僕のセリカは不人気モデル……。だけど、そのクルマは憧れそのもの!
小学校の時に、大人になったら絶対にセリカリフトバックに乗るぞ!と決めていたと話してくれた「でかバンさん」。その情熱は、中学校の卒業文集に「夢はセリカに乗ること」と書くくらいだったといいます。
そんな でかバンさんは、就職すると同時に念願だったセリカを中古車で購入したそうです。ところが、穏やかなカーライフとはいえないようで……。
今回は、でかバンさん×セリカリフトバック のお話をお届けします。
――中学校の卒業文集に書くとは……。よほど乗りたかったんですね。
そうなんです。僕が乗っているのは、2000GTVというグレードなんですけど、とにかく外観デザインに惚れ込んでしまって、絶対に愛車にするぞと子供の頃から決めていました。
――どういうところが好きなのですか?
一言で言うと、バンパーがでかい所です!僕のは1976年式なので、初代後期型になるんですけど、この個体はアメリカの安全基準に合わせるために“衝撃吸収バンパー”が装着されているんです。そして、コレがカッコいい!
当時のクルマのサイズって今に比べて全体的に小さかったんですけど、このバンパーが付いてると、寸法以上に大きく見えるし、迫力があってカッコいいなと感じたんです。
そこがすごく個性的で素敵なのに、なぜか今でもあまり人気がないんですよね……。何でなんだろう?、かっこいいのに……。
だから、どの業者さんも未だにスケールモデル化してくれないので、今回の取材がキッカケになって、どこかでモデルカーを作ってくれるとありがたいなぁ…って、ひそかに思っています(笑)。
――そうなってくれるように、私も原稿を頑張って書きます!そんなに人気が無かったとは……。
ただ、アメリカでは、この後期ビッグバンパー仕様のセリカが大ヒットしたんですよ。1976年のモータートレンド誌では、インポートカーオブザイヤーを受賞するほどだったんですから。
――じゃあ、国内よりもアメリカで受けるデザインだったんですね!
そのはずだったんですけど……。最近のアメリカ事情を調べると、オリジナルのスリムなバンパーを欲しがる人が急増していて、わざわざ交換する人が多いらしいですけどね。
――それってつまり、ビックバンパーは国内外ともに不評なのでは……?
話を変えましょうか!
この後期型は、それまでの前期型からフルモデルチェンジ並みの大掛かりな改良が施されているんです。
前期と後期で互換性がある部分といえば、ドアとルーフ、リヤハッチくらいで、インパネは新設計、ホイールベースは7㎝も伸ばされていて、まさに、まったく別のクルマと言ってもいいくらい。
――なんだか、なのに人気が無かったのが悔しくなってきました
う〜ん。実は、理由も何となく分かるんですけどね。だって走らないんですから。
昭和40年代末に排出ガス規制という法律ができて、その中に含まれるHC、CO、NOxを1/10にまで低減しなきゃいけなくなっちゃって、そこで初めて触媒という技術が取り入れられました。
その時は“酸化触媒”と呼ばれるものが使われていたんです。それは、表面に触媒となる貴金属が薄くコーティングされている小さなペレット(粒状の触媒)がギュッと詰められているんです。
走行による振動でそれが少しずつ削れたり割れたりして…サラサラという音が聞こえるほどになっちゃうともう大変。ただでさえ抜けの悪い触媒が、粉状の残骸によって塞がっちゃうわけですよ。
そうすると、アクセル踏んでも加速しないですよね〜。だから、このペレット触媒は、当時は消耗品として4年に1回の交換が義務付けられるほどだったんです。
現在のクルマについている触媒は、中身がハニカム状になっていて抜けは良いし、崩壊して詰まる心配も一切ありません。これが技術の進歩ってやつですね!
あとは、酸化反応に不可欠な空気を供給するエアポンプという装置がまた「エンジン馬力を食う」わけで…。要約すると、初めから走れないようにできてるんです。
――なるほど。先程とは打って変わって、人気が無い理由が分かってきました。でも、何か良いことはあるですよね?
