先輩から受け継いだ、スバル B9 トライベッカ
スバル B9トライベッカは、海外市場での大型SUVニーズに応えるために、北米を中心に販売されたクルマです。そんなトライベッカに乗るのは「トトロさん」。7人乗りのクロスオーバーSUVは、日本では大きすぎるサイズだと話してくれました。では、なぜ愛車として迎え入れたのでしょうか?それは、亡き先輩が理由とのことです。
今回は、トトロさん×B9トライベッカ のお話をお届けします。
―――大変お恥ずかしいのですが、久しぶりに名前を聞きました……。
いや、ほとんどの人がそうですし、なんなら知らない人もいますからね(笑)。これってスバルのクルマなんですか?は、しょっちゅうですからね!
―――それくらいの認識だったのに、なぜ愛車として迎え入れたのですか?というか、どこで知ったのですか?
クルマ好きの先輩が乗っていたんです。ちょうど1年くらい前に亡くなってしまったんですけど、ご家族の方が中古屋さんに売るということだったので、それならば僕が引き取りますと手を挙げました。おそらく、20万円くらいの下取り価格になると思うんですけど、トライベッカにはそれ以上の価値がありますから。
―――そうだったんですね。先輩は、何故トライベッカに乗っていたのでしょうか?
何でなんですかね〜(笑)。人気が無かったから、日本で販売されず、部品の供給がすごく大変なのに。多分、主にはアメリカで販売されていたというのが大きな理由だと思います。
アメリカが好きで、ヨーロッパのクルマをアメリカ仕様にしたり、逆輸入車を永遠にカスタムするという変わった人でしたから。ヘッドライトを替えたり、マーカーを取り付けたり、いわゆる“USDM”ってやつですね!とにかく、そういうのが好きな人でした。
―――出会った時は、どんなクルマに乗っていたのですか?
初代ヴィッツを、北米仕様にカスタムして乗っていました。ん〜、今思えば、あれはユーロカスタムに分類されるのかな?どちらにせよ、ぜんっっっっぜん、カッコいいと思っていなかったんですけどね(笑)。変なクルマに乗ってるな〜が、素直な感想です。
―――あはは(笑)!というか、出会いはどこなのですか?
高校生の時にガソリンスタンドでバイトしていたんですけど、その近くの会社に先輩が勤めていたんです。当時、バリバリうるさいバイクに乗っていたから「お前いつもうるせーなー」なんて、よく構ってくれたんですよ。
先輩は、小洒落ており、キャップを被って、どかってしていて、チェケラッチョな陽気なオッサン!そんなイメージです。そこから28年間、すごく可愛がって頂いたし、クルマに関する影響はすごく受けましたしね。
―――例えば、どんな影響ですか?
全く興味が無かったのに、ある瞬間からUSDMがすごくカッコいいと思えるようになったんですよ。それから、先輩がどんなカスタムをしているのか、じっくりと見るようになりました。
そうすると、ん〜!例えば、マツダのホイールをトヨタ車に入れて純正流用してるとか、そういうイメージを持ってもらえると分かりやすいかも!発想がとにかく面白くて、不思議とそれがアメリカっぽく見えるんですよね。
ちなみに、トライベッカには16インチのマッテレタイヤ(マッドテレーンタイヤのこと)を履かせて、キャンプ仕様っぽくしていました。だけど、僕はポルシェ カイエンっぽくしたかったから、19インチのカイエン純正ホイールに履き替えちゃいましたけどね。
―――だんだん、どんなクルマなのかが分からなくなってきました。スバルで、北米仕様で、ポルシェで、カイエンで……。
あはは(笑)!話をややこしくさせてしまってすみません。というのもね、初めてトライベッカを見た時に、顔面がポルシェカイエンで、グリルがアルファロメオっぽいなと感じたんですよ。
で、どっちに似てるんだろう……?と真剣に考えたときに、水平対抗6気筒ってポルシェじゃん!と、気付いたんです。だから、カイエンカスタムをすることに決定したという……(笑)。
―――その面白い発想も、先輩と似たのかもしれないですよ♪
かもしれませんね♪
このクルマに乗るたびに、先輩を思い出すんです。あの時、こんなこと言っていたよな〜とか、色々ね。先輩の会社の前を通るし、コンソールには先輩のメガネがある。愛用していたリトルツリーという芳香剤は、匂いは残っていないのにそのままにしているんです。何ヶ月か前にお墓参りに行ったんですけど、亡くなったことがまだ信じられないです。
それくらい、僕の中で大きな存在だったんだと思います。
車のトラブルもあるみたいだが、今年の車検は通そうと思っていると話してくれたトトロさん。ポルシェカイエン風にして、先輩と同じ16インチのマッテレタイヤを履かせ、キャンプ仕様にしようと思っていると楽しそうに話してくれました。
「仕様変更したら、また、お墓参りに行かなくちゃ」
どんなカスタムをしても、きっと笑顔で迎えてくれることでしょう。
(文・矢田部明子)
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