高校時代の憧れのクルマ。鉄仮面R30スカイラインに乗ってみて

  • 日産 スカイラインR30

    日産 スカイラインR30

“鉄仮面”というニックネームで、今もなお沢山の人から愛されているR30型スカイライン

そんな6代目スカイラインに乗る「Kさん」。高校生のときに、アメリカの人気俳優である“ポール・ニューマン”が出演していたテレビコマーシャルを見たことがキッカケで、乗ってみたいと思うようになったそうです。

Kさん×鉄仮面スカイライン のお話をお届けします。

―――テレビコマーシャルがキッカケだったんですね。
そうです。雨にぬれても という曲が流れてきて、ポール・ニューマンがスカイラインで登場するという、とにかく洒落たCMだったんですよ。

それを見たのが高校生の時だったんですけど、うわぁ……、カッコいいなぁ……と、一目惚れしてしまいました。私のように感じた人が多かったのか、“ニューマン・スカイライン”なんて呼ばれてもいたんですよ。

―――ニューマンに鉄仮面か……。なんかすごい。

あはは(笑)、確かにそうですね。ちなみに、テレビコマーシャルの影響も受けたんですけど、日産プリンスという今でいうディーラーが発行していた“プリンス誌”という雑誌の影響もあるんです。

―――どんな雑誌なんですか?

当時、ニューマン・スカイラインがシルエットフォーミュラというレースに参戦していたんですけど、その結果などが書いてあるんです。

現代だとサーキット会場に行かなくてもYouTubeやネットで結果を知ることが出来ますが、当時はたま〜にテレビでやっているか、雑誌を買うしかなかったから、僕はその雑誌が送られてくるのがすごく楽しみでした。

しかも、3代目のハコスカ以来、10年ぶりにニューマン・スカイラインがシルエットフォーミュラの姿でサーキットレースにカムバックしたものだから、日本中が注目していましたよ。

―――たしかに!なんとなく、レースに参加していたハコスカを思わせるシルエットですよね。

そうそう!僕的には、3ボックススタイルで、ハコスカを現代的にアレンジしたようなデザインだと思っています。

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―――Kさん的には、どこがお気に入りポイントですか?

鉄仮面は、GTやTIという他のグレードのスカイラインに比べてヘッドライトが上下に薄いのと、ボンネットがグリル部分を覆うようになっていること。金属のモールなどが付いていないというのも気に入っています。

ほかには、ボディのサイドにぐるっと付いたプロテクターモールも好きです。よく見ると、このモールは後ろにいくにつれ、太くなっているんですよ。

ジャパンの時にはあったサーフィンラインが消えちゃったんですけど、ゴムを太くすることでサーフィンラインのイメージを出したんじゃないかと思っています。

とまぁこんな風に、ニューマン・スカイラインになってレースに参戦したり、デザインのテイストが変わったりと、ガラッと変わることが多かったんです。

―――ほかに、大きく変わった箇所はあるのですか?

最初はジャパンと同じOHCのエンジンラインナップでしたが、その2ヶ月後に“4バルブなしにDOHCは語れない”のキャッチコピーで、4気筒でしたがGT-RのS20を彷彿とさせるFJ20を搭載したRSが登場しました。

それからターボ付きのエンジン、“史上最強のスカイライン”という名のインタークーラー付きと次々とアップデートされていきました。

4バルブDOHCエンジンにインタークーラーターボが付いているなんて、当時は夢のようだったんですよ。

―――Kさんは、その夢のようなエンジンを載せた鉄仮面に乗っているのですか?

いえ、僕はターボが付いていない素のRSに乗っています。たしかにターボのないRSは売れ筋ではありませんでした。

でも、前期RSが登場したときの“4バルブなしにDOHCは語れない”というコピーが忘れられなくて、ターボ無しをあえて選んだんです。

―――どうでしたか?

ものすごく軽快で吹き上がりが良くて、さすが日産の作ったDOHCエンジンだと思いました。

ターボ車にも乗った事がありますが、速さだけを比較すると負けてしまいますが、レスポンスが良いので踏める楽しみを感じさせてくれます。色々トラブルはありますが……

―――例えば?

例えば、ヒーターコアからクーラント液が漏れてしまった時ですね。ヒーターコアが製造廃止になっているので「ディーラーでも直せません」と言われてしまいました。

どうにかヒーターコアは大阪のショップさんから譲って頂くことが出来たのですが、私の地元でヒーターコアを組み込んでくれるお店が見つからなかったんですよ。

だから自分で修理せざるを得ないんです。仕方なく自分でダッシュボードを外してヒーターユニットを取り出して、ヒーターコアを組み込むという人生初めての体験をしました。

ほかには、ガソリンタンクの中を覗いてみたら錆だらけで、ガソリンタンクを外してママレモンと花咲Gで綺麗にしました。

―――ママレモンと花咲かG……。

ママレモンが中性洗剤で、花咲かGはタンククリーナーです。

ほかには、純正なのにマフラーが爆音で、もしかして?と思い遮熱板を外したら穴が空いていたんです。

修理を頼むと時間もお金もかかるから、ステンレスの板を買ってきて曲げて、マフラーのパテを取り付けて、針金で巻きつけました。

更に錆びてしまうと、もう修理できそうにないので、純正風のステンレスマフラーを買えるように貯金しています。

―――色々と試行錯誤されてきたんですね!

今までやったことがなかったし、こんなことをやると思ってもみなかったから、見様見真似です(笑)。

ニューマン・スカイラインを手に入れて良かったと思ったのは、こういうカーライフの楽しみ方が分かったというのもあるんです。故障して困ったけど、乗り越えてみたら愛着湧いた!そんな感じです。

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そんなスカイラインは、Kさんにとって憧れのクルマだということです。青春時代に「いつかは乗りたい」と夢見たクルマに乗れているということが、とても幸せだと話してくれました。

さて、次はどんなことが待っているのでしょうか? 1人と1台の絆はますます深まっていくことでしょう。

(文:矢田部明子)

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