【素敵なカーライフレシピ #15】食わず嫌いはクルマにもある。乗ってはじめてわかる生涯の相棒
クルマのある暮らしはオーナーの味付け次第。ひとりひとりの人生を豊かにするレシピは十人十色です。どんな調理法でクルマとの生活を楽しんでいるのかを紹介するコーナー。
第15回目は日産・キャラバン(E25)に乗っている額賀由里子さん。このキャラバンは額賀さんの趣味のひとつ、サーフィンをするために海に行くとき用として活躍しています。
キャラバンのラゲッジルームを覗くと、すっかりサーフィン仕様にレイアウトされています。ホームセンターでイレクターパイプを購入して、DIYで制作したサーフボードを乗せる棚が設置されています。
棚の下には着替えや荷物を収納。クルマの右半分が荷物置き場、左半分が着替えスペースと別れています。そのほか簡易シャワーや小物類なども指定の場所が用意されています。
当初キャラバンは旦那様の仕事用として購入したとのことですが、とある日、額賀さんがサーフィンに行くときにたまたま乗ったら、キャラバンが海との相性が良いことに気がついたそうです。
「これまで1度もキャラバンに乗ろうと思ったことがなかったのですが、たまたまサーフィンをしに海に行ったときにキャラバンに乗って出かけたら、その便利さに感激しました。荷物はいくらでも詰めるし、車内で立ったまま着替えもできるんです」
「さらに新発見だったことは、見晴らしがよくて走っていて爽快なところです。それに意外とコーナーも安定していて、狭いところもぐいぐい行けるし、車体が真っすぐだから駐車もしやすいんです。これまでこの手のタイプのクルマは、自分で買おうと思わなかったので本当に思わぬ出会いでした。いまではもう手放せません。無くなったら困ります(笑)」
キャラバンに乗れば乗るほど、その使い勝手の良さとキャラバン特有の運転の楽しさに魅了されて、いまではサーフィン、そして海に行くときの最高の相棒という位置づけに昇格。
そんな新しいタイプのクルマと出会って、キャラバンとの日々を楽しんでいる額賀さんが、クルマを好きになったのは物心ついたころから。これがきっかけだったという自覚はなく、クルマ好きの父親の影響でごく自然にクルマが好きになる環境で育ちました。
額賀さんのお父さんは単なるクルマ好きではなく、3度の飯よりもクルマが好きというくらいの大のクルマ好き。軽トラックからセダン、スポーツカー、スーパーカーまで、国産車、輸入車問わず、数々のクルマを乗りこなし、助手席には娘である額賀さんを乗せることがお決まりになっていました。
「本当にいろんなクルマの助手席に乗りました(笑) わたしの最初のマイカーも父親が率先して選んだアルファロメオ145。よく故障したという思い出はさておき(笑)、クラッチのつなぎ方などクセのあるクルマだったけど、運転はとても楽しかったです。それにいいサウンドも気に入っていました。父親の好みもすっかり受け継いでいて、クセのあるクルマは嫌いじゃないんですよね」
額賀さんは小学校のころからお父さんに連れられてカートに乗る機会があり、さらに高校生のときに、お父さんの事業のひとつである『イタコモータースポーツパーク』が完成してからはカートのレースにも参戦。
免許を取得してからは、お父さんに誘われて4輪レースにも参戦するなど、少し他の女性とは異なる、濃い目のクルマ人生を歩んできました。
アルファロメオ145の次に乗ったクルマは、祖父が乗らなくなったBMW320を譲り受けてしばらく愛車にし、はじめて自分で購入したクルマがMINIクラブマン。ショールームで発売されたばかりのクラブマンを見かけて、そのかわいらしく凛々しい佇まいに一目ぼれしたそうです。
「マニュアル車をリクエストしたら受注生産で、数カ月待って手に入れました。ちょうどサーフィンをはじめたのもこのころからです」
スノボ、ゴルフ、愛犬(ぷー子ちゃん/トイ・プードル)とのドライブに、サーフィンという趣味も加わり、さまざまな場所へMINIと出かけました。片道300㎞先にある目的地でも額賀さんにとっては日帰りの距離。たとえば茨城から東京は、隣町に行く感覚でかろやかに往復しています。
そしてMINIが走行距離9万キロに達したころに乗り換えたのが、BMW320d。
「選んだ理由はディーゼルに乗ってみたかったのと、サーフィンにも行きやすいかな?という理由からだったのですが、現在は遠出用になっています。いまはキャラバンの稼働率が高いですね(笑)」
額賀さんの仕事はカート場の運営。カート場の朝はとても早く、レースが開催されるときは6時には到着して準備を始めます。普段の日も7時半にはゲートオープン。
カート場に到着して最初に取り掛かる毎朝の日課ともいえる仕事は、サーキットの掃除。とくに春は山桜の花びらがカート場を埋め尽くすので、エンジンブロワーを用いて花びらの除去からスタート。カート場の敷地の掃除を終えたら来場者を迎えるための受付準備。日中はレンタルカートの整備に、来場者の対応、すきま時間で事務作業をこなすなど仕事は山積み。
手慣れた様子で仕事をこなす額賀さんですが、傍目から見てもかなりの重労働。でも仕事が終わりキャラバンに乗り込むと、たとえ海へ行けない日であっても、仕事モードがOFFになり、ほっと一息つける空間でもあるようです。
「わたしにとってクルマは2つの役割があって、1つは走りを楽しむこと、もう1つはわたしの暮らしを支えてくれること。クルマによってその役割の配分は変わりますが、両方が味わえるクルマが好きです。ずっとクルマがある生活が当たり前のように続いているので、クルマに乗らない自分は想像できないですね。クルマに乗らない日は、体調を崩して家から出ない日です(笑)」
海外旅行に行ったときも必ず現地でレンタカーを借りて走るそうです。
「たぶん電車やバスを待ってられないんだと思います。アメリカもイタリアもレンタカーで走りました。それに知らない道を走るのが好きなんです。これは日本でも同じなのですが、知らない道をクルマで走って、知らない街の風景を見るのがとても好きですね」
ふだんから常に「次は何に乗ろう」と考えているという額賀さん。いまのクルマたちには満足しているけれど、勝手に頭の中で、次の愛車候補をあれこれ考えているのがクセになっているそう。
「キャラバンのおかげで、ワンボックスの魅力を知ったので、次は雪道も気軽に行けるようにハイエースの四駆もありかなと思っています。スノボも趣味なので、わたしのライフスタイルを考えると、これこそ無敵なクルマになるんじゃないかと家族で話をしています。わたしのこれから先の人生には、必ず1台はワンボックスカーが側にある生活になるんじゃないかなと思っています」
撮影協力:イタコモータースポーツパーク
https://itako-msp.co.jp/
(取材・文/鈴木珠美(officetama,Inc.) 写真/村上悦子)
[ガズー編集部]
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