『RX-8』と共に走り、SNSをフル活用しながら自分らしさを追求する

  • GAZOO愛車取材会の会場である『米子駅前だんだん広場』で取材したマツダ・RX-8 タイプS(SE3P型)

    マツダ・RX-8 タイプS(SE3P型)


現代のカーライフにおいて、SNSの活用は様々な広がりをもたらしてくれる。例えば気になるクルマの情報は、実際のオーナーの声をダイレクトに聞くことができ、さらに同じ志向の人がいればカスタマイズの情報も共有できる。クルマというひとつのコンテンツだけでも、昭和から平成初期の時代では考えられなかった情報量を手にすることができるのだ。
そんなSNSでの繋がりを活用して、愛車を理想形に近づけているのは、2008年式マツダRX-8タイプS(SE3P型)に乗る 『Mirei』さんだ。

2000年を境にした排ガス規制によって、消滅の危機に瀕していたロータリーエンジンを徹底的に見直し、名車と呼ばれるRX-7に代わるモデルとして満を持して投入されたスポーツクーペ、RX-8。

そんなRX-8を、Mireiさんが手に入れたのは3年半ほど前のこと。それまでロータリーエンジンには興味がなかったというが、友人が乗るRX-8に乗せてもらったことで、その価値観は一変。翌日から探し始めることとなった。
「このRX-8を購入する時、本当はシルビアを探していたんです。だからRX-8はおろかRX-7すら眼中にはありませんでした。しかし、友人が所有しているRX-8に乗せてもらったところ、軽く吹け上がるエンジンや、独特の高周波サウンドにヤラレちゃいまして。その瞬間からRX-8が欲しくなっちゃったんです」

Mireiさんを虜にしたのは、RENESISと名付けられた新世代ロータリーエンジンの13B-MSP。RX-7に搭載されていたそれまでのエンジンとは異なり、排ガス規制をクリアしつつ省燃費性能を高めているのがポイントとなる。とはいっても、ターボチャージャーを廃止したことで最高出力は上位グレードのタイプSでも250psに留められている。また、Mireiさんが乗る後期モデルはさらに出力が絞られてしまい、カタログ表記では235psとなっているのだ。

スポーツクーペでありながら、観音開きの4ドアという異色の構造は、まだ2ドアクーペのスポーツカーが豊富だった時代にはあまり評価されることはなかった。しかし、その使い勝手は改めてみると秀逸。特にこのクルマでドリフトを楽しんでいるというMireiさんにとっては、開口部が広いことでタイヤの積みやすさも抜群なのだという。
ちなみに、使い勝手を優先して乗車定員を2名に変更しているため、無理なく4本のタイヤを積み込めるのもメリットになっているそうだ。

「事前にインターネットなどで調べた情報では、RX-8ってすごく燃費が悪いって言われていたんです。でも実際に乗ってみるとそうでもなく、群馬をはじめ、いろいろなサーキットに足を伸ばしていますが、平均して12km/Lくらいは走ってくれます。この燃費ならば、スポーツカーとして考えたら優秀な方ではないでしょうか」

エンジンのフィーリングや使い勝手の良さとともに、MireiさんがRX-8に愛着を深めているのがスタイリング。特に後付けしたフェンダーミラーは絶対の装備と考えているのだ。

「このミラーは以前雑誌で見かけたRX-8に装着されていたものを参考にしました。目にした時に凄くカッコ良く見えて、その後にそのオーナーさんとSNSで繋がることができたので、使っている製品を聞き、買い求めて装着しました。イメージは昭和の街道レーサー。やっぱりRX-8はこのスタイルが自分にとっての理想だったので、満足感は一気に高まりましたね」

フェンダーミラーの装着とともに、Mireiさんが手を加えているのが、前期モデルへのフェイスリフト。ちなみに、ヘッドライトやバンパーなどを前期仕様に変更しているのは、後期用のエアロパーツなどが極端に少ないから。前期フェイスにすることで、その選択肢は格段に広がるとのこと。前期型と後期型をミックスしたスタイリングも、このクルマのアイデンティティというわけだ。

