愛犬との旅行を楽しむためにセレクトした、キャンピングカー仕様の200系ハイエース
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トヨタ・ハイエース(TRH214W改型)
ハイエースは日本を代表する商用車の一台だ。ハイエースがトヨタのラインアップに加わったのは1967年。商用車ということもあって、モデルチェンジのサイクルは長く、現行のハイエースでまだ5代目と、モデルライフが長いのが特徴でもある。
ちなみにハイエースの現行型、200系は2004年のデビューだったので、すでに20年超。4代目も15年とロングランモデルであった。
“荷を積む”という商用車であることがハイエースの核となっているのは間違いないが、商用車に特化したものではなく、総じて乗用車的な乗り心地や快適性、それに加えて見栄えを有するというキャラクターも、200系ハイエースの人気と言えよう。故に、乗用車的要素が強まった200系は、レジャーユース層からの人気も高いのである。
そんなハイエース(TRH214W改型)のキャンピングカーを5年前に手に入れて、旅を楽しんでいるというのが『小次郎のパパ』さんだ。「小次郎と一緒に旅行に行きたくて、このハイエースを手に入れたんです」
小次郎というのは、小次郎のパパさんの愛犬のお名前。以前から可愛いと思っていた白と黒のフレンチブルドッグを、2012年にブリーダーさんから譲ってもらったそう。愛犬の小次郎ちゃんは生まれて2ヵ月の時に小次郎のパパさんの下に来たそうで、今年の秋には13歳の誕生日を迎えるという。
そんな小次郎ちゃんは「人間でいえば60歳台半ばの老犬なので…」と、真夏日の予報が出ていた取材日は、体調を崩すことのないように家で留守番しているとのこと。
そんなこともあって、取材時は「小次郎に結構似ている」という、フレンチブルドックを模したティッシュケースを代打として抱っこしていただき、2ショットを撮らせて頂いた(笑)。
そんな老犬の小次郎ちゃんを連れて旅行したいとなれば、小次郎ちゃんに負担が掛からない快適な移動環境が必須と考え、ハイエースをベースとしたキャンピングカーを購入することにしたという。
2010年の半ば頃から、急速に盛り上がったアウトドアブーム。そしてその定着によって、キャンピングカーの需要も高まり、そのベース車として広大なキャビンスペースを有する200系ハイエースは定番となった。多くのキャンピングカービルダーは、ハイエースをキャンピングカー仕様に仕立てた状態で販売する運びとなり『キャンピングカーでのんびりと日本を旅したい』というユーザーの望みを叶えてくれた。
小次郎のパパさんも、まさにそんな中の一人というわけだ。
手に入れたキャンピングカーは、徳島県のキャンピングカーメーカーであるアネックスが手掛ける、ハイエースワゴンGLがベースの『リコルソ』というモデル。
「ハイエースがベースのキャンピングカーをいろいろ調べて、アネックスを見つけたんです。同じ県内で、しかも近所にあるというのも気に入って、リコルソを選んだんですよ」
メーカーのウェブサイトを見ると『二人旅指向のツインベッドレイアウト』と銘打ったモデルとなる。今時のキャンピングカーに必須となるシンクや冷蔵庫、夜間は大人二人がゆったりと就寝できるベッドにもなるダイネット(※椅子とテーブルのあるスペース)が設置され、天井や壁もそれに合わせて専用の内張りに張り替えられた本格的な造り。また、冷蔵庫などの電気製品を可動させる大型バッテリーなども装備されているのだ。
小次郎ちゃんを連れて、奥様と二人で旅行したいという小次郎のパパさんにぴったりの仕様だったのである。
「実際に乗ってみても特に不満はなくて、購入後もほとんど手を加えていません。普段はダイネット部分からテーブルを降ろして、ベッド用のマットを常時広げて使っているという感じですね」
ベッドスペースは就寝スペースとして使うのはもちろんだが、出先で小次郎ちゃんと戯れる(笑)大切な場所でもある。しかし、フレンチブルドッグは短毛ではあるが、もちろん抜け毛もある。よって、ベッドの上に敷かれたマットを中心に、室内は小次郎ちゃんの毛がアチコチに付着するそう。
車内に装備されている掃除道具の“コロコロ”で、マットの上を掃除しながら、小次郎のパパさんが説明してくれた。「ベッドの他だと、小次郎用の居場所も作っていますね」
