始まりは不動の草刈り機!? 機械に魅了され延長線に現れたスズキ・ジムニーSJ30
2サイクルエンジンの古いジムニーに乗る二瓶倫さん。小学生の時に分解した草刈り機。二瓶少年は2サイクルエンジンって思ったより少ない部品でできているんだな。と思ったそうです。
身近にあった農機具からエンジンへ、そしてクルマへと興味は移って行きました。
そんな整備士としてスタートしたての二瓶さんとジムニーのお話です。
――ジムニーSJ30、いまや希少車ですね。
最初はジムニーでもJA11を探していたのですが、知り合いから安く出てきたのがSJ30だったんですよ。値段につられてしまい、やや妥協して買いましたね(笑)
――JA11とSJ30、同じ2代目ジムニーでもかなり性格が違いますね。
JA11は660ccターボエンジン、SJ30は550cc2サイクルエンジン。かなり違いますね。パワーは劣りますが、SJ30はターボ車とは違うパワーの出方があって、車体も軽く、シュチュエーションによっては、もしかしてJA11より走るんじゃないか?と思うときがありますね。
――SJ30は生産が終了して35年が経つ古いクルマになりますが調子はいかがですか?
最初は調子が良くなくて、アクセルを踏んでも加速が鈍かったんですよ。これは整備をかけないといけないなと思ったものの、整備をかけても期待通り走るようになるのかと疑問がありましたね。
――かなり大がかりに整備をかけたのですか?
燃料系ではキャブレターのオーバーホールと冷却系はラジエター、サーモスタットを交換したぐらいですかね。それだけでも安定してかなり走るようになりましたね。
――クルマに興味をもちだしたきっかけは何ですか?
今思うと小学5年の時、動かなくなった草刈り機をバラバラにして組み上げた事がきっかけですかね。当時、トルクレンチやマニュアルの存在も知らなくて、手の感覚だけで組み上げたんですが、エンジンがかかったんですよ。
その時の草刈り機が動き出した感動で機械を好きになり、その延長でクルマにつながっていったんだと思います。
――始まりが草刈り機ですか?
祖父が他界するまでは実家が農家で畜産もしていて牛もいました。トラクターや田植え機、脱穀機などの農機具が身近にあったんですよ。
小学生の頃から祖父に農機具の動かし方やプラグの交換やオイル交換などの簡単なメンテナンスの仕方を教えてもらったり、祖父が農機具を修理するときは傍らで見ていましたね。
ここの部品はこんな形をしているのかとか、こんな仕組みになっているのかとかずっと見ていました。その頃から機械は面白いと興味はありましたね。
――SJ30はどのような使い方をしていますか?
林道やオフロードコースを走ったり、コンビニに行ったりちょっとした買い物に使ったりしていますね。
――通勤には使わないんですね、何か事情があるのですか?
やはり古いクルマなので、帰宅する時にエンジンがかからなかったら途方に暮れてしまいますからね(笑)
通勤にはクラウンを使っています。SJ30は休日用ですかね。
――お仕事は何をなさっているのですか?
自動車専門学校を出て、この春からトラックなどの貨物車のディーラーで整備士をしています。
――自動車専門学校卒だと即戦力的にいろいろとトラックの整備を任されるのですか?
いや、そこまではまだしていませんね。先輩整備士に付いて経験を積んでいるところです。1人でする作業は洗車とかハブのオーバーホールとかですね。
――洗車は分かりますが、なぜハブなんですかね?
トラックのハブは毎車検、オーバーホールが義務付けされているんですよ。1台のトラックに最低2人で整備をしますので、どの先輩整備士に付いても仕事ができるようにですかね。
――キャリアを積んだ先輩整備士から学ぶ事は多いですか?
もちろん多いです。不具合があり調子が悪くなった原因を推理し箇所を特定して手際よく修理し、お客様にお渡しする。私も早くそうなりたいですね。
――ところで趣味は何かお持ちなんですか?
いやー、趣味といえばクルマ、バイク、それと祖父の残していった農機具などの機械類を整備することですかね。今は田んぼとかはやっていないのですが、母、祖母、叔母が家庭農園をしているので、家庭農園に使う農機具を趣味も兼ねて整備しています。
――趣味の域を超えているところもありますね。冒頭でSJ30はやや妥協して買ったと仰っていましたが、格安のJA11が出てきたら乗り換えますか?
乗り換えませんね。何て言うか、SJ30とは馬が合うような気がするんですよ。パワステも無い、クーラーも無い、冬に友人を乗せると「寒いよこのクルマ」と言われるSJ30。
でも、それがこのクルマの味で面白いところだと思うんですよ。自分で整備をかけたSJ30が林道やオフロードコースを快調に走っている時って何事にも代えがたい喜びを感じますね。
私のところにきて1年半ほど経ちますが、手をかけている間に、かわいくいなっちゃいましたしね(笑)
――ここまで伺っていると、整備士が天職のようですね。もしドリームジャンボ宝くじ1等・前後賞が当たってしまっても整備士は続けますか?
天職かどうかは考えた事はないですが、整備士は続けますよ。こんな楽しい仕事は他にあるのかと思っていますから。ただ宝くじが当たっても黙っておきますが(笑)
50半ばの私にとっては馴染みのあるジムニーSJ30。2サイクルエンジンの、あの音と匂いが遠い昔に引き戻されるような気がします。
二瓶さんは早ければこの冬にエンジンのオーバーホールを行うと話してくれました。最後の2サイクルエンジンを搭載した市販車でもあるSJ30には永く乗っていただきたいです。
現在、納屋をリフォームしてガレージにしている二瓶さん。ある日新しいガレージが立ち リフトが設置され、タイヤチェンジャー、バランサー、サンドブラストなどの高価な機械が並びだすような異変に気づいたら「なにかいいことがありましたか?」と尋ねてみてくださいね
【Instagram】
二瓶倫さん
(文:よしのけんいち)
[GAZOO編集部]
ジムニーと過ごす色とりどりのカーライフ
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