クルマのコスプレを楽しむ!カローラレビンが連れて行ってくれる昭和な世界が心地よい


hirotoさんは「クルマはコスプレを楽しむもの」という持論をもって個性満点なカーライフを楽しんでいるそうで、その中で出会ったのがハチロクの愛称で知られるトヨタカローラレビン(AE86)。80年代のクルマということで当時のカー用品を集め、当時のにおいを醸しだしていくことでこれまで以上の楽しさが芽生えてきたそうです。

そんな、hirotoさん×カローラレビンのお話です。

―― hirotoさんはハチロクことカローラレビンAE86型に乗られているということですが、これまではどんなクルマに?

最初はシルビア ヴァリエッタでした。その後にジューク、コペン、北米日産のキューブ、それからパオに行って、米国レクサスのLS430、プリウスV、あとフィガロ、ジムニー、シエナとかですね。

―― かなりバリエーション豊かな車歴ですね。

そうですね。ハチロクに乗る前に乗りたいクルマはすべて乗っちゃおう!というノリで乗り継いできましたね。締めのクルマということでこのAE86レビンを選びました。

―― 早くも締めに入ったんですか!? ちなみにハチロクのどのあたりがhirotoさんの心を揺さぶったのでしょうか?

『頭文字D』とバイト先の友達の影響です。高校から大学生のころまでガソリンスタンドでバイトをしていたんですが、そこで働いている同僚の男の子がAE86スプリンタートレノに乗っていたんです。それで仲良くなってクルマに乗せてもらったり、時には運転を代わりにさせてもらったりするうちに「これは、僕も乗るしかないな」って思えてしまって(笑)。

それから「ハチロクを買おう」という想いに駆られました。

実は最初にハチロクを手に入れようと思ったのは、僕が高校生のころで今から7年前くらいだったんです。中古車屋さんでハチロクを見つけたんですが、それがワンオーナーで1万キロくらい走っていたもの。これ以上にいい状態のハチロクにはもう出会えないと思ったので、親に「必ず返すから、立て替えてほしい」とお願いしたんですが、母はAT限定免許だったからハチロクを運転ができなくて。結果、泣く泣くあきらめたんですよ。

当時160万円くらいで買えたんですけど、今だったら状態がいいのは400万円以上なんてざらですよね。でも、この経験がバラエティ豊かな僕の車歴に影響したのかもしれないです(笑)。

―― そうして現在の愛車に出会った経緯を教えてください

「ハチロクに乗る」と決めてから、あちこち調べて4台ほど候補がみつかったんですよ。その中で最初に見に行ったのが今の愛車だったんです。バルクヘッドが割れていなかったし、ワンオーナーで点検記録簿も全部わかっていたんです。ある種クルマの育ちがわかるからこそ、「このクルマなら安心だ」と思えたのが購入の決め手になりました。

走行距離は13万キロでしたが、むしろ年式と走行距離を考えると少ないくらいだと感じたし、むしろ「安心感があるな」って思いました。あと、納車されるまでの間にオールペン、エンジンのオイル漏れ点検、デフ、ブレーキキャリパーのオーバーホールなどの整備をしてもらえるのも魅力的でした。

―― それはかなりの好条件でしたね。そうして念願のハチロクを手にしましたが、第一印象はどうでしたか?

乗りやすいなとは思いましたね。最近のクルマと比べるとスピード感がないのはわかっていましたが、むしろオールペンしたボディや内装のキレイさとかを生かして楽しみたいなと思いました。もともとカスタムするつもりでしたが、よりこのクルマらしさが出る感じにカスタムしようと。

―― どういう感じのカスタムを考えていたのですか?

前に乗っていた米国トヨタのクルマとかだと、いかに現地っぽい仕様にするかというのをコンセプトにしていたんですね。言うなればクルマのコスプレです。それをハチロクに置き換えた時に80年代っぽさを出したカスタムをしたいなって。

いわゆる「当時物」っていうパーツがあるじゃないですか。そういうのを集めて、揃えてみようかなと。まるでタイムスリップしてきたみたいに当時の状態のままのクルマをバリバリに乗っているってカッコイイと思ったので、そういうカスタムを目指しました。

―― 他のクルマ好きの方たちとは一線を画する楽しみ方ですね。

そうなんですよ。周りからは「もっとカスタムすればいいのに」と言われても内心、「わかってもらえないなぁ」って思っていましたよ(笑)。僕はクルマのコスプレがしたかったってことですね。

だから、僕のカスタムの仕方は他の子たちとはズレていくのかなっていう気がします。

―― 個性的なクルマを手にしたということですが、ハチロクになってからはお出かけの頻度は増えましたか?

お出かけの頻度は変わりませんが、この手のクルマにしてはかなり乗り込んでいると思います。行きつけの場所は特にはないですが、榛名山に行ったり、日曜朝に大黒PAに行ってみたりすることが多いですね。

―― 個性的なクルマの楽しみ方ですが、周りの子たちの反応はどうですか?

僕のクルマ選びやカスタムの仕方は、最初はなかなか周りの子たちに理解してもらえなかったです。でも、僕のクルマを見ているうちに「そういう路線もアリかな」と思って、レトロなクルマを買ってみようとか、カスタムも純正に戻していく方向にシフトする子も増えてきたんです。

―― このハチロクに乗っていて、印象に残っている出来事は?

まだ4カ月程度しか乗っていないので特に濃い思い出はないですが、SNSを見て、このクルマを知ってくれている方が結構多くて、あちこちで声をかけられるのには驚きましたね。

それとか、普通に走っているだけでも視線を感じるし、「どんな人が乗っているんだろう?」みたいな感じでのぞき込まれる方もいたり。今まで乗ってきたクルマでも似たような経験はありますが、ハチロクにしてからは圧倒的に増えました(笑)。

―― ちょっとびっくりすることもあるかもしれませんが、悪い気はしないですよね?

そうですね(笑)。こうしたことをキッカケにいろいろな交流ができたし、僕からしたら最近はレトロなクルマの普及活動をしている感じですね(笑)。

―― そんなハチロクですが、hirotoさんの中で特に気に入っているところは?

もう全部ですね(笑)。40年くらい前のクルマが今の時代にノーマルの状態であるってことが価値だと思うので、それを感じてほしいですね。ホイールとか、ビニールを被ったサンバイザーとか、エンジンもフルオリジナルだし、当時物にこだわったところは見てほしいですね。

―― 今後、このハチロクでやりたいことはありますか?

やりたいこととしては、実はまだまだたくさんあるんですよ。純正バンパーのような質感のシボ塗装をしたいし、夏の紫外線対策で断熱フィルムは貼りたいですね。

行ってみたいところで言うと、旧車イベントにはいろいろ出展してみたいと思っています。

―― では、このハチロクというクルマはどういう存在ですか?

「いろんな仲間と僕を繋いでくれるタイムマシン」ですかね。僕はもともと80~90年代の音楽好きで、クルマの中で聴く音楽もそういうのが多いんです。その時代の音楽を聴きながらこのクルマに乗っていると、僕が生まれる前のその時代にタイムスリップした感じになるんですね。

昭和のクルマなので、昭和のにおいを感じるような小物……ニオイを取るビーズやコインホルダーとかそうした昭和っぽいコスプレを施すことで、より雰囲気がでるように楽しんでいます。

【Instagram】
hirotoさん

(文:福嶌弘)