あります!それは、のんびり走ってても許されちゃうこと。
20年来付き合ってるセリカ仲間たちは、みんなツーリングしてても速いんですよ。パワーがある前期型ばかりだからね!でも、その流れについていけなくても「仕方ないなぁ」って、許されるんです(笑)
――どうしよう……。それってむしろ、欠点なのでは……。言えない。ご本人には言えない。
いや、心の声が漏れちゃってるから(笑)。でもね、それすら愛しいくらい、理由なんてないくらいセリカが好きなんです。
なぜなら、このクルマに乗り始めてから仲間が増えたことが、僕にとっては財産なんです。東海セリカdayというイベントをずっと主催しているんですけど、毎回200台近くの歴代セリカが集まってくれて、色々な人と繋がるようになりました。
セリカを通して出会える人が増えるからっていうのがずっと乗り続けている理由かな。だから、セリカが壊れて乗れなくなっても、僕はイベントを開催しちゃいますよ、きっと。
心の中で乗っているから、全然OKでしょう(笑)。
走行距離が38万kmに到達間近というセリカ。通勤車両だからまだまだ伸びますよー♪と心強い言葉を頂きました。カーライフは人それぞれ。それを、でかバンさんが教えてくれました。
(文:矢田部明子)
トヨタ・セリカの愛車記事
-
-
新車で購入し30年。これからも乗り続けたいと思わせてくれるトヨタ・セリカ
2024.06.30 愛車広場
-
-
-
好きすぎて気づけば3台を所有、夫婦で楽しむセリカXXとのカーライフ
2024.06.05 愛車広場
-
-
-
スポーツカーが楽しい!走る、遊ぶ、繋がるということ
2024.04.22 愛車広場
-
-
-
ムーンルーフのセリカと歩む、憧れだったスポーツカーライフ
2024.04.02 愛車広場
-
-
-
27年前の独身時代に購入したセリカGT-FOURは、時を経て家族の一員に
2024.03.24 愛車広場
-
-
-
知識0から始めた、セリカGT-FOUR (ST205)の整備。生涯乗り続けると誓ったクルマ
2024.01.27 愛車広場
-
トヨタ・セリカに関する記事
-
-
フォーミュラドリフトの名将、『ダルマセリカ』をレストア&カスタム…SEMAショー2024
2024.11.05 ニュース
-
-
-
「ワールド・スーパー・スペシャルティーズ誕生」スープラの原点、『セリカXX』登場の衝撃【懐かしのカーカタログ】
2024.08.13 ニュース
-
-
-
3世代に渡り設定されたセリカ コンバーチブル。日本で生産、アメリカで架装という稀有な存在・・・語り継がれる希少車
2024.03.10 コラム・エッセイ
-
-
-
【ミニカー】大人のスペシャルティカー トヨタ セリカ リフトバック 2000GT RA25型
2023.06.22 特集
-
-
-
トヨタのスポーツカー「セリカXX」「スープラ」を解説・・・懐かしの名車をプレイバック
2023.04.01 特集
-
-
-
心のスーパーカー 2代目トヨタ・セリカXX・・・懐かしの名車をプレイバック
2023.03.27 特集
-
-
-
時代の空気 初代トヨタ・セリカXX・・・懐かしの名車をプレイバック
2023.03.21 特集
-
-
-
【連載全16話】第14話 トヨタ・セリカXX・・・日本生まれの懐かしいスポーツモデル
2022.04.06 特集
-
-
-
【連載全16話】第4話 トヨタ・セリカ1600GT・・・日本生まれの懐かしいスポーツモデル
2022.01.26 特集
-
関連記事
-
-
トヨタ ポルテは「動く狭小秘密基地」。もう、このクルマは手放せない!
2024.12.23 愛車広場
-
-
-
愛情を注ぎすぎた過去の経験を糧に ホンダ・ヴェゼルとスローペースで歩んでいく
2024.12.22 愛車広場
-
-
-
中学生のころに憧れたスバル・アルシオーネSVXを日常使い、人生が豊かに
2024.12.21 愛車広場
-
-
-
「自分だけが知っている良さ」が嬉しい マツダスピードアクセラ
2024.12.19 愛車広場
-
-
-
「僕の好きがすべて詰まってる」いすゞ・ピアッツァは僕の人生の原動力となる相棒
2024.12.18 愛車広場
-
-
-
トヨタ カローラGTは18年間いつも傍に居てくれた「スーツを着たアスリート」
2024.12.16 愛車広場
-
-
-
ジムニー×沖縄=新たな発見の連続!スズキ・ジムニーは自分好みに遊べる
2024.12.15 愛車広場
-
-
-
ジムニーを極めたいと行き着いた「サムライ」。憧れだったクルマに乗って広がったライフワーク
2024.12.14 愛車広場
-
-
-
唯一無二の相棒。ホンダ・S660が新たな楽しみを連れてくる“特別な日常”
2024.12.12 愛車広場
-
最新ニュース
-
-
エンジンオーバーホールの全貌! 性能復活のメカニズムを徹底解説~カスタムHOW TO~
2024.12.24
-
-
-
サブスクの「KINTO」がモータースポーツイベントを開催! 春頃にはサブスクの新サービスのスタートも検討
2024.12.24
-
-
-
トヨタ『C-HR』、欧州販売100万台達成へ…日本にない2代目には初のPHEV設定
2024.12.23
-
-
-
「バチクソかっこええやんけ!」ホンダ『プレリュード』初公開へ、新技術「S+ Shift」にもSNSで反響
2024.12.23
-
-
-
マツダがモータースポーツ技術を活かした市販車発表へ、ベースはロードスター…東京オートサロン2025
2024.12.23
-
-
-
やはり進行していた! ホンダのハイブリッド戦略の要とは?…新開発プラットフォームと次世代e:HEVシステム
2024.12.23
-
-
-
「さようなら。ありがとう」スズキ『スイフトスポーツ』現行モデルの生産終了に、SNSでは惜別の声
2024.12.23
-
最新ニュース
-
-
エンジンオーバーホールの全貌! 性能復活のメカニズムを徹底解説~カスタムHOW TO~
2024.12.24
-
-
-
サブスクの「KINTO」がモータースポーツイベントを開催! 春頃にはサブスクの新サービスのスタートも検討
2024.12.24
-
-
-
トヨタ『C-HR』、欧州販売100万台達成へ…日本にない2代目には初のPHEV設定
2024.12.23
-
-
-
VW、2030年に向けた大規模再編を発表…『ゴルフ』の生産はメキシコに移管へ
2024.12.23
-
-
-
「バチクソかっこええやんけ!」ホンダ『プレリュード』初公開へ、新技術「S+ Shift」にもSNSで反響
2024.12.23
-
-
-
マツダがモータースポーツ技術を活かした市販車発表へ、ベースはロードスター…東京オートサロン2025
2024.12.23
-