小次郎ちゃんの居場所として作った台は、運転席の背面に据え付けられているシンクの横に設置するもの。運転席とリヤスペースの間には、シンクから繋がるバーカウンターが設置されていて、ベッドスペースにいる小次郎ちゃんの目線からだと、運転する小次郎のパパさんや奥様が見えず、寂しい思いをさせてしまう。そこで、ベッドよりも高い位置で小次郎ちゃんが座れる台を作ったそうだ。
「この台があっても、シンクの下の冷蔵庫の扉が開くように、寸法とか測って作ったんですよ」と、小次郎のパパさんがおっしゃる通り、なかなかの力作となる。
しかし、この台に小次郎ちゃんを乗せても「僕と嫁さんが前の席に並んで座っているもんだから、小次郎が我々の間に来たがるんですよ」と、甘えん坊の小次郎ちゃんは満足しなかったようだ(笑)。
「小次郎が来たがるのは、僕らの横なんで、結局、前席の真ん中に小次郎が座れる椅子を、作ってあげたんです」
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(写真提供:ご本人さま)
ちなみに、この運転席と助手席の間のセンターコンソールの上に設置できるように作ったという小次郎ちゃん用の椅子(台)は、撮影日に小次郎ちゃんを連れてこられず、残念ながら降ろしてきてしまったとのことだったので、取材後に写真をお送りいただいたのだが、その写真には、小次郎のパパさんが作った台の上でくつろぐ小次郎ちゃんの姿が。
とても居心地が良さそうな表情である。
そんなハイエースのキャンピングカーで、これまでにどこを旅行したのかを伺ったところ、ハイエースに乗り始めた頃は、愛知県に住んでいた息子さんのところによく行っておられたとのこと。
愛知県までの道中や、息子さん宅付近で車中泊をされていたのかと聞くと「宿泊は息子の家でした」というお答えが。キャンピングカー=車中泊という凝り固まった考え方で質問してしまったが、小次郎のパパさんは車中泊ありきでキャンピングカーに乗られているのではないようだ。
さらに言えば行き先が大自然の中など、キャンプ好きが好みそうな場所に限定しているワケでもない。むしろ、逆に都市部が目的地だったりもしているのが面白い。遠方に出向いたエピソードを伺うと「福井と横浜ですかね」というお答えが返ってきた。
福井と横浜へ行った経緯を伺うと「嫁さんがコンサート? ライブ? に行くので、そのお供で行ったんですよ(笑)」という、一般的なキャンピングカーの使い方のイメージとはちょっと違ったお答えが返ってきた。
奥様の推しが男性アイドルグループだそうで、その福井と横浜のライブに同行。とは言っても、ライブを一緒に鑑賞されたわけではなく…。
「嫁さんがライブを観ている時は、小次郎と二人で、ハイエースの中でのんびりしていましたね。福井の方は2DAYS公演で、2日ともチケットが取れたようで、私は2日ともライブ中は同じように過ごしていましたよ(笑)」
愛犬小次郎ちゃんと旅行するという、本来の目的を考えれば、とても的を得た使い方なのであろう。というのも、ペットと長年生活している人であればお分かりだと思うが、愛するペットのことを考えると、旅行などへはなかなか行けないものなのだ。
ペットホテルなどに預けるにしても、普段とはまったく異なる環境で過ごすことは大きなストレスになる可能性がある。かといって、一緒に連れていくにしても、ペット同伴で宿泊できる施設はまだまだ少ない。そういった要素を踏まえると、ライブ鑑賞のように日時と目的地が決められたケースでは、その旅行計画を立てるにも難儀するはずである。
恐らく小次郎のパパさんご夫婦は、それらのハードルをすべて解決してくれる手段として、キャンピングカーを選ばれたのであろう。出向いた先に小次郎ちゃんと泊まることができる宿泊施設が無ければ、ハイエースの中に泊まればいいのである。
ご自宅と同じ環境とは言えないが、小次郎ちゃんにとっては居心地の良い慣れた空間なのは間違いない。小次郎ちゃんはもちろん、小次郎のパパさんご夫婦にとっても、キャンピングカー仕様のハイエースがあれば、計画段階からストレスフリーの旅行が可能となる図式だ。
「近場だと淡路島によく行きますね。今後は近い内に北海道旅行にも行きたいですね」と語る小次郎のパパさん。
北海道はキャンピングカー旅の醍醐味を存分に味わえる場所。奥様と小次郎ちゃんと共にハイエースのキャンピングカーに乗って北海道を満喫する日も近そうだ。
(文: 坪内英樹 / 撮影: 西野キヨシ)
※許可を得て取材を行っています
取材場所:徳島中央公園 (徳島県徳島市徳島町城内1-番外)
[GAZOO編集部]
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