フロントフェイスは前期型に変更しつつ、フェンダーダクト部分にはND型ロードスターの純正サイドマーカーを左右入れ替えてセット。ダクトの幅にぴったりと収まり、スタイリングに影響を及ぼすことなく被視認性を高めることができるという。
また、レーシーなスタイルを演出するためのシングルワイパー化に関しても拭き取り面積を考慮してワイパーブレードのサイズをチョイスするなど、カーショップ『ハートアップワールド米子店』に勤務している知識やスキルを活かして完全合法なカスタマイズを心掛けているそうだ。

購入から3年半で走行距離は当初の4万kmから11万kmまで伸びている。そのほとんどがサーキット遠征や、イベント、ミーティングといった集まりへの参加が目的だそうで、SNSを通じて出会った仲間達との時間を過ごすために全国各地へと足を運んでいるのだ。

「知り合うきっかけがSNSだから、仲間が全国に広がっているんです。だから、そんな仲間と遊ぶため、次はどこどこのイベントに参加しようとか、〇〇サーキットに集合みたいに、中間点で落ち合うことも多くなって。米子から関東方面へ行くときは、だいたい長野の実家で1泊していくので、帰省を兼ねていると考えれば仲間ができたことで親孝行もできているのかな(笑)」

「燃費の悪さだけでなく、壊れやすいとも言われているRX-8ですが、7万km走行した現在も大きなトラブルに見舞われたことはありません。とにかく購入時はコンディションを優先していたため、アタリを引けたのかもしれませんが、エンジンもミッションも今のところ問題はありませんね。ただ、走行距離的にそろそろリフレッシュしたいかなって思いはじめています。車検も間近になってきたので、この辺でサーキット専用車にすることも考えています」

イメージは昭和街道レーサーながら、インテリアはティファニーブルーをイメージしたアクセントカラーに、カワイイ系でコーディネイト。これは、カーショーなどのイベントに出展する際、ギャップを効かせることで注目度を高めるという狙いだ。
ちなみに、ブラックは本当なら避けたかったボディカラーなのだとか。しかし、走行距離やコンディションを重視した結果、この車体が最も買いだったのだという。

運転席はバケットシートに交換しているが、助手席は純正のレザーシートをそのまま使用する。というのも、ピラーレスでリヤドアが開くものの、シートが簡単に倒れてくれないとタイヤを効率的に積み込むことが難しい。そのため、レバーひとつでリクライニングできる純正シートは必須の装備だったのである。

「20歳でこのRX-8を購入して、これまで不満は一切ありませんでした。でもまだまだ色々なクルマを経験したいとも思っていて、最近はセダンとかオープンカーにも興味が湧いてきているんです。そんなクルマのオーナーさんたちともSNSで繋がって、いろいろな情報を収集している最中ですね。でも、最後はこのRX-8のように自分で体験してみることが大事。人伝の情報はあくまでも参考であって、自分が買う次のクルマは数々のクルマに実際に乗ってみてから、ベストなクルマを選ぼうと思っています」

コミニュケーションツールであるSNSは、ひと昔前では考えられなかったほど、人との繋がりを広げることができる。そのお陰でクルマ仲間が全国にできるのは大きなメリットといえるだろう。反面、確証のない情報が蔓延しているという危うさも伴う。だからこそ、その信憑性を確かめることは必要なスキルとなってきている。

Mireiさん自身もRX-8購入時の経験を生かし、次なる愛車探しはネット上の情報から精査しつつ、さらに自ら体験することを心掛けているという。そうして、様々なジャンルのクルマへと視野が広がり、今までとは違う新たな扉を開いてくれることだろう。これもまた、SNS時代のメリットであることは間違いないのだ。

(文: 渡辺大輔 / 撮影: 平野 陽)

※許可を得て取材を行っています
取材場所:米子駅前だんだん広場(鳥取県米子市弥生町2-20)

[GAZOO編集部]