラクタブルヘッドライト、パワーアンテナ搭載といった要素や “V Special"というグレードの特別感が良いなって感じたんです。当初の僕はそれほどクルマに興味がなく走りの性能がどうだとかはまったく分かりませんでしたが、ガジェット好きだったので、最新機構が搭載されているという点や、それらの機能を試してみたいという気持ちが大きかったんです」

というわけで、RSREFINEさんが愛車として選んだのは、1996年式ユーノスロードスター V Specialのオートマチック車。
当時は最先端のガジェットに夢中になっていた時期で、クルマに詳しくもなかったため、そもそもマニュアルミッションという選択肢すらなかったという。
今でこそオートマチック車限定免許が主流だが、当時は9割近くのひとが普通自動車免許を選択していた時代であり、オートマチック車限定免許で免許を取ると言ったら変わった人扱いされたと笑っていた。

運転免許取得のための試験当日にはすでにロードスターが納車されており、免許センターまで向かう道中はお父様が運転し、試験に見事に合格した帰り道は自らハンドルを握って走ったのだと誇らしげに語ってくれた。

ただ、ロードスターのおかげで走る楽しさに目覚めたRSREFINEさんは、結局のところは後からMT車も運転できるように限定解除。
そして、2025年で29年を迎えて経年劣化が目立ち始めたロードスターについても、もしATが壊れたらマニュアルミッションに乗せ換えるという構想もあるのだとか。

購入当初はパーツを買いあさり、思うがままにカスタマイズ道を突っ走った。自身のホームページを立ち上げたのもこの時期だ。きっと、自分のように1人で楽しもうとしている人や、情報が枯渇している人もいるはずだと考えたからだ。

その当時は、今では至極当たり前の企業ホームページすらあまり存在せず、情報を知るのには主に雑誌や人づてだった時代。自分のホームページを見てくれた人は、一体何が知りたいのだろうと考えた結果、ロードスター関連ショップのリンクや、発売されたパーツ、オフ会の日程などの情報をアップロードしていったという。

そうしていると、県内のプロショップからホームページの作り方を教えてほしいという連絡が入り、そこでも交友関係が広がっていった。そうして色々なショップに出入りするようになると、今度は自分が欲しいパーツを作ってみたいと思うようになったそうだ。また、それに力を貸してくれるショップとも知り合えたのが嬉しかったという。

「とある日、ワイパーにお手紙が挟んであったんです。内容は、熊本で『ロードスタージャンボリー』というクラブがあるから、良かったら来てみないか? というお誘いでした」

どんなものだろうと指定場所に行き、参加してみると凄く有意義な時間が過ごせたという。なぜなら、想像もつかなかったようなカスタマイズが施されていたり、自分で整備している人がいたり、サーキット走行を楽しんでいる人がいたりと、多種多様な接し方でロードスターを楽しんでいるオーナーが集まっていたからだ。

ロードスターは20代、30代、そして40代と、オーナーと共に成長と進化を遂げてきた。その歴史はまさに相棒と言える存在だという。例えば、それが如実に現れているのが外観のカスタムだそうだ。

カスタマイズに関しては、当初は『なんでも装着しちゃえ!』の精神で、カーボンボンネットやリヤスポイラーなどのカスタムパーツを手当たり次第に取り付けていた時期があり、その時は仲間から“カーボン星人”の愛称で呼ばれていたほどだったという。

そんな時期に、渋くて雰囲気のある職場のおじ様から『クルマというのは、テーマを決めなきゃダメだよ』とアドバイスされたことがあり、そのひと言がキッカケとなって、無事(!?)に、その第1形態を卒業したらしい。

というのも、それまでクルマについて詳しく知らなかったため、アフターパーツをたくさん装着することがカッコ良いと思っていたのだそうだ。しかし、改めて遠目から見てみると…確かにデザインに統一性がないと感じ、アドバイスされていたことが腑に落ちた。そうして30代に差し掛かる前に、ほぼノーマルまで戻していったそうだ。

