平日はドライビング講師で週末は愛車の86(ZN6)でラリー参戦! モータースポーツが私に教えてくれたこと
「ほっこりんご(http://hokkoringo.com/)」というドライビングレッスン&講習会を主催し、北は関東、南は九州まで全国を講師として飛び回りながら精力的に活動している「りんご」さん。
2年前から愛車の86でラリーレースに本格参戦し、現在は平日に講習会で連日ドライビング講師を、週末はラリー競技に参戦というクルマ漬けのカーライフを送るとてもアグレッシブな女性です。
実は彼女、もともとはドリフト競技では「D1SL統一戦チャンピオン」「レッドブルドリフトinチャイナシリーズ2位」など数々の成績を残した実力派のドライバー。
そんな彼女がなぜラリー競技にハマっているのか、そして今のクルマ漬けのカーライフをどう感じているのか、お話を伺いました。
――そもそもりんごさんはなぜラリーに興味を持ったんですか?
4年くらい前にラリー競技に参戦している友達から「レンタカーでラリーやらない?」と誘われて、そのときちょうど一緒にレンタルカートをやっていた女性も「一緒に出ましょうよ!」と言ってくれたので、ノリで出たのがきっかけです。
その時は借り物のヴィッツCVTでコ・ドライバーがカート仲間の女性だったんですけど、めちゃめちゃおもしろかった反面、結果が良くなくて「チクショウ! もっとやれるはず。もっとやってみたい」そう思ったんです。
――その後、本格的にラリーを開始したのは?
本格的にラリーをやるならFR車でやりたいと思ったので、2020年の冬に86のレンタルカーを借りて『WOMEN’S RALLY in 恵那』という大会に出たら、なんと優勝できたんです。86でのラリーが思っていた以上に楽しくて、その2ヶ月後にはこの86を買いました。
――本格的なラリー活動を始めていないのに優勝してしまうところが衝撃的すぎです(笑)。ちなみに86はどんな状態のものを買ったんですか?
ロールバーにバケットシート、レーシングハーネスや消火器に牽引フックといった装備が付いている86のレース車両の中古車です。目をつけた車両は偶然知り合いのもので、それを購入しました。
私がこの86を買った年はちょうどヤリスカップが始まった頃で、86を手放す人も多かったみたいで。
――購入タイミングもよかったんですね。クルマを買ってからすぐに競技に参戦したんですか?
はい。2021年2月に購入して4月から参戦し始めたんですが、1年目は本当にボロボロでした。
――では参戦2年目の今年はどんな状態なんですか?(取材時は2022年9月末)
フル参戦しているのは「JAF中部近畿ラリー選手権」で、これが現時点でのランキングが2位、「JMRC中部ラリーチャンピオンシリーズ」はポイントトップです。
あとは「TOYOTA GAZOO Racingラリーチャレンジ」に5戦スポット参戦を予定していて、第6戦渋川 伊香保で2位、第9戦びわ湖 高島で優勝して現在3位ですね。残りの3戦は全部参戦して密かに優勝を狙っています。「全日本ラリー選手権」には1回スポットで出ました。
――2年目にしてめちゃめちゃすごい成績じゃないですか! それにしても、ほぼ毎週なにかしらラリー競技に参戦している状態ですよね? なぜそこまでラリー競技にハマったんでしょう?
難しいけど毎回学びがすごくあるから、でしょうか。今までやってきたのがドリフト競技だったから、白黒はっきりつくスピード競技の良さを感じている部分もあります。
でもレースとは違って1台で走るから完全に自分との戦いで、あとはコ・ドライバーとのコンビネーションみたいな。ひとりでできないことができるし、一人でできることがコンビネーションでできなくなったりするし、その難しさや楽しさがすごく良いです。
――なるほど。それはラリーならではのおもしろさですね。でも、苦しく感じることもありますよね?
