【素敵なカーライフレシピ #24】父親譲りのクルマ好きDNAを載せて、今日もロングドライブへ
20歳で免許を取って以来、出かけるときはどこへ行くにもクルマで、という会社員の関 隆廣さん。家族や仲間とあちこちへ出かけますが、運転は必ず自分から買って出ると言います。クルマがあるからこそ趣味が楽しめるという関さんのライフスタイルを伺いました。
少年時代のワクワク感が忘れられずに、クルマのある暮らしへ
関さんのクルマでの最初の思い出は小学1〜2年生の頃。お父さんのクルマに乗り、東京・三鷹の自宅から世田谷にあったファミリーレストランに連れて行ってもらった記憶が鮮明に残っているそうです。
「当時の東京にはファミレスが少なく、すごく特別な場所に行ったという気持ちになりました」
クルマに乗るワクワク感に加え、最先端だったファミリーレストランでの食体験。やがて、自分でもクルマを運転し、素敵な場所へと行ってみたいという憧れが募っていきました。
そして、免許を取得後、当時流行していたトヨタのソアラをお父さんと共同で購入し、ふたりでクルマのある生活を楽しみました。
学生時代は、クルマの修理工場でアルバイトをしていたこともあったそうです。当時はバブル真っただ中だったのですが、並行輸入車をディーラーでまともに扱ってくれないという時代でもありました。
そこでベンツやBMWのような高級車にいち早く触れられたことが関さんのクルマ好きを加速させたようです。
「結婚した頃は、トヨタ80スープラに乗っていました。生まれたての息子の夜泣き対策として、夜中に妻と息子を乗せて近所をひとっ走りするようになったのです。クルマの適度な振動が眠りを誘い、さっきまで泣いていたのが嘘のよう。すぐ泣き止んで眠ってしまうんです。そうやって寝かしつけていましたね」
クルマ好きゆえの発想の転換。子どもの夜泣きで起こされても、クルマに乗れば関さんも奥さまも大きなストレスを感じずに済んだのです。
「結婚して子どもができると、多くの人がクルマを買い替えますよね。スポーツカーに乗っていた仲間が、ワンボックスにしちゃったりして。確かに家族でどこかに行くことを考えると便利ですが、それだと運転を楽しめなくなり、クルマが移動の道具になってしまう。僕は、それじゃイヤ。仲間からは、所帯染みたクルマには乗るなよと言われています(笑)」
結局、ふたりの子どもができた後もワンボックスにすることなく、トヨタ・カルディナ、クラウンのステーションワゴン、そして現在のクラウン・アスリート+Mスーパーチャージャーを乗り継ぎました。
休みの日には家族揃って、クラウンで走りを楽しみながらおいしいものを求めて出掛けているそうです。トランクには、行くと決まったらすぐに出かけるられるよう、バーベキュー用の網と釣り竿が入っているとか。
「蟹の店がずらっと並んでいる日本海沿いの道の駅に、1年に1回は行きますね。買った蟹をすぐそばで食べられるようになっていて、その他の食べ物や飲み物は持ち込み可能。マヨネーズやバゲットを持って行き、途中で味を変えて楽しむんです。食べることに夢中になり、会話をせずにひたすら食べて、長野の戸隠に寄って今度はそばを食べ、その日のうちに自宅に戻ります」
中学の同級生とのバーベキューで、青春ふたたび
関さんが大切にしているのは、家族だけではありません。会社の同僚、地元の飲み仲間、そして、中学の同級生。周囲には、クルマで出掛け、楽しい時間を共有したいかけがえのない友が大勢います。
「30年振りくらいに同窓会をやりまして、中学の同級生とはそこから急にやりとりするようになりました。1週間に1回くらい連絡を取り、飲みに行ったり、遊びに行ったり。最近はコロナ禍で集まれないのが残念です」
関さんは、生まれも育ちも三鷹。同級生も近くに住み続けていたり、戻ってきたりして、「出掛けようよ」と誘うとすぐにメンバーが集まります。
男女問わず10人くらい、3台のクルマで奥多摩まで走って河原でバーベキュー。海釣りは、また別の仲間と神奈川県の葉山まで出掛けます。こちらは、メカ好きの関さんのお眼鏡にかなった電動リールの付いた立派な竿がクルマのトランクにスタンバイされています。
「行った先でやる趣味はなんでもいいんです。だから、釣りに関しては、どれだけ釣れたかは問題じゃない。釣果は聞かないでください(笑)」と、それでも楽しそうです。
12年で12万キロ。富士山を望む温泉に行ったり、長野のペンションに行ったり。はたまた、ひと晩で800キロ走って三重の松阪へ行ったり。相当走っているというのに、クラウンアスリート+Mスーパーチャージャーはなかなかブレず、古びない。
その陰には、洗車に行けば、エッジの部分は綿棒で汚れを取ってエンジンルームまでピカピカにする、マンションの駐車場は直射日光の当たらない中段を選ぶなど、他の人では真似できないほどのクルマ愛が潜んでいました。
一方で、いま乗っているクルマは、社用車登録もしていて、出張でよく福島や新潟まで運転するそうです。部下に運転を任せると「そこで車線変更したら危ないだろう」と気になってしまい、つい自分で運転してしまいます。
「ちなみに、うちの会社では若手社員に社用車運転の許可を出すとき、上司が助手席に乗って判断するのですが、僕が社内で一番厳しいと言われています(笑)」
父から自分へ、そして息子へ、受け継がれていく趣味
「クルマがなければここまでフットワーク軽く行動していたかどうかわからない」
それくらいクルマありきでプライベートが充実している関さん。その楽しみ方は息子さんにも伝わっているようで、18歳ですぐに免許を取り、大学への通学や国内旅行にクルマを使用しています。
「息子は、つい先日も金沢まで行って一泊して、新潟の能生で蟹を食べて、戸隠と飛騨高山に寄り、2000キロくらい走って帰ってきたと言っていました。運転が好きじゃないと、その距離は辛いですよね」
「一方、娘の方は運転はイマイチなんですが、クルマのことで話をしたりします。たとえば、うちのクルマ、イージードアクローザーだから、軽く閉めても半ドアにならないんですね。でも、あるとき、娘が勢いよく閉めたんです。あれ、彼氏にでも乗せてもらったのか?って。聞いたら、トヨタのプリウスに乗ったと」
息子さんが26歳、娘さんが22歳。仲の良い親子の間には、やはりクルマがありました。
「僕は父親の横に座って、教習所に行く前にある程度の知識を身につけたので、息子にも同じようにしました。そうしたら、息子も自然とクルマ好きになりましたね」
クルマは関さんにとって親友のような存在だと言います。もしも、免許を返納しないといけない年齢になったら困るから、いまのうちに家でできる趣味を見つけようかと思案中だとか。とはいえ、乗れるうちはクルマで出掛けたいため、次の趣味探しはまだまだ先になるかもしれません。
(取材・文:大場祐子 / 写真:松崎浩之(株式会社イントゥザライト))
[ガズー編集部]
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