【素敵なカーライフレシピ #5】「わたしらしくいるために」欠かせない嫁入り道具として受け継いだジムニーと家族の愛

クルマのある暮らしはオーナーの味付け次第。ひとりひとりの人生を豊かにするレシピは十人十色です。どんな調理法でクルマとの生活を楽しんでいるのかをご紹介するコーナー。

今回ご紹介する猪瀬奈保子さんは、主婦業と母親業の傍ら、アクセサリー作家としても活動するアクティブママ。“嫁入り道具”として父の愛車スズキジムニー(1994年製 JA11型)を受け継いだ彼女のカーライフは、家族と共に積み重ねたたくさんの経験と思い出がベースとなり、素敵な出会いの輪が広がっています。

存在感たっぷりの愛車ジムニーに愛娘のけいちゃんを乗せ、颯爽と現れた猪瀬さん。赤いメッシュヘアにジャケット代わりに着たレースの羽織が、個性的な猪瀬さんにとてもよく似合います。

4歳のお子さんがいるようには見えない若々しい彼女ですが、このジムニーの他にアルファロメオ スパイダーⅢ、レガシィB4、そしてヤマハのバイク250㏄も所有し、お子さんとの触れ合いやリフレッシュを兼ねて、カーライフを楽しんでいるというツワモノです。

そもそもダートトライアルが縁で知り合ったという両親の元に生まれ、物心ついたときにはクルマとバイクがおもちゃ代わり。遠出のドライブはもちろん、ジェットコースター並みのラフロードもへっちゃらだったという猪瀬さんが、免許を取得したのは20歳のとき。

「学生時代は柔道に明け暮れ、クルマデビューは少し遅咲き。20歳で一気に中型二輪、大型二輪、普通自動車免許を取得して、2輪・4輪共に楽しみました。レーシングドライバーの井原慶子さんがトレーナーを務める“Mazda Women in Motorsport Project”に参加して、サーキットでのレース体験ができたのも今ではいい思い出です」

その後、結婚してけいちゃんが誕生し、現在は趣味の範囲でクルマとバイクライフを楽しんでいます。同じ大学出身のご主人との出会いも、実は二人とも父から譲り受けた「ヤマハFJ1200」に乗っていたことがきっかけ。

  • ジムニーの初代オーナーであるお父さん。父から娘へと受け継がれた愛車は、今でも家族を結びつける大切な宝物。カメラマンから少し離れた位置には、この2ショットを撮影するお母さんの姿が

「小さいころから慣れ親しんだジムニーには、とても思い入れがあって。結婚するのを機に、思いきって父に譲って欲しいと切り出しました。そしたら、二つ返事でOK。後日理由を聞いたら、もともと頑丈なうえ、足まわりを強靭にカスタムしたこのクルマなら、どんな悪路でも乗り越えて、家族の元に帰ることができる!と考えていたみたいで。本当にありがたかったです」
こうして“嫁入り道具”となったジムニーは、今も家族と休日を楽しむためのツールとして欠かせない宝物。アウトドアを楽しむときや天候が悪い日などは、迷うことなくジムニーに乗り込みます。

「実際に大雨による洪水や雪の坂道で何度助けられたことか。そのたびに父や母の顔が頭をよぎり、感謝の気持ちでいっぱいになります。思い返せば、ジムニーを運転しているときのわたしは、素の自分。わたしがわたしらしくいられるのは、このクルマがあるお陰だと思うんです。走行距離は15万キロオーバー。さすがに塗装もはげ、室内もいろいろガタがきていますが、あえて父が仕上げたままにしています」

「娘はジムニーに乗ると楽しいことがあると思っているみたいなんですよね。そんな娘の気持ちを知ってか、メンテナンスは車関係の仕事に就いている主人が担当し、安心して走行できる状態をキープしています。わたしの担当は車検を通すことです!」

主婦として、母親として日々忙しく過ごす猪瀬さんですが、5年ほど前からアクセサリー作家としての活動をスタートさせました。コンセプトは「古い物を大切にし、喜んでくれる誰かへ」。実はこの日身に着けていたアクセサリーも自身の作品。

「nao×industrial parts」というブランドは、クルマやバイクのパーツを取り入れてデザインした個性的なラインナップ。
また「nao ×vintage remake」はヴィンテージアクセサリーをリメイクしたエレガントなデザインが中心。
マルシェやイベントなどで販売するほか、ワークショップも開催しています。最近では栃木市内にあるオリジナルウエアやアクセサリーを扱う「BPLJ」というショップでも販売が開始され、新たな可能性が広がったといいます。

ナットやチェーン、メインジェットなどの工業部品を使った、インパクト大のデザインが人気。「BPLJ」(https://bpljbplj.com)にて販売中

「BPLJさんとの出会いは、わたしがアルファロメオ スパイダーⅢに乗った画像を、インスタグラムにポストしたのがきっかけなんです。ふらっと遊びに行ったら、オーナーが見てくださったようで、声をかけてくれたんです。後日お店の雰囲気に合うサンプルを制作して持参したら気に入っていただき、販売していただけることになりました」
「今こうして考えてみると、家族の絆、夫との出会い、BPLJさんとの縁、そしてママ友との輪など、いろいろ結び付けてくれたのはすべてクルマのお陰。これからも運転だけでなく、クルマと過ごす時間も楽しみ、大切にしていきたいと思っています」

そう話す彼女を、傍らで見上げる愛娘のけいちゃんに「おうちのクルマで一番好きなのはどれ?」と聞いてみたら、「ジムニー!! だってガタガタ道もジェットコースターみたいに、びゅーんて走れるから」と即答。

助手席に設置されたチャイルドシートに自ら乗り込むけいちゃんの姿を見て、祖父母、そして両親から確実にクルマ愛が継承されていることが確信できます。

実はこのインタビューの後、近くにある祖父のお墓参りを予定していた猪瀬さん。聞けば、亡くなられた祖父はかつていすゞのテストドライバーを経験。
「そう言われてみれば、一族全員クルマにかかわっています。これはもう、生まれついてのものなんですね」

そんな話を伺っていたら、「お墓参りの通り道だから」とご家族の皆さんがインタビュー風景を見学に。元愛車の勇姿を遠くから眺めるお父さんとご家族に、「娘さんと一緒に写真を撮りませんか?」とお誘いしたら、撮れたのは最高に優しさに溢れたこちらのショット。

  • 右から、父、祖母、叔母、奈保子さん、娘、母、妹

「将来娘が素敵な大人に成長したら、父がわたしにしてくれたように、わたしも娘にジムニーを贈りたいと思います」と奈保子さん。そんな日がくるまで、たくさんの愛と優しさを原動力に、走れ、ジムニー!!

(取材・文: 土屋みき子(officetama,Inc.) / 写真: 村上悦子)

[ガズー編集部]

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