乗ってヨシ、眺めてヨシ、街ですれ違ったら超ラッキー! 光岡ビュートとの幸せ過ぎるカーライフ
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光岡・ビュート
車体サイズはコンパクトながら、往年のブリティッシュサルーンのテイストを巧みに取り入れた、独特の風格を備えた光岡ビュート。
このクルマのオーナーである『クバこう』さんが初めてその存在を知ったのは幼少の頃、母親に買ってもらった『ちいさくて べんりな自動車100点』(講談社)という図鑑がきっかけだった。
「当時、実家のクルマはK11型の日産マーチで、私はこのクルマが大好きで、図鑑を買ってもらった理由もマーチの写真が載っていたからでした。ところがある時、ふと隣のページに載っていたビュートの説明文に目が止まりました。変わったクルマだなぁとは思っていたけど、よくよく読むと、“ベースとなったクルマはニッサンマーチ”と書かれてあってビックリ!! 見た目はまるで別物なのに中身はマーチだったなんて、と大きな衝撃を受けました」
ちなみに、当時所有していた図鑑は何百回と見返されたため、ボロボロに破損してしまったそう。この写真のものは後年、改めて古本屋で買い直したものだそうだ。
この出来事をきっかけに、ビュートに興味を持つようになったというクバこうさん。中学、高校生の頃には街角でビュートを見かけると『その日は1日、ラッキーDAY!』と思い込むほどの熱烈なファンに。
“中身はマーチなのに、見た目はマーチっぽくない不思議なクルマ”というかつての印象は、いつしか『オトナになったら絶対に乗りたい!』という憧れへと変化していった。
しかし、ビュートに付けられていたプライスタグに並んだ数字はマーチとは別次元で、社会人一年生が手を出せるものではなかった。そこで、“仕事を頑張って、いつか歳を取った時に”と思考を切り替え、まずは運転に慣れるためにと軽自動車のホンダ・ライフを購入することに。さらに、数年後にはかつて大好きだった自家用車と同型のK11型マーチの中古車を増車するも、年式的な経年劣化の症状が所々に見受けられていた。
「ちょうどその頃、3代目ビュートのベース車になっていたK13型マーチの生産中止の影響を受けて、ビュートが生産中止になるかも? という記事がネットのニュースに出ていました。これはヤバイ! と、すぐに光岡自動車の福岡ショールームに問い合わせたところ、生産中止ではなく“新基準の安全装備を追加するためのマイナーチェンジ”だと聞いてホッとしました。と、同時に“いつかは”と思っていたはずのビュートが猛烈に欲しくなり、無茶を承知でオーダーを入れちゃいました」
それまでも福岡のショールームには3〜4回足を運んでいたことから、店員さんと顔馴染みになり、オリジナルのノベルティを集めるなど、ただその姿を眺めているだけでも幸せだったというクバこうさん。
しかし、遂に27歳にしてビュートの購入を決断。当時自動車業界では半導体不足が深刻な問題となり、納車時期は1年待ちとも言われていたが、10ヵ月ほどでブリティッシュグリーンのビュート(K13型)が無事に納車された。
「ボディカラーはワインレッドと迷ったけど、大泉 洋さんの映画『探偵はBARにいる』のイメージが忘れられず、劇中車と同じブリティッシュグリーンに決めました。内装は標準仕様だとK13型マーチ純正のグレーのモケット地なので、車体との統一感を演出するためにオプション設定のクリーム色のシートカバーを選びました。グリーンのパイピングはボディカラーに合わせたもので、バックレストの肩部分にはビュートのロゴを特別に刺繍してもらえたんですよ」
本当にビュートが好きでたまらないという表情で、愛車の特徴を語るクバこうさん。
あまりの嬉しさから、納車後3年で6万kmを走破。九州内のドライブはもちろん、光岡自動車が主催するオーナーズミーティングにも過去2回、静岡、広島での開催分に参加した他、“里帰り”と称して、富山県にある同社の本工場も訪問している。
