『レガシィ』という響きに恋をして。17年目の愛車との絆

  • GAZOO愛車取材会の会場である島根大学 松江キャンパスで取材したスバル・レガシィツーリングワゴン 2.0i Advantage Line(BP5型)

    スバル・レガシィツーリングワゴン 2.0i Advantage Line(BP5型)


クルマを好きになったキッカケは、幼い頃の楽しかった思い出がはじまりの人もいれば、大人になって出会ったクルマに感化された人もいるだろう。さらには、一言でクルマ好きといっても、スポーツカーが好きな人や、四輪駆動が好きな人、あらゆるジャンルのクルマを体験してみたい人など、その嗜好はまさに星の数ほど存在しているものだ。

「もともとクルマに強い興味があったわけじゃないんです。実家にクルマはありましたし、家族でドライブにも行っていましたが、それを趣味にしようとは思っていませんでした」
そう振り返る『i』さんは、2008年に新車で購入したスバルレガシィツーリングワゴン2.0i Advantage Line(BP5型)に愛情を注ぎ続けている。

「キッカケは、職場の先輩の何気ないひと言でした。就職した時の先輩がクルマ好きで、会話の中で『俺、レガシィ乗ってるんだ』って言っていて、なんだかレガシィって言葉がすごくカッコ良く感じたんです。その時にはレガシィがどんなクルマなのかもわかっていなかったんですが、言葉の響きだけで『私もレガシィに乗りたい』って考えるようになっちゃいました」

スバル・レガシィと言えば、1990年代の2BOXブームに先駆けて、ステーションワゴンを一般に認知させたエポックメイキングな名車。それまではライトバンと呼ばれる商用車の派生と捉えられていた2BOXを、レジャービークルとして広める起爆剤にもなった一台である。
そして、そのコンセプトは進化していき、2世代目のレガシィでは並み居るスポーツカーに匹敵する280psのEJ20型ターボエンジンを搭載するなど、スポーツワゴンの名称を打ち出したことでも知られている。

そんなレガシィの4代目モデルとなるのがBP5型。なかでもiさんが選んだのは、NAエンジンを搭載した特別仕様車“2.0i Advantage Line”だった。

就職したての頃から運転の練習を兼ねてコンパクトなクルマを手に入れて乗っていたこともあり、しばらくはレガシィオーナーになるための貯金に励んでいたというiさん。そして、ようやく購入できそうな預金額に達した頃に登場したのがこの『スバル発売50周年記念』の限定車だったという。

「ディーラーの方に『このクルマは記念車だから、色々なオプションが装備されていてお得だよ』って言われたんです。装備が豪華なところも良かったし、車体色の“ダイヤモンドグレー・メタリック“がカッコよく見えたので、このクルマに決めちゃいました」

2.0i Advantage Lineは、人気量販グレード『2.0i』に上位グレードと同様の豪華装備を加えることで上質さと機能性が高められた特別仕様車。
内装色が2色から選択できたほか、インパネやドアトリムには木目調加飾が施され、MOMO製ステアリングやパドルシフト、運転席にはシートポジションメモリー付きの8ウェイパワーシートが備わり、当時は標準装備ではなかったキーレスアクセス&プッシュスタートなども装備されている。
こういった豪華装備が備わっていることは、それまで乗っていたクルマと比べると大きな違いだったし、今となっては愛車に無くてはならない装備と言えるほど気に入っているという。

さらに、オプションとして用意されていたマッキントッシュ製オーディオも奮発して追加。アメリカンブランドの高品質オーディオで、なおかつ13スピーカーという装備は、これまでに味わったことがない“音に包まれている感覚”を体験させてくれた。
そんな要素とも相まって『憧れのレガシィを手に入れて本当に良かった』と、さらに好きになっていったそうだ。

レガシィと暮らす日々が始まってから、iさんの生活は大きく変わっていった。とくに、オーナー同士のつながりが持てるオフ会の存在が、カーライフをより深く、豊かなものにしてくれたという。