ちなみに、現在のロータスエラン仕様のボディーカラーは、イベントで出会った方々からインスピレーションを受けているという。

というのも、オフ会で自分がロードスターを購入した頃の話をしている時、当時の風景を思い浮かべると街には単色ではなくツートンに塗り分けられたセダンがたくさん走っていて、レトロでお洒落な雰囲気を醸し出していたのを思い出したそうだ。
そして、そんなできごとからヤレてきていたボディの塗装をツートンカラーで塗り分けるのも良いなとイメージ膨らみ始めた頃、クラブ内に白とオレンジという個性的ながらもユーノスの世界観を崩さないカラーリングの個体を見かけたのだという。
その瞬間、撃鉄が落とされた。
『そうだ、自分のロードスターはロータスエラン風にしてみよう』

ポイントは中央に入ったゴールドのラインと、トレードカラーとなる緑と同じくらいの割合で白を使ったところだという。乗って20年目に、やっとロードスターというクルマを何となく理解し、自分らしいカスタマイズをすることができたと、目尻が下がっていった。

「街を走ると、ユーノスを知らないはずの若い世代の方が、男女関係なく可愛いと言ってくれることや、そもそも気付いてくれることが嬉しいんです。でも、そういう方向性に持っていけたのは、仲間に出会ってたくさんのことを学べたからなんですよね」

「人というのは変わるものですね〜(笑)。いつの間にか、絶滅危惧種と言われるマニュアル車を運転したいと思うようになり、何十年前のクルマにずっと乗っていたいと思うようになるんですから。運転免許を取得した当時の僕からしたら考えられないですよね。クルマに興味がなかった僕がクルマを好きになって、そういった人達と仲間になるだなんて、想像もできませんでしたから」

「ある時、長年ユーノスに乗ってきた自分が、ニヤニヤできるパーツやアイテムを作りたいと思ったんです」

今では、3Dプリンターを使って自作アイテムの製作も行うようになったというRSREFINEさん。ただし、当然のように手間や時間が掛かってしまうので、簡単に『欲しいパーツは何でも作る!』とはいかないそうだ。

シートバック後方のドレスアップとしても重宝するドライカーボン製のベゼルブロッカーや、センター部に設けられたアクリル板製のウインドブロッカーは、仲間とのコラボで作った逸品。自身や仲間のアイディアが、次々と形になっていくというのは、嬉しさこの上ないことだろう。

「既に純正パーツが出ない部品だったり、あったら良いなと思うパーツを作るようにしているんです。ただ、自分が納得できるものとなると、ついつい力が入っちゃって時間は掛かりますね」

こうして、ニヤニヤしてしまうような渾身のアイテムを作り続けていると、オーストラリアにいるロードスターファンとも交流が始まり、なんと熊本で開催されるミーティングにまでわざわざ来日してくれたそうだ。
また、このクルマに履かせているホイールは、カリフォルニアのロードスター仲間が作ったというもので、ホイールの技術基準であるJWL、VIAの認定もしっかり取得しているというから驚かされる。なんともワールドワイドで、高貴なカーライフを送られているご様子だ。

愛車として迎え入れてから、もうすぐ30年が経とうとしている。20万kmも乗っていると色々な不具合も出てくるが、それを不安に思わないくらい多くの仲間ができたという。

「乗り始めた時は、こんなことになるとは思っていなかったんです。今はこうしてユーノスをキッカケに、自分の趣味が世界にまで広がったんです。だから、もうこのままずっと乗り続けたいと思います。自分自身もまだまだ色々なことに挑戦してみたいですから」

そしてまた、ロードスターとRSREFINEさんは、楽しい時を重ねていくのであろう。

(文: 矢田部明子 / 撮影: 西野キヨシ)

※許可を得て取材を行っています
取材場所:三角西港(浦島屋、旧三角簡易裁判所ほか)(熊本県宇城市三角町三角浦)

[GAZOO編集部]

GAZOO愛車広場 出張取材会 in 福井、京都
参加者募集中! 3/31 10:00まで

注目キーワード

#フェアレディZ#クラウン#GR86#水素エンジン#カーボンニュートラル

キーワード一覧へ >>

SNS

GAZOO公式Facebook_sitesearch GAZOO公式Twitter_sitesearch GAZOO公式Instagram_sitesearch GAZOO公式YouTube動画_sitesearch

MORIZO on the Road