私、ラリーってサウナみたいだなって思うんです。サウナって「ああ、またあんな暑いところに入るんだ」って思って、実際入ったら暑いし苦しいし我慢する。でも頑張りますよね。でも出たあとの気持ちよさって最高で。
ラリーも最初のスタート地点についたときに「またエントリーしちゃった。またあんな酷い目に遭う危ない道を走るんだ…」ってちょっと後悔する。でもいざ走り始めたら夢中になって必死に走る。すると完走した時の気持ちよさって何ものにも変え難いくらいもうすごくて、つらかった時の後悔は忘れてまた走れてしまうんです。
あとラリーってリエゾン(移動)を含めると競技中は朝から晩までずっと運転しているんです。私は運転が好きだからそれも楽しいですね。山奥からヘルメットを脱いで清々しい気持ちで下ってくるのも、下った先で沿道の方が応援してくれているのもすべてが清々しく感じます。
――苦しさの中に、得るものがたくさんあるわけですね。ちなみにラリー参戦は講師を務める「ほっこりんご」への影響もありました?
あります。一生懸命ラリーに取り組むと、自分の中にある楽しい、頑張っている、そんな“情熱”っていうエネルギーが湧き出てきて、それをスクールで生徒さんに分けると、みんなが喜んでくれるのを感じます。
――いいですね! ところで、りんごさんの現在の愛車はこの86だけですか?
いえ、サービスカーも兼ねて最近プロボックスを買いました。ただ、ラリーの頻度が多いから、街乗り含めて86が7割、プロボックスが3割くらいの比率です。
でもこのプロボックスがものすごく楽しいんですよ! ほら、ラリーって運転を練習する場所がなかなかないじゃないですか。だから街中で今まで以上にすごく練習するようになったんですけど、プロボックスってサスペンションの沈み方とかがすごくわかりやすくて、運転感覚を養うトレーニング車になっています。うちの子たちはみんな最高です!(笑)
――りんごさんは、本当に運転が大好きなんですね! ところで86についてひとつ気になっていたのですが、競技車両って目立つカラーリングやデザインのイメージですが、これは純正色のままですよね? なにかこだわりが?
「あの色超いいじゃん」って一目惚れしたからです。私も若かった時は派手なクルマに憧れていたんですが、今度はしれっと街に溶け込む地味な色のクルマに乗りたくて。
ただ、純正色なのにこのカラーは結構珍しいらしくて、競技会場でも街中でも「これオールペンですか?」「限定車ですか?」とよく話しかけられるんです。
――ちなみに参戦時のエントリー車両名に“大仏”って入れているのは、やっぱりこの色だからですか?
そうです。私大仏が大好きで、日本で一番大きいという牛久大仏を86で見に行った時にクルマと大仏が同じ色だったので「大仏色じゃん」って思いまして。そうしたら「屋根にイボイボつけたらいいじゃないですか」って最近言われるんですよ。こんなイボイボつけたら重くてパフォーマンス落ちるし、余計成績でないんですけど(笑)。
でも最近はみんな「大仏さん」ってさん付けで呼んでくれるのがとても嬉しいです!
――「大仏さん」がりんごさんの走りを見守ってくれているのですね。
そうですね。大仏さんのおかげでいっぱい成長させてもらっている気がします。これからもいろいろいじっていきたいなというのはありますが、なによりも大仏さんをもっとカッコ良く走らせてあげたいです!
大好きな“運転”を極めるためにドリフトやラリーといったモータースポーツに全力で取り組むりんごさんは、そこで得た挫折や達成といった経験や知識・情熱を本業の「ほっこりんご」スクールで生徒さんに伝えることで、自分自身はもちろん生徒さんのモータースポーツ人生を豊かにしていきます。
それが誰にも決して真似できない、大好きな“運転”に全てを捧げたりんごさんの素敵なカーライフなのです。
【Facebook】
Saori Ishikawaさん
(文:西本尚恵)
[GAZOO編集部]
思いっきり愛車を走らせることを楽しむ女性オーナーさん
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