「レガシィに乗りはじめてからは、休日の過ごし方がどんどん変わっていきましたね。当初はドライブとか、ちょっと遠出するような感じだったのですが、次第に同じレガシィオーナーさんのクルマが見たくなって、ミーティングにも参加するようになりました。ここ数年では、月に1回はどこかのミーティングに足を運ぶようになっているんです。同じレガシィでも、オーナーさんそれぞれの個性が出てくるんだなって感動しまくっていますよ」
もともと人見知りだったという性格も、レガシィを通じてさまざまな出会いが増えていったことで、徐々に変化していったという。

「3〜4年前に、一度手放そうかと思った時期もあったんです。でもミーティングで色々な話を聞いたりするうちに、同じようにレガシィが好きな人が沢山いるってわかったら安心しちゃって。レガシィの良いところを再認識させてもらったという意味でも、ミーティングに参加するようになって良かったなと思いますね。別段欲しいクルマもないし、しっかりとメンテナンスして、長く乗り続けようと思えるようになりました」

そんなミーティング会場で得た情報から、ホイールはBRZ純正に交換して純正流用のドレスアップも行っている。以前のホイールは長年使い続けたことで表面がくすんでしまっていたため、何か対策をと考えていたこともあってリフレッシュする絶好の機会となったというわけだ。
ちなみに、いつかはホイールの交換作業を自分でやってみたいと思っていたそうで、これを機に交換を実現できたことがトピックになったほど、クルマに対する興味は依然として高まり続けている様子である。

唯一の社外パーツは柿本レーシング製のマフラー。こちらは純正マフラーがダメになってしまったため、車検にも対応する信頼のメーカーということで選択しているのだとか。
マフラーを変えたことで、愛車がさらにカッコ良くなったと感じているのは、立派なクルマ好きの証と言えるだろう。

ミーティングに通うようになって、工具などをモチーフにオリジナルアクセサリーを製作している人と出会い、クルマにまつわるアイテムを身に着けるようになったという。
今回の取材会では、右耳にチタン製のプラスネジ、左耳にはコンビレンチを模ったピアスがキラリと輝いていた。

ミーティングへの参加で刺激を受けているのはもちろん、やはり普段の生活や旅先での思い出作りはiさんにとっては欠かせない活力なのだそうだ。
今回の取材会では、普段は入ることができない“島根大学キャンパス”ということで、思い出の写真となるであろう、写真撮影も楽しまれていた。

  • (写真提供:ご本人さま)

レガシィに乗りはじめてから、転勤で4回ほど引っ越しをしているため、行く先々でドライブルートを見つけ、四季折々の風景とともに愛車を撮影するのも楽しみのひとつとなっている。

「これまで広島、岡山、鳥取、島根の4都市に引っ越しをしているんです。だからレガシィでその都市周辺の観光スポットを巡るのも楽しみになっています。その中でも、鳥取と島根に引っ越しをしたことで、レガシィの良さをさらに知ることができたんですよ。というのも、この地方は冬に雪が降るので、4WDのレガシィならば臆することなく、どこへでも行けちゃうんですよね。季節関係なしに観光スポットを巡れるので、楽しみも増えました」

「キッカケは“レガシィ”って名前の響きからですが、17年乗り続けてもすべてがカッコ良いって思えるのは予想外でした。デザインの良さはもちろんですが、乗っていても飽きないですし、運転席に座ってハンドルに六連星が目に入ると『やっぱりレガシィっていいな〜』って思えるんですよね。こんなにもハマるとは思っていなかったし、クルマが趣味と言えるようになるなんて考えてもみなかったので、自分でも驚いちゃいます!」

レガシィと出会ったことで、クルマに対する思い入れが大きく変化したというiさん。
「少しでも長く乗り続けられるように、自分でできることはどんどんチャレンジしていきたいです」と語るようになり、自分でタイヤ交換をするまでになったのは、やはりレガシィに対する愛情の深さがあってこそ。
そんな愛情をたっぷり注いでいるレガシィだからこそ、これからもiさんにさらなる楽しみをもたらしてくれることは間違いないだろう。

(文: 渡辺大輔 / 撮影: 稲田浩章)

※許可を得て取材を行っています
取材場所:島根大学 松江キャンパス(島根県松江市西川津町1060)

[GAZOO編集部]