「オーナーズミーティングにはビュートのデザイナーである青木孝憲さんも来られていて、エンジンルームにサインも頂きました。これまでは街で見掛けるだけでもラッキーな気分になっていたけど、今は自分の手元にあるので毎日がラッキーDAYです。運転中にビュートとすれ違った時には手を振っています。変に思われるかも知れませんが、光岡車のオーナーさんはこだわりが強いだけでなく皆さんフレンドリーで、大抵の場合振り返してくださりますね。私が知る限り、地元の熊本県八代市では4台のビュートが走っているんですよ」
「そして、地元ではガリューやバディといった光岡のクルマがチラホラ走っています。光岡自動車のSNSのフォロワーや、LINEグループにも入っていて、そこで紹介されているクルマが偶然コンビニに止まっているのを見かけた時などにはUターンして隣に並べて写真を撮らせてもらったりしています」
その溺愛の想いは撮影した写真にも表れているようで、クバこうさんの作品は光岡自動車が行なっているカレンタープロジェクト(※ユーザーから公募した撮影写真を使ったカレンダー制作企画)において、2度に渡って入選。昨年度は惜しくも落選となったが、同社の公式サイトにイメージカットとして用いられるなど、絵的なセンスやアイディアといった点でも手腕を発揮している。
その他、ビュートオーナー同士の交流の場にいると、そこで得られる情報には、維持やメンテナンスにおいて役立つものも多いとのことだ。
「私のクルマの購入先は福岡ショールームですが、車検や整備の度に200km近く離れた福岡まで出向くのは大変だなぁと思っていたところ、地元のビュート乗りの方から『ベースはマーチだから、日産のディーラーでも面倒をみてもらえるよ』という話を聞き、今はその方と同じ、県内の日産ディーラーを利用しています」
「オーナーさんの中にはパーツの追加や変更など、自分流にモディファイされている方もいますが、私はノーマル派。ホイールの本体部分を白に塗るのもイイかも? と思う程度で、ルックス面には何の不満もありません」
不満どころか、購入から4年が過ぎた今でも愛着は日々深まる一方。洗車は月に1回程度で、通勤や普段の移動手段として、特に気を遣うことなく乗り続けているとのことだが、汚れや衣服の色移りが気になるはずのクリーム色のシートカバーはピカピカ。さらにオフ会やイベントなど、ここ一発の決めドコロ用に、ボディカラーと同系色のスニーカーまで揃える徹底ぶりである。
そんなビュートとの蜜月を存分に満喫中のクバこうさんに“もし、この先、乗り換えるとしたら?”という、あえて意地悪な質問をブツけてみた。
「う〜ん、正直、これまで考えたことも無かったけど、強いて候補を挙げるとしたら、最新型の『ビュート ストーリー』(トヨタ・ヤリスがベース)かな? 私のクルマは2021年式で、自動ブレーキのシステムが旧世代の仕様なので、制御がより緻密になった安全性能や、レーダークルーズコントロールなどの機能を備えたビュート ストーリーは正直、魅力的ですね。ただ、お尻がハッチバックという点が残念。私はビュートのクラシカルなセダンフォルムが気に入っているので、まだまだこれからもこのクルマに乗り続けますよ」
ちなみに、光岡自動車のセダンタイプと言えば、リューギが存在するが、その問いに対し、「確かに、風格があって素敵ですが、私はビュートの丸っこいカタチが大好きなんです」と、即答で返ってきた。
それほどまでに、クバこうさんのビュート愛は一途。そんなオーナーと共に過ごせるビュートもまた、幸せ者ということができるのではないだろうか。
(文: 高橋陽介 / 撮影: 西野キヨシ)
※許可を得て取材を行っています
取材場所:三池炭鉱 万田坑(熊本県荒尾市原万田200-2)
[GAZOO編集部]
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