【素敵なカーライフレシピ #21】クルマ+MTBの「14輪生活」が与えてくれる豊かなる刺激
空前ともいえるアウトドアブームの背景もあって、熱い盛り上がりを見せているのが大自然と一体化できる、マウンテンバイク(以下:MTB)です。
今回ご登場いただく中田里砂さんは、ご主人の淳一郎さんとともにMTBを楽しんでいます。フルタイムでお仕事を持っている忙しい毎日ですが、隙間時間を見つけては自然の中へと繰り出しています。
淳一郎さんとは、MTBを通じて出会った仲です。生活を共にするパートナーだけでなく、趣味の部分でも共に体験を分かち合う。そんなお二人からは満たされたオーラが伝わってきます。
淳一郎さんのMTB歴は約20年。これまで乗り継いできたMTBの変遷をたずねると「これまで何台乗ったのか、正確には覚えてないですね(笑)」というほどのベテランです。
経験値も高いので楽しみかたもアクティブです。夏にルーティンで出掛けているのは山梨県・ふじてんリゾートや、長野県・富士見パノラマリゾート。これらはスキー場のオフシーズンを活用した「マウンテンバイクパーク」で、ゴンドラでMTBを頂上まで運び、特設のMTBコースを駆け下り遊んでいます。冬のシーズンは里山へ出向き、気ままなトレイルライドを楽しんでいます。
かたや奥様の里砂さんはそこまでハードコアではなく、景観を堪能しながら走るリフレッシュ派。ゆるやかに林を駆け抜け、疲れたら休む。そしてまごうことなき美味しさの「フィールドで淹れるコーヒー」。至福の一杯を堪能しています。
ご夫婦のMTB旅は国内にとどまりません。聖地といわれるカナダ・ウィスラーにもふたりで訪れました。ご自身のMTBとともに走る聖地はまた格別で、憧れのプロライダーとも出会えたり非日常のたまらない時間を過ごすことができました。早く自由に旅のできる環境に戻ってほしいと切に願っています。
広さもそうですが、気に入っているポイントはフローリング調のフロア。残念ながらこの世代を最後に無くなってしまった装備ですが、カーペットフロアと違って細かい泥汚れが繊維の中に入りこまず、ウエスひと拭きでキレイになる合理性が気に入っています。
でもじつは、淳一郎さんはこれまでミニバンは食わず嫌いでした。以前の愛車はアウディTT。車内に積むためにMTBを分解するというひと手間が必要でした。
ゴルフに乗っていた頃はルーフに乗せたり、リヤハッチに積んだりとあれこれ工夫していましたが「毎回の積み下ろしが面倒なのと、屋根に積むといくらしっかり固定していても高速道路で走る際などどうしても心配が尽きないんです」ということでたどり着いたのがステップワゴンでした。
実際使ってみると、へとへとになって家にたどり着いてからMTBを降ろすという苦行から解放されるメリットをしっかりと享受できました。
もう1台、マツダ・ロードスターも所有する中田夫妻。スポーツドライビングも大好きで、走行会やドライビングレッスンに通ってスキル向上に取り組んでいます。そのシビアな目線からもステップワゴンの低重心の走りは、道中がとても安心できると高評価です。
「ウィークデーにめいっぱい働いて、週末に自分を解放する。といったら聞こえはいいですが、実態は、平日は夜型の生活で、週末は遠出するためかなりの早起き。生活リズムの違いもあって、めいっぱいバイクで走った帰り道は完全に電池切れです(笑)」
そんなときはけっして無理をせず、すみやかに里砂さんに運転を交替してらう淳一郎さん。寝袋も常備している安心感もあり、帰路のサービスエリアで思い切り寝落ちして気づけば数時間経過してしまったこともしばしば。それだけ安心できる存在がステップワゴンなのです。
フロントグリルはボディと同色の純正アクセサリーに交換。ホイールもエンケイPF01のブラックを履き、メッキやシルバーの部分を減らしてモノトーンを強調しています。「道具感」がいっそう高まるさりげないカスタマイズは、中田さん夫妻のライフスタイルのあらわれです。
いま、ご夫婦が乗っているのはお揃いの「ロッキーマウンテン・アルティチュードC50」というカナダ製MTBです。最新の2021年モデルに試乗して、その素晴らしさに惚れ込み購入しました。ホイール径は、淳一郎さんは29インチ、里砂さんは27.5インチと体格に合わせています。MTBの世界もクルマと同様に大径化がひとつのトレンドです。
毎年のように新技術・新設計のメカが投入されるバイクの世界。ゆえにハードとしての進化のスピードはとても速く「5年くらい前のモデルに乗ると、あまりの走りの違いに驚きますよ」とは淳一郎さん。
わかりやすい進化は、手元のレバー操作により油圧でサドル(椅子)を上下させることができる「ドロッパーシートポスト」が挙げられます。
登り坂ではサドル位置が高いほうが安定してペダルを漕ぐことができ、下り坂では身体の動きの邪魔にならないようサドル位置は低いほうが適している、というのがMTBならではの特性です。
「ドロッパーシートポスト」なら走りながらサドルの高さを変えられるので、路面変化に合わせた走りに瞬時に可変できるのです。
さらにMTB業界が大きく舵を切っている最大のトレンドが電動アシスト化です。それはe MTBと呼ばれています。7年ほど前より誕生したe MTBですが新興メーカーも多数参入、競争も激アツなようです。
中田夫妻がお世話になっているバイクショップ、小川輪業商会(http://ogawaringyo.com/)の小川康浩さんは、最新e MTBに精通した第一人者です。コロナ以前は毎年のように渡米し、最先端テクノロジーに触れその情報を一早く日本のユーザーに伝えるパイプ役でもあります。
「e MTBは身体への負担を大きく減らすことができます。もうひとつ先の山を目指してみよう、という気にさせてくれます。脚力を含めたパワーに差があったとしても登りならプロライダーと併走できるという、夢のような体験もできますよ。実際、孫と一緒に仲良く走りたいおじいちゃんが、e MTBを選ぶケースもあります。モーターアシストが体力の差を埋めてくれるんですね」(小川さん)
この日、持ち込まれた「スペシャライズド・ターボ リーヴォSL」は、「SL=Super Light(スーパーライト)」の名の通り、モーター+バッテリーを内製化することで業界最軽量を達成したe MTBです。その軽さには、中田さん夫妻も興味津々。Bluetoothで接続したスマホアプリで、ライダーが思うがままに走れるようパワーマネジメントの設定変更ができたりと、随所に未来が散りばめられています。
「他社の多くがパワーを売りにする中でどうしても重くなってしまう傾向があるe MTBの世界。スペシャライズドは執念の軽量化で、アシストを持たないMTBに近い重量まで必死に近づけている。軽さは正義、という思想はまさにロードスターのそれですね」と、淳一郎さんは愛車ロードスターとの共通性を見出した様子。
どうしても男性と比べると体力の差が否めない女性にとってもe MTBはまさに最適で、林道をすいすい走る自分の姿を想像する里砂さんでした。
2台のクルマと2台のMTBのほか通勤用としてもう1台ロードバイクも所有する中田家。4輪と2輪、それぞれのよいところを組み合わせながら送る憧れの「14輪生活」。じつは過去にはもっとバイクを所有したこともあるというから驚きです。
体力の限界に挑戦できるMTBと、電動アシストを含めた最新のテクノロジーを備えたe MTB。そのどちらも探求することで、体力・知力ともに刺激を受けている中田さんご夫妻なのでした。
(文=畑澤清志/写真=井上 誠、中田淳一郎)
[ガズー編集部]
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